ボストン旅行記 -あんな博物館にこんな美術館-
前回に引き続いてボストンの思い出をお届けしまっす。
今回は博物館・美術館を中心にご紹介。アメリカで最も歴史ある都市、ボストンならではの魅力がたくさん詰まっていると思うので楽しんでいただけたらなにより。写真を多めに載せながら振り返ってまいりやす。
ボストン茶会事件と船の博物館 (Boston Tea Party Ships & Museum)
歴史のお勉強をしているとアメリカ建国のチャプターに入ったところで必ずと言っていいいほど出てくる事件がある。「ボストン茶会事件」というやつだ。
この茶会 (Tea Party) という言葉に初めて出会ったのは中学生のときだったと思う。「ボストン茶会事件」と聞いて「貴族が集まってどの紅茶が一番美味しいのかを競ってバトルしたのだろう。ボストンの人は優雅で気楽でいいもんだね。」と想像をめぐらしたわけだ。でももちろんそんなわけもなく、アメリカ独立をめぐる重大な事件だったわけだ。そのことを知って当時のぼくはびっくりしてなぜかガッカリした記憶まである。あほである。
ボストンのダウンタウンの近くにはこの「ボストン茶会事件」のあれこれを資料としてまとめた博物館がある。そんな"Boston Tea Party Ships & Museum"に行ってみた。
時は18世紀 (1773年)。植民地支配を強めたいイギリスに対して、独立を求めるアメリカが強く反発する。そんな中イギリスはアメリカでお茶を独占的に販売する、かつ関税を実質的にかけないという超アグレッシブな施策を強行する。これにブチギレしたアメリカ人がお茶っ葉が積まれた船に侵入して盛大にお茶を海にぶん投げたという話だ。
そんな大まかな歴史の経緯や当時の人々の暮らしや言葉を紹介するのがこの博物館。これがなかなかの迫力があって面白かった。$30ぐらいで1時間まるまるのコースを堪能できる。博物館を自分たちで見て回るというスタイルではなく、当時の格好をしたスタッフ(役者?)が寸劇をしながら事件のあれこれについて紹介してくれるというものだった。
ボストン茶会事件といえば、大量のお茶箱を海に投げるというところが象徴的なわけだけど、それも体験できるようになっていた。船に乗って紐で括り付けられたお茶箱の模型を何度も海に投げられるようになってる。子供達がこぞって集まって楽しそうにぶん投げていた。
役者による寸劇だけでなく、ちょっとしたムービーによる解説なんかもあって視覚的にもすごく楽しめる。終わる頃には少しだけ博学になった気にもなる。館内での撮影が許可されていないところが多かったので写真はあまり載せられないけれど、代わりに自身の目でぜひ観に行ってほしいなと思う素敵な場所でした。
ジョン・F・ケネディ博物館 (John F. Kennedy Presidential Museum & Library)
(ボストンが位置する)マサチューセッツ州にゆかりがある人物としてこの人を挙げないわけにはいかない。アメリカ合衆国の35代大統領、ジョン・F・ケネディさんだ。
ハンサムでチャーミングな顔立ちに、卓越したスピーチ力。加えてキューバ危機や宇宙開発戦争といった後世に深く影響を与える事件の数々。そしてマリリン・モンローとの不倫や衝撃的な暗殺も含めて、この人ほど人々の記憶に色濃く残っている政治家もいないだろう。
先ほど訪れたBoston Tea Party MuseumからUberを走らせること30分。モダンでひっそりした佇まいのこの建物がJohn F. Kennedy Presidential Museum & Libraryだ。
この博物館はケネディ大統領の軌跡を辿るれようにできており、彼の生い立ちから政治家として成功を収める過程がふんだんな歴史的資料と共に紹介されている。
博物館のスタートはもちろんケネディ大統領の若き日について。これがちょっと笑ってしまった。どうやら学生時代の成績は芳しくなかったみたいで「あんまり勉強はできなかった」みたいなことが書かれている。ここまで堂々と「勉強はイケてなかったよ」と書かれるのも恥ずかしいよな…とは思う。一方で「若い頃から神がかった人で賢く運動神経も抜群で…」みたいな嘘を言われるよりはよっぽど誠実でいいのかもしれない。
