読書アウトプット・読後メモ 『人はどう死ぬのか』久坂部羊著 2022年3月20日発行
私自身関心を持った部分は、後半。逆にどう生きるかの部分でした。
が、前半に書いてあったことは、表題のどう死ぬかの一面でしたので、まずは先にさらりとだけ触れておきます。
生の無条件肯定と死の絶対否定に基づいて、結果的に下手な 最後を選んでしまう人が少なくないというお話でした。技術的には、人工呼吸、更に電気ショックを試し、それでも息を吹き返さないと気管支挿管で気道を確保をして、人工呼吸器につなぎ人工的に生かされます。更に生かしたい場合は胃ろうを処置します。(これらは家族が希望あるいは承諾した場合ですが)
いくら 否定しても死は必ず訪れます。上手に死ねなかった人を看取りながら、もしもこの人がもう1回死ぬことができたら次は失敗しないだろうな、と作者もよく思われたそうです。
さてと、私自身関心を持った“逆にならばどう生きる”かという部分。
精神面での上手な 最期を迎えるにはどうすれば良いのか。 「老人力」 の すすめとありました。 自分の人生に満足し、 十分に生きたと感じ、 心置きなく この世から去っていく 最期。
老人力 として、 「忘却力」というのは 老人 ならではの能力だと考える。 年がいって動きが鈍くなってきたら、「ゆっくり力」がついたと考え、効率的に動いたり考えたりできないのは「のんびり力」だと考える。
若い時は 効率よく動こうとして あくせくしますが、 後から考えると さほどの効果もないことが少なくありません。 それなら「のんびり力」で生きればいい。他にも不自由だとしても「受け入れ力」でやり過ごす。 現状に対して「満足 力」や「感謝力」を発揮して、毎日を平穏かつ 温厚に過ごしていく。
「マイナスの老人力」 、 すなわち 不平力 ・怒り 力・ 嘆き力・ 心配力・ 自己中心力・ 嫉妬力・被害妄想力などなど、自分を不愉快にしてしまうものから抜け出すための「プラスの老人力」。
満足と不満には絶対的な尺度などなく、 自分の期待と現実との比較で決まるものだから、 期待値を下げれば下げるほど満足感は高まる。つまり「 満足 力」とは 「期待値を下げる力」だ。老人力を発揮するためには老いる前から 心の準備をし 、欲望や不満をコントロールする努力をしてくる必要がある。
また感謝の気持ちを深めれば、不平も不足も不満もかすみ、自分に与えられた 多くの恵みや 親切 、幸運に気づき 、穏やかな気持ちになれる可能性が高い 。
最後は自己肯定と感謝の気持ちで、「 いい人生やった」と 自分につぶやきたいものです。