社会不適合者はマルチ・ポテンシャライトかもしれないからこの本読んでみて
冬が本気を出してきて、寒さが本格的になってきましたね。そんなときは、お家でまったり読書に耽るのも良いものです。
さて本日は『マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法』をご紹介します。
「絶賛キャリア迷子です」
「副業したいけど迷う」
「とにかく人生迷走してる」
「社会に馴染めなくて辛い」
そんな方にぜひ読んでほしい本です。
あらすじ
本書は、複数の分野に興味関心を持ち、クリエイティブに探求する人を「マルチ・ポテンシャライト」と定義しています。
たとえば以下のような人です。
✅️多彩な経歴を持っている人
✅️分野の異なる幅広い活動をしている人
✅️さまざまな分野に興味がある人
著者曰く、マルチ・ポテンシャライトはキャリアについて以下のような悩みを抱えがちです。
✅️やりたいことを一つに絞れない
✅️飽きっぽい
✅️中途半端
✅️天職が見つからない
この本は「天職は一つとは限らない」と述べ、複数の興味を持ったまま生き生きと活動している人の事例を多数紹介。マルチ・ポテンシャライトが自分らしさを失わずにキャリアを創る方法を解説したユニークな内容です。
読もうと思ったきっかけ
パラレルキャリアや複業、ライスワークとライフワークなら馴染みがありますが、マルチ・ポテンシャライトは初めて聞く言葉。
私も昔から興味の対象が複数あり、自分に自信が持てない時期がありました。興味や夢、目標は、一つに絞らなければ何者にもなれないと感じていたからです。
また、世の中のいわゆる「普通」になれないと感じることが多く、自分は社会不適合者なのかなと思って生きてきました。この本のあらすじを読んだときに「自分はこれかもしれない」と思い、読むことにしました。
やりたいことを一つに絞らなくても良い理由
人であれば誰もが持つ欲望、それは「幸せに生きること」だと思います。
では何を満たせば、マルチ・ポテンシャライトは幸せに生きられるのか?
本によると、秘訣は以下の3つとのこと。
✅️お金
✅️意義
✅️多様性
マルチ・ポテンシャライトの場合、やりたいことやなりたいものを無理に絞らなくても(というか絞れない)、これら3つのエッセンスを満たせば幸せに生きられるようです。
私が特に惹かれたのが、これらの幸せに生きる要素を「人生全体で満たす」という考え方です。
近頃わりと生き急いでいたのですが(笑)、短期間ですべてを満たさなくても良いと思うと、焦燥感が薄まります。
マルチ・ポテンシャライトの働き方4パターン
この本の素晴らしい点は、ユーモアを交えつつも根性論や概念的な話で終わらせず、事例や手を動かすワークなどを盛り込んだ実践的な内容であることです。
たとえばマルチ・ポテンシャライトの働き方には複数のタイプがあると説かれていますが、具体的なチェックリストを参考に自分に合うタイプを判断することができます。なお、自分に合った方法は一つを選ぶだけでなく、混ぜたり変化させたりするのも良いとのこと。
本によると、マルチ・ポテンシャライトの働き方のモデルには以下の4種類があります。
✅️グループハグ・アプローチ
一つの仕事のなかで複数の分野を行き来する
✅️スラッシュ・アプローチ
複数のビジネスやパートタイムの仕事を行き来する
✅️アインシュタイン・アプローチ
気力や体力的にほどよい安定した仕事と、熱意を持てる仕事を並行して行う
✅️フェニックス・アプローチ
興味に合わせて数ヶ月や数年ごとに業界を移り、特定のジャンルを順番に掘り下げていく
マルチ・ポテンシャライトがぶつかる不安や焦りへの対処法
本書では、マルチ・ポテンシャライトならではの不安として以下を挙げています。
✅️アイデンティティへの不安
(私は何者なの?)