でも本人からしたら穴があったら入りたいくらいだろう(まあこの人の場合、これ以外にももっと隠したいことがいくらでもあるわけだけど)。
ケネディ大統領は雄弁なスピーチで有名なわけだけど、その一端はこの博物館で堪能することが出来る。彼のスピーチのアーカイブがいくつも映像として流されているのだ。この見せ方が実に格好良かった。選挙で競ったニクソンとの演説対決などは非常に見もので、まるで映画を観ているかのような気分にさせられる。この人はどこまでも"劇的"なのだ。
この博物館を出口を出ようとしたところ、彼が残した名言がいくつか掲げられているのが目に入った。その中で一つ、ぼくの心をとらえて離さないものがあった。それがこちら。
1961年の大統領就任演説で述べられたスピーチの抜粋だ。アメリカの自助の精神というものを、これでもかというほどクリアにかつ力強く表現している言葉だと思う。
この前半部分は特に有名なのでぼくも知っていたけれど、感銘を受けたのは後半部分 (太字にした部分) だった。ややもするとアメリカの真似に走りがちだよなと思う日本 (それは例えばぼくが働いているテクノロジーの領域では顕著なわけだけど)。アメリカがやることを追っていくよりも、もっと世界が良くなるために自分はなにをすべきかを真っ白な頭で考えてみる。その先に本当のクリエイティブみたいなものがあるかもしれない。
博物館を出た後、近くのバーに入ってイカフライを食べながらそんなこんなについて考えを巡らした。ぼくも頑張んないとなと思いつつ、昼からビールを飲む始末。まあ旅行中だからOKということにしよう。
ボストン美術館 (Museum of Fine Arts)
この日最後に訪れたのがボストン美術館。これまでボストン茶会事件とジョン・F・ケネディという内容の濃い博物館を回ってきた。加えて美術館も回るとなると少々お腹いっぱいかなーと一瞬脳裏によぎったが杞憂だった。
世界中の超一流の美術品が所狭しと並ぶこの美術館に飽きることはない。個人的なハイライトとしては、ジョルジョ・モランディの絵が入口近くにさらっと飾ってあったことだ。ぼくは日本でデッサンを習ってたときにこの人のことを知ったけれど実物を見るのは初めてだった。このわなわなとかすかに揺らいでいるように見える静物画がぼくの心をいつもざわつかせる。
ピカソ、マティス、そして目玉のミレーの絵などがごろごろ並んでいるので西洋絵画が好きな人にはたまらないだろう。
ただアメリカをいくらか旅行してきて、ニューヨークの近代美術館 (MoMA)やシカゴ美術館を観に行った経験から一つのことに気付いた。
それは建物の作りや展示の仕方がとても似ているということだった。モダンな感じの建物だったり、絵の見せ方だったりがよく似ている。きっと一流の美術館同士で切磋琢磨をしている結果なのだろうけれど、個人的には「美術館がどう絵や美術品をプレゼンするか」もアートの一つだろうから、その点は各美術館にもう少しユニークさというものを求めたい。
まあでも戯言ですね (笑)。なにはともあれ最高の美術館でした。
Sculler's Jazz Club
ひと通り一日の予定を終えたところで、近くのジャズ・クラブに寄ってみた。このシュラーズ・ジャズ・クラブ (Sculler's Jazz Club) はホテルの中にあるというユニークなものだった。
クラブの中も小綺麗で洒落ていた。この日の演目はフュージョンっぽいものですごく好みだったわけではないけれど、音がよくお酒もおいしく文句なしでした。
今日はそんなところですね。ここまで読んでくださりありがとうございました。少しでも気に入っていただけたらスキしていただけると嬉しいです。
ボストン旅行記はまだ続きます。乞うご期待。
それではどうも。お疲れたまねぎでした!
サポートとても励みになります!またなにか刺さったらコメントや他メディア(Xなど)で引用いただけると更に喜びます。よろしくお願いします!