ウクライナ軍F-16戦闘機墜落
数か月から1年をかけて訓練されやっと育ったウクライナ人兵士のF-16戦闘機パイロットの命をウクライナ軍は失った。F-16戦闘機がウクライナ軍に何機供与され配備されたのかは、機密情報として公開されていない。一部メディアでは6機とするものもあったが、この極めて高価で希少な戦闘機の配備数は多くても十数機からそれ以下だろう。その貴重な支援の成果を、実戦投入後早くもウクライナ軍は失った。その支援してくれた各国、世界に対してゼレンスキー大統領はこの墜落の責任を示さなくてはならなかったのだろう。
時間をかけて訓練され育ったF-16戦闘機専用のパイロットの数もそれほど多くはない、貴重な存在である。その貴重な存在も失った。本来数年の訓練と経験が求められる戦闘機のパイロットを、戦争中とはいえ数か月から1年で急造したわけだが、やはりそこにも無理があったと言わざるを得ないだろう。訓練も実践経験も足りない状況をどう克服するか。
やっと供与され実戦投入されたF-16戦闘機が墜落したことは、ゼレンスキー大統領にとっても、ウクライナ市民にとっても、支援する欧米諸国にとっても大きな衝撃だろう。「ウクライナ軍への支援、兵器供与は無駄である」、そういう声や世論が世界で発生しないように、ゼレンスキー大統領は最大の注意を払っている。今回の重すぎるとも思える解任の背景にはこうした苦渋の決断があったのではないか。
(※ この記事は朝日新聞デジタルのコメント・プラスで日本大学危機管理学部・福田充研究室のコメントを転載したものです。)
https://www.asahi.com/articles/ASS8Z6WZ7S8ZUHBI02RM.html