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#3 家族とは

家族の定義。
それは、昔からずーっと分からない問題の一つだ。
血の繋がりを家族とするならば、祖父母や従兄弟は家族といえるのか?
一緒に住んでいる人のことを言うのだろうか?
○人家族って、何を基準に言ってるの?
学校でそんな話が出るたびに、モヤモヤした気分になった。

仲良しの家庭に生まれ育っていたら、そんなことは考えもしなかったのかもしれない。
我が家は、昔から両親の仲が悪く、家庭内別居という名の冷戦状態が長い間続いていた。離婚して父が家を出ても、生活は何も変わらなかった。それが悔しくて、悲しかった。父は父なのに、家族とは呼びづらい環境が、思春期のわたしにとってはストレスだった。
家族が嫌いだった。
仕事も育児も家事も全てこなしてくれた母には申し訳ないけれど、正面から向き合ってくれない母が許せなかった。
わたしに対しては酷い態度なのに、素直で甘え上手で両親や親戚に可愛がられる妹も、自分のことしか考えていない父も、大嫌いだった。
当時流行っていたホムペの好きなもの・大切なものを書く"Love"のコーナー。周りの友達はみんな、"家族"を上位に書いていたけれど、わたしは一度も書かなかった。いや、書けなかった。
家族なんていないと思っていた。そう思わないとこの孤独な気持ちに打ち勝てなくて。一緒に住んでいる人を家族だと言う説も、血の繋がりを家族とする説も、全部クソ喰らえ状態だ。

家族の定義は今でも分からない。
でも、わたしも大人になって、保育者として保護者と関わるようになって気付いたことがある。やり方は違えど、親は子どもを守るために必死なこと。手探りでの育児で、たくさん悩んでいること。いつだって我が子を大切に想っていること。何より、親も姉妹も、世界で唯一の存在であること。

社会人になってからは、少しずつ歩み寄れるようになった。もちろん後退する日もあるけれど、家族が嫌いだったあの頃よりは、マシになったと思う。本心は言えなくても、日常のくだらない会話で盛り上がれたらいいやと割り切れるようになった。一緒に過ごせる、親が元気でいられる年齢の折り返し地点がちょうど今くらいだろう。特別な親孝行、とはいかないかもしれないけれど、自分が元気に楽しく生きている姿を見せられたらなと思う。

とにかく自分の居場所を見つけたかった時は、早く結婚して家庭を持ちたいと思っていた。でも今は、そんな自信もないし、もう少し実家で距離を縮めたいと思う。

今まで誰にも言えなかった、自分の家族に対する気持ちを文章にできたこと、これも第一歩。

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