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【デュアルユース問題】

 僕たちは今までも長い時間をかけて大学や研究会、各種委員会、色々な場で何度も何度も繰り返し議論してきた。科学技術のデュアルユース問題について研究段階において科学的基礎研究とその使用目的の厳密な分離や厳格な運用は困難であり、結局は多くの大学や研究機関は現在のところ研究資金の出所で規制しているだけの誤魔化しをしているに過ぎない。誤魔化しながら学問の自由を守り、そして抑圧している。
 科学のデュアルユース問題はどんな学問領域にも関わる。それは軍事研究に限らない。医療でもITでも原子力でも。当然僕の危機管理学においても、テロ対策や安全保障、情報セキュリティ、感染症対策でも深く関わっている。そのことを議論し、研究倫理を確立し、自主規制するために本来は学術的コミュニティは必要だ。これ以外にもそうした科学的倫理に関わる問題はいくらでもあるだろう。生命倫理しかり、SDGsしかり、LGBTしかり。
 こうした問題を議論し、合意形成するための学術的コミュニティがどうあるべきか、政治や権力とどう関わるべきか、その本質的議論を日本はもっとしなければならない。そのために様々な学会や日本学術会議は本来あったはずだ。そのように機能してきたことも、逆機能をもたらしたこともあるだろう。思えば僕はこの30年くらいずっとこの同じ問題と戦ってきたと思う。
 おそらくこのように白黒つけず誤魔化しながら空気で支配して抑圧するのが日本的コミュニタリアン社会の本質なのかも知れない。

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