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【世界難民の日 緒方貞子先生】

 今日6月20日は、「世界難民の日」です。  僕がこの世界の難民問題について知り、真剣に考え始めたのは大学1年のとき、緒方貞子先生の講義や講演を聞いたことがきっかけでした。当時の緒方先生は国際政治学者として大学で研究教育されていましたが、当時から世界の戦争紛争地を駆け巡り、現場を大事にしながら、現場主義と理想と哲学を結びつける「行動の人」でした。後に、日本人初の国連難民高等弁務官に就任され、世界の紛争地で難民対策の指揮をとられました。  緒方先生から学んだことは、世界の難民の方々には政治的、経済的に多様な事情があるが、圧倒的に多数で困難な事情は、戦争や紛争により母国を出なければならなくなった難民、避難民であることでした。現在のロシア軍侵攻によるウクライナの難民の人々もそれにあたります。  緒方先生は国際政治の観点から、世界の戦争紛争をその目で見て知り学び、平和を構築する「平和構築」(ピースビルディング)の視点から難民問題を考察し、解決しなければならないと指摘、世界に訴えられました。それは戦争紛争だけでなく、民主主義と人権の問題でもありました。人道主義に基づいた緒方先生のその行動力とメッセージは極めてインパクトがありました。  世界の平和構築から、難民、避難民の問題を解決することは、日本国憲法が示す世界の平和、そして平和主義の根幹と繋がる理念ですが、現在の日本政府による難民政策はその理想から程遠い状態にあります。 緒方貞子先生が世界の市民に、日本人に訴えた理想は世界を大きく変えました。それが社会教育であり、理想的なリスクコミュニケーションだと思います。そのためには、世界の戦争・紛争を学ぶこと、知ることも重要であり、安全保障研究や教育の充実はそのためにも重要です。世界の平和構築のためのリベラルな安全保障研究、安全保障・危機管理研究のリベラル・アプローチが現在の日本に求められていると、世界難民の日に考えました。 (※ この記事は、福田充研究室が朝日新聞コメントプラスに投稿した記事を転載したものです。)

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