フジテレビ記者会見から見える取材リテラシー問題
今回のフジテレビ記者会見では、言語行為、コミュニケーション行為として、質問する記者の側からの①自説の宣伝、演説、②社会運動的な立場からの追及・要求、③吊し上げ・恫喝的表現のような、本来の記者会見での質問からは逸脱したものが多かったと思います。
多様な立場の記者、ジャーナリストが参加すること、多様な意見や多角的な質問が発せられることは、多様性や民主主義にとって重要なことであり、十分な時間と発言の機会が確保されたことは良いことですが、その機会、チャンスを十分に活かしきれていない、こうした記者会見にとって必ずしも有益とは思えない記者からの発言も多かったと思います。
そうした状況は、放送により開かれた視聴者に対して、記者、ジャーナリストやメディアに対する不信につながる可能性があり、そうしたメディア不信、ジャーナリズム不信は、民主主義の危機的な状況につながります。そうした事態に陥らないようにするためにも、記者やジャーナリストの質問力、取材リテラシーの向上も、開かれた民主主義社会にとって極めて重要な課題であることを、今回のフジテレビ記者会見と記者による質疑応答が示したと思います。
(※この記事は日本大学危機管理学部・福田充研究室が朝日新聞デジタルにコメントプラスした記事を転載したものです。)
https://www.asahi.com/articles/AST1Y1FNJT1YUTIL01MM.html