ボストン旅行記 -ハーバードでまさかのラーメン-
ボストンと言えば一流大学が並ぶ学術都市。世界で最もレベルの高い大学として筆頭に上がるハーバード大学。またテクノロジー分野で世界最高峰に君臨するマサチューセッツ工科大学 (MIT)。誰もが知るこれらのトップ校が肩を寄せ合って並んでいるところがこの街の魅力のひとつでもある。
これを書いているぼくはこういうアメリカの大学が提供しているMBAに行こうと真剣に考えていた時期があった (以下の記事に書きましたが)。その狙いは卒業後のアメリカでの就職。自分の進路というものにそれなりに真剣に(なんなら深刻に)悩んでいた20代前半の自分にとって、こうしたアメリカの一流大学に行くことは一筋の光のように見えた。結局なんやかんやあってぼくはMBAという道は通らずに別コースでアメリカでの就職を果たすわけだけど、今でもこういう大学に憧憬のようなものは抱いている。
ボストンに旅行で訪れたのは2024年6月のこと。せっかく来たのだから、ということでこれらの大学に寄ってみることにした。
経路としてはまずハーバード大学のエリアに行き、その流れでマサチューセッツ工科大学の方へと渡る。地図で見るとこんな感じ。
写真多めで振り返ってみます。まだ行ったことのない方も、いつか行ってみたいと考えている方にもなにかの足しになれば嬉しいっす。
ハーバード大学
というわけで来ちゃいました、ハーバード大学。
Uberで大学の近くまで行ってその辺で適当に降ろしてもらう。なにやら賑わっているカフェがあったので入ってみる。中は落ち着いた雰囲気で居心地のいい空間だった。
店内を一望しただけで、もうこの時点でここはしっかり大学街だよなーとしみじみ思う。明らかに授業や勉強のことを話しているよなという教授や学生がもぐもぐとアボカドサンドを頬張りながらコーヒーを飲んでいた。授業が終わった後にこういうところで友達とだべったりするのだろう。そんなことを想像しながら、ぼくもカプチーノを頼んでちびちびとすする。
カフェを出てそのまま散策を続ける。アメリカの大学はどこも緑が綺麗でだだっ広く、歩いていて気持ちがいい。
ハーバード大学の入口に近づいてきた。日曜日だったこともあり学生で溢れているということはなかったけれど、数多くの観光客が訪れている様子だった。この日は雲ひとつない快晴で心地よい…と言いたいところだが、なんならちょっと蒸し暑いぐらいだった。みんな半袖でスタスタと歩いる様子。
入口の前にあったのはCOOP。大学生協ってやつだ。ぼくが通っていた大学にも同じようなのがあったよなと懐かしむ。
中に入ってみると"HARVARD"という文字が入ったTシャツやらパーカーが所狭しと並んでいた。これだけあると「ハーバードの人はこんなにも自分の大学が好きなんだろうか」とか邪推してしまう。何はともあれ、えんじ色を基本としたデザインの服はどれも賢そうで素敵だなーと思った。
大学の校内を散歩してみる。このハーバード大学の敷地は一言で言うとボストンの美しい要素が詰まっているように思った。緑が深く、建物はどれもヨーロピアンな歴史を感じさせるクラシックなデザイン。この赤茶けたレンガで造られた校舎を見ていると「あー、ボストンだなー」と勝手に納得してしまう。こういうのはぼくが今住んでいるシアトルではほぼ見たことがない。古き良きものを大事にして、何でもかんでも新しいものに取り替えるということはしない。ボストンを歩いているとそんな伝統に対する深いリスペクトのようなものが感じられる。素敵な街だ。
大学の周りを散歩してみる。本屋があったりご飯が食べるところがあったり。いくつかのお店が品よく連なっているという感じだった。ぼくが大学生活を過ごした高田馬場はラーメン屋や飲み屋がしっちゃかめっちゃか並んでててカオスだったよなーと思い出す。あれはあれの情緒があったわけだけど。
ちなみに「お!?」と思ったのが山頭火。あの日本のラーメン屋さんがハーバード大学の裏手にあった。結構お客さんも入っている様子。山頭火はシアトルにもあるし、この感じを見るにアメリカでも結構繁盛しているのだろう。それにしてもハーバードの学生がしこしこ勉強した後に、ラーメン屋の暖簾をくぐってするすると麺を啜っているのを想像するとなんだか不思議な気分になる。
