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他人から見える私

人が把握している私と
私が把握している、人が把握している私。

他人は私をこんな風に見ているだろうと思っていることと
実際に他人が見ている私。

この両者に大きな解離があるのだとつくづく思う。

私は肉体を持っている。この肉体は私なんだけど、私は自分の顔を見ることができない。
私は自分の背後を見ることができない。
他人は私の顔や背後を見ることができる。
鏡を見たりカメラを見たりするときに、ニコッと笑ったり寝癖を直したりするけど、他人はずっと私を見ている。

私は他人と見ている世界や視点が全く違う。
思考回路や感性も違う。

人にはそれぞれ個性があり、環境や生い立ちも違うから、人間は皆違うのではあるけど、そういうことではなく、私は人と大きく違う世界に生きている。だから、絵を描いたり自分の世界観を表現してきた。

自分の独自の世界観があるからこその、凄まじい幸福感があるということはどこかでは自覚しているけど、顕在的な私は、人とは違う自分を生きてきてマイナスなことしかないと思ってきた。

だから、普通とはどういうことなのかを必死で研究し、普通に憧れ、普通であることに沢山のエネルギーを費やしてきた。

でも、本来視点や世界観が違うわけで、エネルギーの費やし方や研究方法など全てにおいて違うわけで、そんなことができるわけないという現実を受け入れるのにとても時間がかかった。

人からこう見られていてほしいという願望に浸って生きていた。

でも、実際には私の本質のようなものは私が隠しているつもりでも隠せていないのだなあという事実が発覚した。
この発覚は驚きでもあったし、安心感もある。

自己肯定感ともいえる。私は私で良い。人は私を見ているのに、私は私を受け入れることができずに、目をつむって、歪んだ理想像の中で生きていたということだ。

この孤独感や自己否定感が解消されていくと、とても生きやすくなる。

自己を受け入れることができるから、他人を評価することもなくなる。
自己が自己であることを認識できると、他人は他人であって評価することになんの意味もないことが腑に落ちる。

すると、孤独感からも解放される。そして、日々の生活の全てを真っ直ぐに見ることができるようになる。

私がいてそれを取り巻く環境がある。それは私の周りの事象である。これは具体的な目に見える具象であるし、具象を把握する抽象でもある。

これらに対して真っ直ぐな認識が生まれてくると、世界が美しいのだということが分かるようになり、届かないものやよく分からないものに手を伸ばそうという発想がなくなる。

今、私にはこれがないから私は息苦しいのだという思考が生まれなくなる。
例えば、私はお金がないから不幸なのだ。誰も分かってくれないから寂しいのだ。あの人は間違っている。私の方が正しい。いつも正しいことをして安心しておきたい。というような発想が生まれなくなる。

ただ、私が在るということを事実として受け入れることができるようになる。

高い目標を立てて、その目標を達成できれば、今の私ではなくなり、解放されるという思考回路の筋が通らなくなる。

今の苦しみから解放されるための目標というものは、その時点で今の苦しみから解放されることがない目標でしかないのだ。

今の私を真っ直ぐに把握できなければ、未来の目標も真っ直ぐに把握することはできない。道というものには始点があって、始点からひとつひとつ的確に積み上げていくことでしか、終点には繋がらない。

始点が見れないのに、道も終点も見ることはできない。今の自分を認識できなければ、歩むことができないということだ。

こんな当たり前のことが全く分からなかった。

他人と異なる自分が嫌で、他人に合わせることに必死になっていた私は、どれだけもがいて進んだとしても、苦しみからは解放されなかった。

自分が自分であることが分かるようになると、日々の小さな出来事で十分な幸福感を得ることができる。他人よりよくできる私でありたいとも思わないようになる。バカにされたからと落ち込むこともなくなる。

他人にバカにされたからといって、私が私であることには何の影響も及ぼさないという事実が見えるからだ。

私は小さく細かく均等の取れた美しい世界の絵を描いてきている。

私は潜在的にはこの美しい世界を感じているから、曼荼羅のような絵を描いてきているのに、顕在的には普通でありたく分からないふりをして生きることに必死になっていた。

自分だけが見えていることに無性の孤独感やさみしさを感じていたからだ。
でも、この世界の実態は事実でありこれで良いのだと思える私で良いとやっと思えるようになって本当に嬉しい。

今思うとなぜにこんな簡単なことが分からなかったのかと思うけども、人間ってほんと浅はかで前が見えず大変だなあとつくづく感じる。

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