ベガルタ仙台 vs 浦和レッドダイヤモンズ 試合感想
1.スターティングイレブン
スターティングイレブン
仙台のスターティングイレブンは前節とは7枚替え。
予想とは大きく違う結果となりました。
7月4日 土曜日に行われた湘南ベルマーレ戦のスターティングイレブンから、3名の変更が予想されているようです。
・予想スターティングイレブン
前節、タスクを大きく変更したサイドバック。
また、タッチライン際での1vs1を意図的につくることとなったウイングの立ち振る舞いに注目します。
2.ビルドアップ
予想通り4バックでのビルドアップとなりました。
一方で、手段としてはロングフィードではなく、ウイングへの足元へのパスということになりました。
湘南戦同様、4バックでのビルドアップを予想します。
ただし、足元でボールを繋ぐことはしないと思います。
・ビルドアップの予想
ビルドアップ:1-2-3-2-3
前節同様、ビルドアップは4バック+アンカーで成り立っていました。
違いは両サイドバックだと思っています。
今節は、タッチライン際でのプレーが多くみられました。
湘南とは違い、1-4-4-2のシステムで戦う浦和。
サイドバックの飯尾 / 柳が浦和のサイドハーフに捕まること。
また、横浜F・マリノスとの試合から、杉本がアンカーに対してマークしてくることも予想できました。
そういった背景から、サイドバック、ウイングがピッチの幅をとること。
それによって広がった中央のスペースを、吉野 / 正也といったボールを蹴ることに秀でた両センターバックが使うということを準備していたのかもしれません。
ただ、理想通りではなかったというのが僕の見解です。
サイドバックの選択肢
正也は相手選手を釣りだすために、わざと緩いパスを蹴れるプレーヤーです。特に浦和の場合は、それがチームとしての決まりごとなので、サイドハーフがプレッシャーにきます。
このとき、サイドバックは3つの選択肢を持っていました。
①センターバックへのリターン
②アンカーへの横パス
③ウイングへの縦パス
あからさまな図なので、僕の悪意がありますが、どの選択肢も死んでいます。
①センターバックへのリターン
浦和はセットポジションに戻ればいいだけです。状況は変わりません。
②アンカーへの横パス
椎橋がフィジカルに優れる杉本やサポートにくるディフェンシブハーフにボールを狩られたのは再現性がありました。
③ウイングへの縦パス
ゴールに背を向け、相手を背負い、パスコースも全て切られていたゲデスはボールロストしていました。
※なお、これは左サイドに限った話ではありません。
それでは、そもそもこの状況を作ってしまった時点で良くないのかというと、そんなことはありません。
蜂須賀、崇兆の選択肢
前節、蜂須賀、崇兆の両サイドバックには本当に驚かれました。しっかりとゲームメイクしていたからです。
彼らは、先ほどの①~③以外にも選択肢を持ち合わせていました。
④サイドチェンジ
⑤中へのドリブルからの展開
こういった選択肢を持っていて、ボールが奪えないことを相手に分からせる。
選択肢をみせて、スライドするべきか、するべきではないのか悩ませる。
その悩みが積み重なって、中央のスペースが空くのだと思います。
そういった悩みを浦和に与えられなかったことから、理想通りではなかったと僕は考えました。
今シーズンは、自分が活きるサイドバック(=スタッツに表れるアシストやクロス本数など)ではなく、周りを活かすサイドバック(=他の選手が優位になる状況を生み出す)として、プレーの幅が広がることを期待します。
3.崩しの局面
崩しの局面では、ウインガーが内側に入りセカンドストライカーとして。
サイドバックは外側でサイドアタッカーとしてプレーすることを予想しましたが、ウインガー、サイドバックともにタッチライン際でのプレーとなりました。
ウインガーは内側でプレーすること。そしてサイドバックが外側でプレーすることを予想します。
・崩しの局面の予想
崩しの局面:1-2-3-2-3
崩しの局面で目立ったゲデスは、圧倒的な1vs1の力を持つプレーヤーではなく、周りを活かすことに長けたチャンスメーカーでした。
特にスプリントが魅力的なサイドバックの柳とのサイドアタックは強烈。
浦和のサイドハーフ ファブリシオはサイドバックにマークし続けるのではなく、攻め残りを考えたスイッチをしていましたが、タイミングが合わず、橋岡へ一時的な2vs1を仕掛けることができていました。
非常にポジティブだったことは、柳が左足のグラウンダークロスを何度かあげたことです。
