【ジョン・マケイン元上院議員死去から三年】
2018年8月25日、ジョン・マケイン上院議員が逝去されました。あれから3年です。81歳。改めて心よりご冥福をお祈りします。覇権国家アメリカとして、世界の安全保障のリーダーシップをとれたのはオバマ大統領でも、トランプ大統領でもなくマケインだったのではないかとかつてから個人的に思っています。人間の安全保障を体現する政治家は、オバマではなくマケインではないか。
オバマ大統領の8年間、トランプ大統領の1年間の間、ロシアと中国がハイブリッド戦を背景に世界の安全保障に台頭してきた状況と、マケイン上院議員は闘ってきました。だからと言ってマケインは単なるタカ派ではない人間味や人道主義を兼ね備えていました。
僕の個人的な思い出は僕がコロンビア大学戦争と平和研究所客員研究員としてNY生活のとき2008年大統領選挙、コロンビア大学でオバマ対マケインの討論会が開催され、僕は知人のNY1記者と一緒に討論会に出席して、マケイン候補と挨拶、握手したときのことでした。
コロンビア大学での2008年大統領選挙討論会。オバマ大統領はコロンビア大学出身で大学教職員や学生のほとんどは民主党支持、オバマ支持の中、マケイン候補は極めて紳士的に、かつ丁寧に議論し、聴衆と向き合いました。この誠実さがマケイン上院議員の素晴らしさでした。
こうしたマケイン上院議員の人間味、誠実さ、人道主義が、単なる泡沫候補ではなく、最後までオバマ候補を追い詰めたマケイン上院議員の魅力だったと思います。元軍人、ベトナム戦争で捕虜生活5年、こうしたヒーロー像だけでない、アメリカ的価値の象徴でした。
政治的にはマイノリティに優しい穏健的保守派、経済的にはレーガノミクス、安全保障では米国の強い国際的リーダーシップを主張するマケイン上院議員のポリシーはときにリベラルでもあり複雑でした。マケインは今のアフガニスタン情勢の混迷をどのように見ているでしょうか。心ある政治家がまた一人旅立ち消えました。世界にとって大きな損失でした。久しぶりに福田研究室のマケイン本を手にとり読み直したいと思います。改めてご冥福をお祈りします。