2025年2月4日(火) ゴッドハンドOTリハビリ24

神の手作業療法士:G
ふくT:T
妻:P
G:今日いいね。足首がいい。立ち上がった時に踵が浮いてしまうけど、膝がちょっと曲がっているから。
T:昨日1時間ほどマッサージしたのですが。
G:(麻痺側の左足の)踵が床についているんです。少なくとも単関節筋は大丈夫そう。立った時の膝の屈曲は、腓腹筋の方が原因か、膝の裏についている筋肉のせいか。あとはハムストリングかも。
T:ハムと腓腹筋の長さが出てくれば、膝がもっと伸びるかもしれない?
G:うん。そうですね。原因が何か探ってみますね。
G:大胸筋は内転。三角筋は外転とか屈曲とか難しい方。挙上させた状態で入る。
T:挙上させた状態でないと三角筋に力が入らないのですか?
G:そうですね。(麻痺側の)肩がちょっと亜脱臼しているんですね。肩甲よりも上腕骨頭が下にあるんです。1横指(おうし)はないんですが、1横指は指(横幅)1本分ですが、1cmちょっと。ここ1cmくらい空いてるんですね。上腕骨が肩甲骨から離れ過ぎちゃっている。三角筋が伸ばされちゃっている。うーんと伸ばされちゃっているところから、なかなか力は出ない。棘上筋で上から引っ張って、上腕骨頭を上に吊りあげる操作をするんだけど棘上筋がなかなか働いてくれない。だから全身の筋肉を使って、なんとか挙げようとするんですね。腕をちょっと挙げると、少し三角筋に(力が)入ってくる。
T:この亜脱臼の状態は元に戻らないのですか?
G:棘上筋が入ってこないと戻らないんですね。インナーマッスルに(脳から)命令が行ってない。棘上筋に筋活動があまりない。停電している感じ。
T:棘上筋が活性化してくれば亜脱臼が治る可能性があるんですか?
G:そうですね。
G:ちょっと棘上筋に刺激を入れて、亜脱臼を修正して棘上筋が入りやすい長さを作ってやると、(左腕の)外転トルクは出るんですね。
T:動かないはずの左腕が三角筋か棘上筋のどちらかの働きで、少し外転させられるんですね。
G:多分、三角筋にスイッチが入る。棘上筋らのインナーマッスルが働かないと、三角筋は働けない。(肩の)インナーマッスルは4本あって、上腕骨はボールで、肩甲骨はお皿になっていて、お皿がちょっと下を向いていて、ボールがくっついている。重力で落ちるので棘上筋が上から引っ張っている。棘下筋も。
T:棘下筋も棘上筋もインナーマッスルなんですか・
G:そう。あと、肩甲下筋と小円筋。その4本がインナーマッスル。インナーの仕事は駆動ではないんです。スタビリティー、安定です。ボールがお皿の上を移動しなければいけない。上手くボールが回ればいいんですけど、ボールがあちこち動いてしまうと上手く回れない。お皿の上にボールはいて欲しい。アウターの筋肉が引っ張った時に、ボールの位置がずれないように、インナーマッスルでこの位置をコントロールしている。インナーが効かないと抜けちゃう。
T:抜けちゃうのが脱臼なんですか?
G:そうですね。完全に外れたら脱臼。
T:大谷翔平はちょっと外れたんですね。
G:そう。インナーが伸びきっちゃったら外れちゃうし、切れちゃっても外れちゃうし、インナーが抑え切れないから脱臼になる。これは下方に落ちている亜脱臼。外れてはいないけど棘上筋らのパワーが落ちてしまっている。見かけ上、落ちてしまっている。
G:インナーマッスルの特徴として、三角筋が働く0.03秒前にスイッチが入る。(インナーが)先行して(スイッチを)入れるんです。入れ終わるか終わらないかのうちにアウターマッスルが働く。逆だったらだめ。
T:逆だと(腕が)持って行かれてしまうのですね。
G:シークエンス制御と言って、これやってこれという順序がある。筋肉は全部が一緒に「せーの」と動くわけではない。「せー」で動いている奴がいる^ ^
T:「せーの」で動いたら動きが固まってしまうのですか?
