第14回Book Fair読書会@池袋~犬かキャットかでパフェ屋で喧嘩しよう~
アルコールが入ると、アーティチョークと芽キャベツの区別もつかなくなります。ふっかー復活委員長です。
第14回のBook Fair読書会は、Book Fairの聖地(?)、池袋で開催しました!
今思えば、初めて「マイ帯」スタイルを導入したのも、今年1月のBook Fair@池袋でした。そこから、一気に読書会が成長できたように感じます。
今回は、初参加の方が3人も!本当にありがたいです!それでは、お馴染みのニャンちゅうさん&ヒロさんから順番に、本を紹介していただきましょう!
◆ニャンちゅうさん(10)→落合陽一、堀江貴文『10年後の仕事図鑑』SBクリエイティブ
マイ帯【未来の心配より、今を頑張ろう】
最近の日経新聞は、AI(人工知能)に関する記事やコラムが物凄く増えてきたと感じます。特に、AIによって何年後かに消える仕事、という切り口が多い。そのせいか、ふらっと立ち寄った本屋さんで、目に飛び込んできました。
これからは、単純な事務作業はAIに任されるようになります。逆に、AIは過去のデータの学習に基づき、未来の予測もしてくれるので、それを使った職業が増えていきます。
消える職業としては、例えば弁護士や公認会計士など、司法に関する仕事。あるいはビットコインなどの仮想通貨が当たり前になるので、銀行も必要なくなると書かれています。一方で、建築業など、肉体労働を求めれられる仕事はなくならないのではないか、と予測されています。
面白い予想としては、営業マンの評価基準が(SNSの)「いいね」や「フォロワー」の数になる時代が来るかもしれない、というものもありました。
あとがきでは、「未来を心配するよりも、今を頑張ることで、自分自身の未来を切り開こう」というポジティブな言葉が書かれています。
例えば、同じ事務であっても、経営企画に関わる仕事は、必ずしもなくなるとは限りません。あるいは知識があって、なおかつ「共感」する能力があれば、士業にも可能性はあります。
予測が現実になるのかどうか気にするよりも、今の自分の仕事をしっかりやっていこうと思いました。
◆ヒロさん(8)→斧屋『東京パフェ学』文化出版局
マイ帯【今度パフェ一緒に食べに行きませんか?】
著者の斧屋(@onoyax)さんは、パフェが大好きな「ツイッタラ―」です。毎日、凄い勢いでパフェの画像をアップしているおじさん…。そんな彼が、パフェに対する偏愛をひたすら語り続けるという、夏にぴったりな本を持ってきました。
パフェと一口に言っても、フルーツパフェ、パティスリー、和パフェ、コンビニスイーツ、手土産用など様々です。本当に、見ているだけで楽しくなってきますね。
写真以外で面白いのは、著者が冒頭でぶち上げている、(アイザック・アシモフの)ロボット三原則ならぬパフェ三原則ですね。
「その1 空きっ腹に食うべからず」→パフェは精神に彩りを与える一方で、我々に謎をかけ、精神に快い負荷をかけるものである。だから肉体的に余裕のない状態で食べてはいけない…何を言っているんだこの人は!ってなります(笑)。でも、この本はこうしたクレイジーな部分を愛せるのがいいな、と思います。
特に良かったのは、「パフェは、時間芸術である」という言葉です。パフェには色んな食材が使われていて、層ごとに味が違う。しかし、グラスに盛り付けられているので、上から縦方向にしか食べることができない。しかも、時間と共に溶けて、味が変化していく。著者はここに、「起承転結」の物語性・芸術性を見出しているんです。
誰かとパフェを食べに行く時、こんな面白い本があると盛り上がります。いやむしろ、この本を渡して、パフェ会に誘っちゃおう!ということで、帯は「今度一緒にパフェ食べに行きませんか?」です。
★ふっかーの【こちらもオススメ!】新井見枝香『この世界は、思ったほどうまくいかないみたいだ』→パフェと小説の共通点とは!?
◆こーせーさん(14)→貴志祐介『新世界より(上)』講談社文庫
マイ帯【長いけれど気を抜くな!最後までおもしろいから!】
ひとり暮らしをしていた頃、何もすることのない休日に読んでいた本です。上中下巻、しかも一冊が約500ページ×3なので、全体で1500ページくらいあるという長編です。そしてミステリーなので、いかにネタバレせずに紹介するか、難しさを感じています(笑)。
貴志祐介さんは、グロテスクな描写に特徴のある「エグい」作家です。人が刺されたり、銃で撃たれたりするシーンを、ただ結果を書いて終わりではなく、過程を物理的にも堂々と描いている。賛否両論はありますが、僕はそこに良さがあると思います。
そんな描写も、ストーリーがしっかり面白いからこそ引き立ちます。どんでん返しや伏線回収が終盤に沢山用意されていて、「最後まで読んで良かったな」と思える小説でした。だから、帯には「長いけど、挫けるな!」という思いを込めました。
この物語には、子どもの超能力者たちが登場し、彼らには常識が通用しないという場面があります。これを読むと、僕たちが異文化に出会った時でも、その裏側を想像する助けになるのではないでしょうか。
みんなに「あんな事やってるよ」と笑われている人がいたとする。じゃあ果たして、笑っている方に正しさがあるのか?ということが、世の中にはあるよね…と思わされます。
◆スゥさん(初)→エリン・ハンター(訳:金原瑞人)『ウォーリアーズ 〈1〉ファイヤポー、野生にかえる』
マイ帯【人間の知らない猫たちの闘い】
今日は、小学校の頃に好きだったシリーズを紹介します。帯にも「人間の知らない」と書いた通り、これは野生の猫の視点で描かれた物語です。人間も登場しますが「二本足」と呼ばれ、猫たちからは嫌われています。
作者は複数いて、シリーズも4期まで出ていますが、私は第1期が一番面白くて好きです。児童書にしては文字が多くて分量もあるので、友達にはあまり流行らなかったのですが…。
猫たちは4つの部族に分かれ、それぞれ縄張りを持って生活しています。その様子がリアルで、例えば「ネズミの捕まえ方とウサギの捕まえ方は違うんだよ」「ごぼうの根っこでドブネズミの化膿が治る」とか、細かい所が面白いですね。
(タイトルが示す通り)部族同士の戦いが多く、死んでしまう猫も普通にいます。まず、主人公が飼い猫から野生にかえったその日には、もう副部族長(副長)が死んでしまいます。
また、位が上がるごとに猫の名前が変わったり(ファイヤ→ファイヤポー→ファイヤハートなど)、九つの命を持つ猫がいるという「九生伝説」が語られるなど、印象に残る設定も多いです。猫にも師弟関係があって、就職した今になって読み返すと、人間社会に似ているなと感じます。
★スゥさんの【こちらもオススメ!】エリン・ハンター『サバイバーズ』→こちらは犬が主役です!