このあたりでひとつ行きたい場所があった。それがこのPINOCCHIOSというピザ屋さん。ハーバード大学のすぐ近くにあるこじんまりとしたお店だ。ピザ屋はアメリカには文字通り星の数ほどあるわけだけど、ここがユニークなのはあのマーク・ザッカーバーグ (Facebook・Metaの創業者) が愛好していたという点だ。マーク・ザッカーバーグがハーバードの学生だった時に足繁く通っていたとのことだ。
どれどれ、試食してみようじゃないか。トマトベースの定番ピザをひと切れ頼んでみる。
なんだこれ。すーーーごくこってりしてる。脂ぎっていて濃厚な味わい。でも普通においしい。印象的で記憶に残る味とも言える。そしてなにより一口食べれば、学生に(特に男子に)人気なのがよく分かる。
このピザを食べていて自分が大学生時代によく通っていた「武闘家」というラーメン屋を思い出した。早稲田の学生で賑わうラーメン屋さんで、家系ラーメンの王道のような味だった。あれも脂ぎってたよなー。うまかったけど。
ハーバードの近くに美術館があるとのことだったのでふらっと立ち寄ってみた。"Harvard Art Museum"という場所。
結論を言うとここは超当たり。ピカソやマティスの絵がしれっと並べられているのに、衝撃の無料 (タダ) だったのでびっくりした。中はひっそりとしていて秘密の場所のような雰囲気。豊富なセレクションに目も心も奪われて結構ドキドキする。自分がこういうところで大学生してたらきっと足繁く通っていただろうなーと思う。
MIT (マサチューセッツ工科大学)
ハーバード大学を思う存分楽しんだところで次の目的地へ。ハーバード大学からMITまではまあまあ距離があり、歩くと30分は優にかかる。運動がてらぼくは歩くことにした。天気も良かったし。
まずはMITの象徴的な場所を訪れる。このアテネの神殿のような出立ちがなんともカッコいい。ぼくはMITに憧れがあり、実は何年も前に一度ここを訪れたことがある。いつ見ても「ほぉーーー」と声を漏らしてしまう。図書館のような静けさと神聖な雰囲気が心をスッとさせる。
日曜日ということもあってかこの日は人っ子ひとりいなかった。緑溢れるキャンパスはただただ広く感じられ、単純に気持ちの良い散歩コースだった。
大学の近くにはチャールズ川に沿ってジョギング・コースが敷かれている。村上春樹さんがよくこのあたりでランニングしていたとエッセイで綴っていたことを思い出す。これだけ美しくて心地よい道なら、勉強するよりも走りたくなっちゃいますね。
MITの大学街をぶらぶらと歩いていると「MIT MUSEUM」なるものがあったので入ってみた。結論を言うならば、ここはテクノロジー好きでなくても十分に楽しめる場所だと思う。MITが研究で大きく貢献してきたであろうロボットや物理学・サイエンスにまつわる展示がなされている。
この展示の仕方がなかなか秀逸で目を見張るものがあった。機械仕掛けの工作物にしろロボットにしろ、確かな形式美が認められる一方でそこには見ている人間側の不安のようなものが投影されているようにも見える。手放しでは喜べない科学の一方的な進歩というものへの警鐘なのか。
それにしても工学というかロジックというものを突き詰めていくと美(もしくはアート)というものが立ち上がっていくようで興味深い。単純に見ているだけでデザインの格好良さや美しさに見惚れてしまう。
AIと人間はどう関わっていくべきか。AIが人間にウソをつくようになったらどうすべきか。そんな今の時代にホットなテーマについての展示もあって、SF好きならきっと間違いなく刺さるだろう。
そんなこんなのハーバード大学・MIT訪問記でした。
今日はそんなところですね。ここまで読んでくださりありがとうございました。少しでも気に入っていただけたらスキしていただけると嬉しいです。
いかがだったでしょうか?3回に渡って(前々回、前回)ボストン旅行について綴ってきました。歴史を感じるクラシックで美しい街並みに、知的好奇心をくすぐる一流大学、そしてほっぺたが落ちる美味しいシーフード。ボストンは今まで訪れたアメリカの都市の中で抜群に心地よい場所でした。
ちなみにあまりに充実した旅だったのでシアトルに戻った後も空港で一杯飲んでしまうという。そんな後夜祭もしてしまいたくなるほど魅力的な街、ボストンでした。
それではどうも。お疲れたまねぎでした!