文化人類学カフェ便り2013年12月

「家」

 11月15日の人類学カフェは『家』がテーマだったわけですが、参加者全員が家に求めるものとして共通していたのが「解放感」でした。窓の位置だったり、風通しだったり、明るさだったり。「庭へつながる広い縁側があれば様々な人が出入りできて解放感がでるのに」という意見も出ました。

 考えてみれば「家」はもともと個人の所有物ではなかったはずです。一族のものであったり、ムラのものであったり。「所有」という考え方が入ってきたのは明治の時代。その頃は公的空間が「家」の中にもありました。「縁側」や「客間」「勝手口」という言葉がそれを表しています。

 でも、「所有」は、高度経済成長期にゆるやかに「プライバシー」という考え方に移行していきます。一昔前に家の条件を聞いたら「一人部屋の確保」は重要だったわけですが、今また公的な場所がほしいという話になっている。何か時代が変わりつつあるのかもしれません。

 次回は、「たのしむ/たのしみ」です。


※特別養護老人ホーム グレイスヴィルまいづる発行の『ぐれいす村便り(2013年12月号)』掲載分を加筆修正しています。

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