◆如水さん(初)→安里アサト『86-エイティシックス-』電撃文庫
マイ帯【その「戦場」に「死者」はいない...... -汝、矜持を正せ-】
今日はライトノベルを持ってきました。軍服姿の男女が向かい合うイラスト、この表紙からは「戦場のボーイミーツガール」なあらすじを想像してしまいます。
しかし、実際のストーリーは非常に重いです。まず、一行目が「豚に人権を与えぬことを、非道と謗られた国家はない」ですからね。ボーイミーツガール系ではなく、人間の倫理や尊厳がテーマになっています。
作品の世界は、共和国と帝国だけになった近未来。AI技術が発達し、無人兵器の生産や、敵国への電子妨害が行われています。
無人兵器同士の戦争なので、どれだけ戦っても「今日の犠牲者は0人」と発表されます。でも実は、共和国は無人兵器の技術で劣るため、密かに無国籍の少年を兵士として投入しています。この事実が、冒頭の一文に集約されているんです。
ゲームが好きな人でも楽しめるマシンの戦闘がありつつ、哲学的な言葉も織り込まれている。その全てが「人の倫理や尊厳の果てに、国家が行き着く先は何なのか?」という問いにつながっていきます。帯は、作中の印象的な言葉を主題に、「人間のプライドを守りなさい」という意味を副題に付けました。
ラノベは1作目が売れなければそこで終了となってしまうので、(結果的に続刊されたけれど)この一冊だけでも綺麗に完結しています。是非読んでみてください。
◆Moecoさん(初)→えらいてんちょう『しょぼ婚のすすめ 恋人と結婚してはいけません』
マイ帯【婚喝は計画的に!恋人の部屋にゼクシィを置くより効果的!ただし恋人があなた以外と結婚しても自己責任。人生100年時代、結婚は国家が推奨する自己投資だ。結婚のヒケツ→(私の最も男前な友人が彼氏を口説いたフレーズだった)】
ゼクシイよりも効果的(かも)な本、見つけました!
「結婚に損得の概念を持ち込むのはナンセンス」「家族や子どもって、無条件にいいものだよね」という考え方もあるとは思います。それでもあえて左脳型に考え、「投資としての結婚」のメリットをあげてみます。
まず、結婚は「信用創造」になります。奥さんがいるからコイツは飛ばないだろう、みたいな。家も借りやすくなるし。
また、ある意味「お金がないから結婚しない」というのも逃げで、むしろ一人より二人分の財布がある方がよくない?という見方もできます。
さらに、「結婚はセーフティネット」であるとも言えます。これは経済的にはもちろん、精神的な意味でも重要です。
この本に書かれている結婚の秘訣は、私の男前な友人が話していたことにも通じる部分があります。「責任が増える」と感じるよりも、いかに二人で楽しくやっていくかを考えた方がいいのかなと思いました。
私の感想では、女性は防犯のために、用心棒を手に入れるつもりで結婚するのもアリではないでしょうか。
(この後、「部屋に置かれたゼクシイが、カップル内にもたらす無言の圧力」について盛り上がる一同…)
★Moecoさんとふっかー復活委員長が『Mr.Childrenと日本代表』という本についてクロスレビューを書きました!詳しくはこちら→ https://reajoy.net/book-music/19651/
◆ふっかー復活委員長(14)→河野裕『いなくなれ、群青』新潮文庫nex
マイ帯【人生の階段を駆け上がる...その途中で落としてきたもの、島(ここ)にあります。】
最近完結した人気のライトノベル、「階段島」シリーズを読み始めました。これはその1作目で、映画化もされています。
「誰かに捨てられた人」を連れてくるために、魔女が作った「階段島」。夢か現実か分からない不思議な場所ですが、ちゃんと街があり、学校もあります。男子高校生の七草は、そこで幼なじみの真辺と再会します。
誰もが島での平和な生活に慣れきっている中、真辺だけは「誰に捨てられたのか知りたい」「この島を出たい」と積極的です。七草はそんな彼女を心配し、行動を共にします。そして、次第に階段島だけでなく、自分自身の秘密も知っていきます。
一体、七草や真辺は誰に捨てられたのか?魔女とは何者か?という謎が重要です。ただ、平野啓一郎さんのエッセイや、村上春樹さんの小説が好きな方は、途中でピンとくるかもしれません。
青春ミステリ―ですが、もう「青春」を通過してしまった人にこそ読んでもらいたい。帯にはそんな願いを込めました。余韻の残るラストを、是非楽しんでほしいですね。
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