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天安門事件から35年

 今日6月4日で、1989年の中国天安門事件から35年。当時、僕は大学2年生だった。北京、天安門広場に数万人の学生、市民たちが座り込み、民主化を要求した。天安門広場でのデモ、座り込みは2カ月にわたり、学生たちの主張、中国共産党政府との交渉をCNNをはじめテレビや新聞報道がその状況を世界に伝えた。当時大学生だった僕自身も同世代の中国の学生たちの民主化の訴えを支持し、その戦いをテレビ越しに見ながら応援した。
 結局、鄧小平は弾圧を決断し、趙紫陽総書記は失脚した。人民解放軍の戦車、装甲車が出動し、鎮圧により市民に多数の死者が発生した。当時のテレビニュース報道は断片的だったが、多数の学生たち、市民が亡くなり犠牲になったことが十分理解できた。その弾圧と殺戮の凄惨さ、非道さに僕自身は怒りがおさまらなかった。民主化を訴えた多くの学生たちが死傷し、逮捕拘束された。そのときの怒りは一生忘れられない。
 あのときまだ僕たち日本の学生たち、市民は中国の学生たち、市民とは海と国境を超えて心がつながっていたように思える。そのときの心のつながりは今どこへ行ってしまったのか。現代の中国と僕たちはどう向き合うべきか。中国に併合され自由と民主主義を奪われた現在の香港の市民の思い、そして独立と自由を守ろうと戦っている台湾の市民と、僕たちはどう向き合うべきか。
 香港の市民、台湾の市民、さらには弾圧されているウイグルの人々、抗議活動を続けているチベットの人々を考えるとき、常にこの天安門事件に立ち返えるべきである。現代の「人間の安全保障」、「人権の安全保障」の観点から、僕たち日本の市民も中国政府と向き合い、対峙する必要がある。

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