G:上手く動かない。肩関節の制御に関してはダメです。脱臼してるんだったら、ちょっと入れて制御してあげないと(力が)出ない。
T:(上腕骨頭を)本来のポジションにインナーマッスルの力で置けないから人為的に戻してあげて、それから三角筋とかを動かさないと、よろしくないと。
G:そう。インナーマッスルが働いてない印象があれば、インナーマッスルを自分がサポートして、サポートした状態で「じゃあ、挙げてみて」と言わねば。
T:それを知らないでやっちゃうとまずいですね。
G:ボルトが斜めになって回しちゃう。斜めになっているのに回すと変なトルクがかかります。そういうような状況になっている。回るはずなのに止まっちゃうから。そこで気づいて調整できればいいんですけど。素人が力ずくで回すと壊れる。肩関節は繊細なんです。変な形で動かすと痛みが出ます。痛いと言われるので、動かす方も止めます。
T:「腕触れ!」と、本来インナーから動かさねばならないのに無理矢理アウターを動かしたらダメなんですね。
G:そうです。健常者はみんなインナーが働くんです。
T:それは無意識に働くのですか?
G:無意識。眠っている人の手を持って引っ張ったら(肩が)外れるかも。
T:覚醒してさえいれば、インナーマッスルが0.03秒先に働くのですね。
G:仰向けになってる人の手を持ちます。引っ張って起こす時、インナーマッスルが働きます。だから上半身もついてくる。でも、眠っている人の手を同じように引っ張っても上半身はついてこない。
T:起きている人の手を持って引っ張ればカラダもついてくるけど、眠っている人の手を引っ張るとインナーマッスルが働かないから肩が外れてしまう可能性があるのですね?
G:肩が抜けちゃいそうになる。寝ている子の手を引っ張ると抜けちゃいそうになるでしょ(確かに)。
T:寝ている子に「早く起きなさい」と言いながら手を引っ張るのは危ないですね。
G:そう。危ない。抜けちゃう。目を覚ましている時に引っ張れば、向こうから起きてくる。インナーマッスルが手とカラダを繋げるから。
G:インナーマッスルは、もちろん、体幹にもあります。
T:大腰筋とかですね。それも0.03秒先に動くのですか?
G:原理的にはそうですね。腹横筋は呼吸筋でもあるので、もっと無意識ですね。姿勢制御にも関わるし、内臓が飛び出ない働きもしている。
ーーここで端座位から仰向けになるーー

G:ちょっと持ってあげないと、手をお腹の方に持ってこれないですよね。
T:それは初動が動かないということですか?
G:肘が曲がってこないんです。肘が曲がってこないと、大胸筋だけなので体側に引っかかってしまうんです。上腕二頭筋で先に肘を曲げてからお腹の方に持ってこられればいいんですが。上腕二頭筋を使わないと、長い棒の端の方を持って動かすようなもの。肘が曲がってくるとテコの原理でくるんですけど。
T:上腕二頭筋にスイッチが入れば肘が曲がるんですね。
G:上腕三頭筋は入るんですけど。
T:肘を伸ばす方の筋肉の上腕三頭筋に力が入るから肘が伸びてしまうのですね。
G:上腕三頭筋で伸ばして大胸筋でお腹の方に持ってこようとする。三角筋が働けば、強引に持ってこれなくはない。(上腕が)内旋位では三角筋は働きにくい。
T:(上腕)内旋だと三角筋に力が入りにくいけど、外旋だと入るんですか?
G:外旋位だと手を挙上しやすい。
T:内旋位だと肩の可動域が制限されるということですか?
G:内旋位だと、肩の構造上、上がらない。内旋位だと三角筋が短くなる。
T:要するに、内旋位だと三角筋が短くなっているのに、短い状態から力を入れてより短くしなければならない?長い状態からグッと短くした方がいい・
G:ストロークがいい。長過ぎても良くない。
T:長過ぎちゃうと、これもまた、力が入らない?