柳のボールの触り方から、左足で蹴るのは本当に嫌いなんだと感じていました。若干バウンド気味のグラウンダークロスになっていたので、得意ではないのでしょうが、しっかり左足で蹴っていたので一安心しました。
湘南戦に引き続き、崩しの局面では最後はクロスの選択となっています。
相手がしっかり守備ブロックを組んで撤退した場面のクロスとしては、ディフェンスの配置を崩し切れておらず、弾き返しやすい状況になっているので、今後に期待です。
4.ビルドアップ妨害
仙台のビルドアップ妨害は2トップへの可変を予想していましたが、1-4-5-1のまま、浦和を迎えうちました。
なお、僕が2トップへの可変を予想した理由は以下の通りです。
ゲデスにウイングの守備をさせるとは思えない
(撤退守備時にそのまま山中への対応が必須のため)
ウイングの基準を狂わせに山中がポジションを変えてくる可能性
アンカーシステムの場合、杉本がアンカー脇に降りてくる可能性 等
・ビルドアップ妨害の予想
ビルドアップ妨害:1-4-3-3
前提として
中央にポジションをとるディフェンシブハーフ(主に柴戸)へは赤﨑がついています。
また、サイドへのパスコースは両ウイングが消すようにポジションをとっています。
必然的にパスコースはギャップ(インサイドハーフ化した選手)しか残らないので、ギャップへのパスをスイッチにボールを狩り取ろうというのが高い位置での守備だと思います。
前半の15分頃までは、浦和のセンターバックに対して選択肢をなくし、高い強度でボールを奪い切るというのが上手くいっていたように感じます。
これは上手く嵌められていたから。というよりも、本当はどこの守備強度が高いのか、高くないのかをまだ浦和が把握できていない時間帯で、いろいろ試していたらミスが多発したという認識です。
担当は誰か
個人の守備強度という意味では、恐らくゲデスが最も脆かったと思いますし、チームの守備強度で最も脆かったのは山田の部分です。
山田のタスクは3つあります。
①センターバックからサイドへのパスコースを消すこと
②サイドバックのポジションに戻った山中を捕まえること
③ビルドアップ妨害から撤退守備になったときに山中を捕まえること
山中のポジショニングや局面の変化によって、都度タスクを整理、実行する必要がありました。
前提が①なので、どうしてもインサイドハーフ化した選手への優先順位は落ちます。
※①が前提となるのはセンターバックへのプレッシャーを関口が担当していたことから推測。マンチェスター・シティも同様の守備をしていることから個人の感覚による守備ではない、はず。
ゲデスの場合は、良くも悪くも与えられたタスク通りです。
サイドを切ること、そしてサイドにボールが出てしまったら戻ること。
どちらも対象となる選手が同一(=橋岡)だったので、それ以上の守備をしていません。
そうなると、浮いたファブリシオ(=よりゴールに近い選手)への意識が高まり、インサイドハーフ化した選手への強度が落ちる、というよりも優先順位が落ちます。
ある程度、空間と時間を持たせられる場所(=インサイドハーフ)に気づいた浦和(もしくは個人)は、その時の仙台の対応に合わせて、アンカーの脇に降りるフォワードへの縦パスやサイドに開いた選手の縦横へ運ぶドリブルから崩しの局面へと移行することに成功していきます。
以上から、本当はスイッチにしたいはずのインサイドハーフへのパスをスイッチにできなかったことが苦しんだ要因だと思います。
また、それを修正し、高い強度で圧力をかけたことが後半開始早々の同点弾にも繋がったと思います。
5.撤退守備
ビルドアップ妨害では2トップを予想しており、その流れで撤退守備も4-4ブロックを予想していましたが、1-4-5-1のブロックとなりました。
特徴のない4-4ブロックで、クロスをあげさせることはある程度許容。
ただし、フリーで高精度なクロスはあげさせないということに注力するのではないでしょうか。
・撤退守備の予想
特徴のないブロック(僕なりの最高の誉め言葉)というのは合っていましたが、「フリーで高精度なクロスはあげさせない」という部分は改善の余地があると感じています。
対面したディフェンダーはドリブラー、クロッサーとの距離感が遠く、J1で試合出場できる選手に与えていい空間ではないと感じました。
6.負けるということ
負けるのは、死ぬほど嫌いだ。
次は絶対に勝つ。
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