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小説賞に応募するならこうするべしっす(この記事は唯一無料にしまっす)

ボクは小説を書くこともあり、ただの運のみで何冊か出版させてもらっている。

デビューは、某小説賞に応募し、大賞とか優秀賞とか、まぁ詳しくは言えないが賞をもらい、出版する運びとなった。

放送作家をしながら、脚本を書きながら、書くことが好きなのでとりあえず小説も書いてみようかと書いたものを、片っ端から公募に応募した。

小説賞のいくつかには『他の公募に応募した作品は禁止』みたいな、謎の応募規約がある。

他の賞で入賞などした作品がダメなのはわかるが、箸にも棒にも爪楊枝にさえ触れていない落選作品も応募禁止としている。

あれは、他の小説賞で落選した作品を大賞にしてしまうかもしれないことを恐れているだけ。
つまり、審査員や編集の方々が自分たちの感性や見る目に自信がない現れ。

そんなものを守っている応募者なんていない。A賞でダメならブラッシュアップしてB賞へ。B賞でダメならさらにブラッシュアップしてC賞へ。

そして3年ぐらい経てば、最初にA賞に出したものとは様変わりしていることも多く、タイトルを変えてA賞へ再び出す。

心配しなくていい。3年前に一次審査で落とした作品なんて、誰も1ミクロンも覚えていない。マジで。

一次選考で落としているということは、下っ端の編集さんが見るわけだが、もちろん全編読んでいるわけではなく、応募要項にある『あらすじ』を読み、それで引っかかったとしても、本編はせいぜい最初の5~10ページぐらいを読む。で、判断される。

なので心配性の人は、同じ賞に同じ作品を2回目に出すときは、最初の5ページぐらいは別物を書き足す。
そうすれば間違いなく大丈夫。ボクもそうしていた。

そんなことを、5作品ぐらいでグルグルといくつかの賞を駆け巡らせる。

すると、A、B、C、D、の全てで一次選考落ちをしていた作品が、E賞で、一次選考を通過したりする。

とはいえ、まだA賞で審査中の作品を自信があるからといって他の賞へ重複して応募するのはさすがにやめよう。
ただ、これも両方の賞で上まで行かない限りバレることなんてまぁないが。

というわけで、小説公募に出す人は、一球入魂は絶対におススメしない。
300ページモノを1作書いて、1つの賞でダメだからと諦めるのは、マジで労力の無駄でしかない。バカがやること。言い切る。

小説に限らず、バラエティにもドラマにも言えることだが、もちろんそれを考えているときは全力を投球するが、どんなエンターテインメント作品も〝水物〟というのを忘れてはいけない。

その瞬間は面白いと絶賛してくれる人たちも、次の面白いものが出てくると100%でそっちへ行ってしまう。それは摂理なので抗えない。

小説公募に話は戻るが、とにかく数。次、次、次、に出す。
数打ちゃ、間違いなくどこかの誰かに当たる。
編集者や出版社の好みが審査に大きく影響することを忘れないように。
いわゆるセカンドオピニオン的に、〝小説賞があるだけオピニオン〟的に、いい結果が出なければ別の賞に出し続ければいい。

ボクのデビュー作も、5回以上は他の賞で落選したものだし。

あ、ボクの担当の編集さんが、公募担当になったときに愚痴をこぼしていたことがある。

小説賞にはその賞独自の応募要項がある。
枚数制限、1ページの行文字数の決まり、テーマのあるなし、あらすじの有無、などだが、それを守らない人が多いとのこと。

せっかく頑張って原稿用紙換算で500ページも書いて、あらすじを書くのを忘れて、一文字も読むことができないのはさすがに心が痛い、と。

しかも「あらすじを忘れていたので審査できませんでした」と、応募者には言えないシステムになっている。
数百人、数千人の落選者全員に落選理由は言えないのだ。

つまり、応募者は、自分の才能が落選したと思って書くことを諦める人もいると思うが、実は違うことも多い。
ちょっと枚数が多いけど面白いから読んでくれるだろう、的な、甘い考えは絶対に捨てること。

最近は、ネットでの応募受付も増えていて、応募要項を全部書かないと送れないシステムになっているものもあり(ただ、あらすじの文字量や本編の枚数量までは精査されない場合も多いので、審査外になるものもある)、以前の封筒での応募より不備は減ったとのこと。

ということも含め、同じ小説だったとしても、少し寝かせて、しっかりブラッシュアップして、最初の5ページぐらいを書き足せば再度出してもOK!

とどのつまり、以前、それこそ5年以上前以降に、ワープロなどの時代も含め、封筒で応募した小説がある人は、Wordに打ち直して、今の賞にバンバン送ればいい。
昔小説家を目指して諦めたおじいちゃんもおばあちゃんも送ってくれ。
孫にWordへの代書をお願いしてもいい。

この出版大不況時代にライバルが増えるのは苦しいが、もったいない才能が、面白いモノを書ける奴が、応募要項を1つ見落としたことで書くことを諦めるのはもっと嫌っす。

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