✅️何度も初心者を経験
(永遠に一流になれない…)
✅️詐欺師症候群
(皆、私を買い被っている…)
これらの感覚、かなり身に覚えがあります。特にライターの仕事に就くまでは、アイデンティティの不安が大きかったです。いまだに「ライターだけれど、文章書くの得意じゃない」「全然すごくない。これしかできないだけ…」と思ってしまうときはあります。
まぁ、これはマルチ・ポテンシャライトの問題だけではなく、自信がつくほどの行動と実績が足りないからだと思っていますが…。人生全体で自己評価を上げられるように、ぼちぼち頑張りたいと思います。キリッ( ・ิω・ิ)
またこの本が親切なのは、「マルチ・ポテンシャライトとは異なる価値観の人」との向き合い方にも言及しているところ。本書はマルチ・ポテンシャライトの生き方を理解しがたい人に対し、以下の方法を示しています。
✅️時間を与える
✅️自分を信じてくれない人から離れる
人は「最も親しい5人の友人からできている」と言われているそうです。自分を信じ、支えてくれるコミュニティに所属することは無責任なことではなく、ありのままの自分を保つために大切なことなのでしょう。
本書を読んで感じたのが、マルチ・ポテンシャライトとして幸せに生きる決意をすることは、自分との約束を果たす行為でもあります。一緒に過ごす人を自分の意思で選ぶのは冷淡なことではなく、自分の選択に自信を持つことでもあると思いました。どうしても理解し合えず、居心地が悪いのならば離れる決断も必要ですね。
マルチ・ポテンシャライトは生産性システムの確立が大切
有名な資質診断ツールのストレングス・ファインダーと同じく、自分がマルチ・ポテンシャライトだと理解しても闇雲に動くだけでは理想の生き方には近づけないでしょう。
▼ストレングス・ファインダー
やりたいことが多いマルチ・ポテンシャライトが自分らしく生きるには、自分を正しくコントロールする必要があります。その入り口が自己理解であるなら、ラスボスは生産性といえそうです。
この本は生産性を高める、というよりも「自分に合う生産性の仕組みを確立する方法を説いています。
本書によれば、そのために大切なポイントは以下のとおり。
✅️取り組むべきことを決める(整理の仕方)
メリハリをつけるように工夫する。ひたすら試行錯誤する時間をつくるのも◎
✅️プロジェクトを辞める、または続ける(見極める)
自分なりの終点に達したのか、心が抵抗しているのかを判断する。
・辞めどき:退屈、じわじわ辞めたい
・心の抵抗:ワクワクもあるが急に辞めたい
✅️プロジェクトに取りかかる(仕組み化)
●ルーティンやマイルールを決める。
・次の小ステップを決めておく
・タイマーセット
・フロー状態を作る
●成果ゼロのときは、以下を意識。
・期待値を上げすぎない
・ささやかな成功を記録
●どうしようもないときは、日記を書いたり叫んだりして感情を解き放つ(!)。
おそらくマルチ・ポテンシャライトである自分にとって、こちらも相当、身に覚えがあるものです(汗)。安定した生産性は常にテーマの一つなので、備忘録としてこちらをメモし、コツコツと実践していきたいです。
▼積み木タイマー(私の造語です)
▼リフレーミング日報
まとめ
周囲に溶け込まなくてはならないと考え、人生の多くの場面で人と違うところを抑えていたという著者。
しかし、ある出来事を境に、ずっと許してこなかった自分のユニークさを売りにする許可をもらえた気がしたそうです。
著者と同じく、私もある意味では多彩な経歴を持つといえるかもしれません。キャリアに関していえば、手前から奥にまっすぐ歩いた記憶も、下から上に順序よく登ったような記憶もありません。特に10代から20代にかけては、「まともにならなくては」「社会に適合しなくては」と思い悩んできました。
ですがこの本を読んで、大多数から浮いている自分や変わり者の自分を抑える必要はない。隠さずにそのままの自分を出して良いのだ、と言われた気がしました。
著者自身が悩んできたからこその文章は、同じ悩みを抱える読者の背中を優しく押してくれることでしょう。読後はきっと「中途半端で飽きっぽい人間」ではなく、「自分は複数の才能を持っているのだ」と、ちょっぴり自信を持てるようになると思います。学生さんから社会人まで幅広い方におすすめできる本ですので、気になった方はぜひお手にとってみてください!
本の概要
・『マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法』
・著 / エミリー・ワプニック
・訳 / 長澤あかね
・初版の発行年月日
2018年9月4日
・出版社名
株式会社PHP研究所