脚本家と小説家は どっちがオススメ?っす
ここ数回は小説家について書いてみたが、今日は脚本家として。
と、偉そうに脚本家とは言ったものの、基本は放送作家なので、そんなに書いているわけではない。
深夜ドラマが数本、映画が数本、舞台を数本、CMシナリオ、企業VPシナリオ多数、配信連続ドラマが数本などなど、Jリーグで言うとJ2みたいな立ち位置ではある。
ちなみに、日本語を英訳しているだけだが、脚本家とシナリオライターって、なんというか、若干違う気がするのはボクだけではないはず。
脚本家と言えば、映画やドラマを中心に舞台なんかも書いたりしている人。
シナリオライターと言えば、CMプランナー的な、電通とか博報堂とか、その辺の人らとオシャレランチしながら打ち合わせしちゃうような、そんな人が多いように思う。
つまり、ボクは外側の人間なので、脚本家もシナリオライターもやる。
最初は、書くことが好きなので放送作家のかたわら趣味で書いていた。
すると、皆さんご存じ、若手脚本家の登竜門、フジテレビの『ヤングシナリオ大賞』を知り、小説同様、しれっと応募。
すると、ここは混じりっけ無しの自慢になるが、なんと、2000人強の応募数の中、最終選考の20人弱にまで残った。
賞の割り振りは、大賞1人、優秀賞が3人~4人辺りが常。ほぼ4分の1の確率で何かしらの賞を獲れる。。。と思ったが結局4分の3に入ってしまった。
ただ、その噂は放送作家として知り合った業界人に広まり、知り合いだったドラマをやっている制作会社のスタッフから脚本を書いてほしいと頼まれた。
そんなこんなで、脚本家としてスタートした。
とここまで書いて、よくよく考えると、脚本家になるって、小説家になるより50倍ぐらい難しいかもしれない。
まず、小説よりもシナリオ公募が圧倒的に少ない。
有名なのは、ヤングシナリオ大賞、城戸賞、日テレシナリオライターコンテスト、テレ朝新人シナリオ大賞、TBS NEXT WRITERS CHALLENGEの5つぐらいだろう。
・ヤンシナは古いが、まぁ若者向けのドラマを好む。大賞はドラマ化確定。
・城戸賞は、映画の脚本募集でとにかく固いイメージ。個人的には城戸賞の大賞の映画化を観たことがないのであまり興味はない。ただ、2時間シナリオなので書いててボリューム増えちゃったって人は、送ってもいいかも。ちなみにヤンシナは1時間シナリオ。
・日テレシナリオライターは新しめの賞ではあるので、狙い目。
・テレ朝新人シナリオ大賞は20年以上も継続していて、大賞はドラマ化ほぼ確定。
・TBS NEXT WRITERS CHALLENGE は、歴史が浅く、一番出した方がいい賞。
見てわかる通り、キー局がそれぞれ賞を主催している。
当然ドラマ化もできるし、いい脚本家が応募してきてくれれば儲けもんだからだ。
城戸賞だけは異色で、映画専門のシナリオ募集で50回も続いている。
ただ、今まで城戸賞大賞の映画化を観たことがないし、ヒットしたと聞いたこともない。
映画は特に、脚本の良し悪しがクオリティの重きを占めるというのは定説。
80%の出来の脚本を監督や俳優の力で100%にはできるが、30%の出来の脚本なら50%にしかできないとのこと。
つまり、基となる設計図がどれだけ緻密に作られているかで完成品に差が出るということ。
城戸賞からヒット映画が出ていないということもあり、やはり狙うならキー局の賞。
引っかかればドラマデビューまでが手っ取り早い。
ボクの場合はもともと放送作家をしていて、ドラマの制作会社と知り合いだったから脚本家というステータスをもらえたわけで、例えばフリーターの人なら、大賞や佳作などに入賞しない限り何にもないだろう。
しかし小説は公募が充実している。肌感だが、小説賞8:脚本賞2、ぐらいの割合だろう。
そしてなんとか狭き門を通過して脚本で入賞したとしても、プロとしてオリジナル脚本を書けるのは一握り中のひとつまみ。
皆さんご存じの通り、今やドラマも映画も安全牌の小説や漫画の原作がほとんどで、脚本家に求められるものは、既存の人気のあるストーリーを制作費内でどうにか実写化させる脚本を書くこと。
あ、制作費内もそうだが、さらに大変なのは俳優さんや事務所のわがままにも応えないといけいないこと。
例えば、原作の漫画では下着姿で登場しているヒロインのシーンを、実写化では事務所やコンプラを気にしすぎてキャミソール姿で登場させたり。
その下着姿に意味があるシーンなのに、である。
そう、脚本家と小説家の違いは、オリジナルを書きたければ小説、すでに人が考えた人気のストーリーだがドラマや映画となって発信されることを望むなら脚本、だ。
まぁ、脚本の方が文字量も少ないし、すでに人気のあるストーリーを実写化として書くだけなので、正直、簡単ではある。
小説は自分で0から1を考えて、多少は編集さんが意見を言うこともあるが、ほぼ97%は著者本人が考えている。
さらに大きく違うのは、脚本はドラマになって初めて世に出る。
小説は書けば、世に出すことは個人でも可能。
ボクが脚本にいまいち本腰を入れられなのはそこ。
物書きの世界に入った以上、自分の生み出すオリジナルを発信しないでどうする。
もう一度言う。
脚本はドラマになって初めて世に出る。
小説は書けば、世に出すことは個人でも可能。
さらに今後も脚本家をおススメしない理由。
AIの進化で、原作ものの脚本は、AIで十分に書ける時代がすぐにくる。
原作をインプットさせて、これを11話の連ドラの脚本にして、と。
そう、ドラえもん丸出しの時代がすぐくる。
以前、情報番組の取材でAIの専門家の方に聞いたら、そんなAIでも、原作のある脚本は書けても、原作そのものを書くことはまだ当分難しいとのこと。
東野圭吾風の小説、伊坂幸太郎風の小説、野木亜紀子風の脚本と指令すれば書くには書くが、本人を超えるものは難しいとのこと。
数百年後はわからないが、と。
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