G:おいしいポイント。トルクが出るポイントがある。上腕二頭筋だったら90°。上腕三頭筋は30°くらい。
T:上腕三頭筋は鈍角からグッと力を入れた方がいいんですね。
G:力士が押す時はそうなっている。感覚的にわかっている。
T:少し肘が伸びた状態の方が三角筋が効くということですよね。テッポウは柱に向かってやるので、自然と上腕は外旋ですもんね。
G:親指は上ですよね。
T:柱相手にやるから親指は上になりますよね。
G:相撲みたいに歴史のあるスポーツは、科学的とかでなく感覚でわかっている。経験則でやっているけど理にかなっている。力学的、科学的に正しい動き。
T:その肘の角度は、膝の角度にも同じことが言えますか?全く別ですか?
G:全く別ではないですね。膝もだいたいそうですね。屈曲30°くらいが1番力が出ると思う。
T:一歩目出る時に膝が伸び切っているよりは、ちょっと膝が曲がっている状態でカカトを踏んだ方がいいということですよね。「我が意を得たり」という感じ。自然にそのくらいの膝の角度で動き出している。
G:相撲は膝曲げた状態でスタートするけど相手にぶつかる瞬間の膝はいい角度になっている。
T:しかも、当たる時にカカトを踏んでますよね。爪先立ちではない。
G:テニスのレシーバーの構えも同じですよね。膝が少し曲がってカカトを踏む。
G:ただ、その膝の角度は人それぞれです。カカトをつけたまま座れない人いるでしょう(和式トイレに座れない人か?)。そういう人はみんなと同じ低い姿勢は取れない。
T:この角度が絶対ということはなく人によって力を最大限出せる膝の角度は違うんですね。ネイマールがこのくらい曲がっているから同じような角度にしろというのはおかしいんですね。
G:関節の全可動域は人によって違うから。
T:その全可動域は広くなるように努力した方がいいのですか?
G:もちろん。
T:お相撲さんは股割りをする時にブチっと切れるくらい上から押して股関節の可動域を広がると聞きますが。あれはいいんですか?
G:良くない。若い頃で痛くて1週間くらい休んでもいいならまだしも。あれは切れるんですね。
T:切れるって何が切れるんですか?筋肉が切れちゃうんですか?切れたら修復するんですか?
G:します。全部切れるわけではない。筋肉って10本の束が、その一束が10本集まって、それがまた10本集まっている。1000本のうちの50切れても大丈夫。でも切れたら痛いですよ。その切れた筋肉が治る時に長くなる。
T:ふつうの人で大人になってから股割りするには、ゆっくり伸ばした方がいいですよね?
G:温めてゆっくり。強引にやると捻挫と同じような炎症になっちゃう。やり方によっては逆効果。強引にやって痛くなって、しばらく動かなかったら、もっと硬くなる。お相撲さんの真似はしない方ががいい。温めてほぐして。
G:動かない原因は筋肉だけでなく、関節に原因がある場合もある。
T:関節がどうだと動かないのですか?
G:関節が硬くなっている。
T:関節が硬くなるってどういうこと?
G:関節の可動域制限。
T:先天的に球関節の可動域制限がかかっている人がいて、どうにもならない人がいるということ?
G:関節がこれ以上動かない。関節を包んでいる膜、組織が硬ければ、制限がかかってくる。
T:同級生で胡座かけない奴がいたんですけど、もの凄い運動神経だったんです。
G:それは、ある筋肉が短いんでしょうね。
T:以前、先生が外旋していた方が背屈しやすいと話されていましたが、逆に言うと、背屈していた方が外旋しやすいんですか?
G:背屈制限があると外旋した方が見かけ上背屈みたいな感じ。外旋した方が踵が付きやすい。厳密に背屈しているかと言うよりも、踵がつきやすい。
G:じゃあ、お疲れさまでした。
T:ありがとうございました。

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