日本酒ベンチャー創業1年の振り返り
こんにちは。「HINEMOS」という日本酒を展開している酒井です。
ちょっと過ぎてますが、2018年8月に株式会社ライスワインを創業して1年が経ったので、ざっくり振り返ってみました。ネット業界で10年近く働いていた人間が、何を思ったのか日本酒業界に飛び込み、そして七転八倒した1年間でした。
創業前(2018年7月)
この時期は起業するか留学するか迷っていました。6月後半はスペインの学校を訪問していました。ヨーロッパにほとんど行ったことがなくて、起業して事業に集中する前に住んでみたいと思っていたからです。
7月初旬に先輩経営者から「早めに経営をはじめて能力開発した方がよい」というアドバイスと、妻に「留学か起業が迷っている」と伝えると、「とっとと起業せい」と言われたことから決断しました。そのあたりの4年におよぶ葛藤はこちらに書いています。
7月中旬には、醸造パートナーである神奈川の井上酒造との製造委託契約をむすんで、10月末からの酒造りに備えていました。
1Q(2018年8月〜2018年10月)
8月2日に辻堂法務局で登記しました。確か30万ほどかかりました。高かったです。オフィスは自宅にしました。酒造りがはじまるまで3ヶ月あったので、やれることはやろうと思いましたが、ほとんど何もやることがありませんでした。日本酒に関する本をよんでいたのですが、
造りの部分で次のような説明がたくさんあり、
山廃造り(やまはいづくり)
醸造工程で蒸し米をつぶす山卸作業をやめても味が出せるようにしたこと
自ら造るまで理解できる気がしなくて、先に知識をつけるのを諦めました。最初の3ヶ月はこの世界でやっていけるのか不安でした。なので、この3ヶ月にしたことは、増資と融資手続き、そして杜氏の湯浅さんといくつかの試飲会に参加したことくらいでした。ようはヒマで苦しかったのを覚えています。
2Q(2018年11月〜2019年1月)
10月24日から酒蔵にはいって酒造りをスタートしました。 毎日、朝4時半に起きて、小田原駅の始発列車に乗り、6時から酒蔵での作業がはじまりました。最初の1ヶ月は、次の作業がよめないのでクタクタになっていました。
ひと通りの作業がわかってきて余裕がではじめたあたりから、ラベルデザインやクリエイティブの作業をするために、夕方17時に作業をおえて、都内での打ち合わせをスタートしました。このあたりから頼もしいアートディレクターの古賀さんに入ってもらいました。
何度か飲みがはいったりして、小田原に戻るのが0時過ぎになり、そして4時半に起きるので、11月には過労で倒れてしまって2日寝込んでしまいました。自分の体力の限界ラインを知ることができました。
3ヶ月くらい経つと、毎朝コンビニでおにぎり2つと缶コーヒーを買って、5時の始発列車に乗り、真っ暗で誰もいない電車の中で考えることは「この先どうなるのだろうか」ということでした。育休ふくめて1年半無労働で、息子は1歳、ふだん楽観的ですが、真っ暗の無人列車の中だと、ふとそういうキャリアとか今後のことを考えることが増えていました。
電車が酒蔵の最寄り駅の上大井に着くと、すっかり日は登ります。そのときにパシャっと撮りました。この写真を思い出すと、あのときの先が見えない不安な気持ちを思い出します。
3Q(2019年2月〜2019年4月)
いよいよ、はじめの日本酒「HINEMOS」との対面を向かえました。そのときのトラブルや感動はこちらに書いています。
2月にはMakuakeでクラウドファンディングを実施しました。支援してくれた半数が知人友人で、応援が身に沁みました。これ以来、友人が新しいことにチャレンジしたときのクラウドファンディングなど真っ先に支援するようにしています。やはりはじめがしんどくて、支援してもらえることは励みになります。
3月は、梱包や配送が大変でした。井上酒造との提携は瓶詰めまでだったので、コストや原価の肌感覚を掴みたくて、じぶんで1,000本くらい梱包、配送してみました。蔵人の方々の手伝いが沁みました。土日はひたすらダンボールにお酒を詰めていました。
4Q(2019年5月〜2019年7月)
5月は、モノづくりの難しさを感じていました。第2弾は、純米大吟醸のKUJI(9時)と純米酒のNIJI(2時)をリリースしたあたりです。
瓶をひとつ完成するにも、形状や色など本当に迷います。写真は、黒瓶にラベルの色をどう合わせるか、という色校正です。
KUJI(9時)は6,800円と高級銘柄です。色を明るくするとチープ感が出ますし、一方で、暗すぎるとまったく何か分かりません。またインクの原料がマットか蛍光タイプなのかでも雰囲気が変わります。そういった悩みが、キャップ、キャップシール、配送ケース、手提げ袋、リーフレットなど全てで起きていて、日々葛藤しながら意思決定していました。このあたりのブランドづくりの葛藤はこちらに書いています。
7月には、中目黒の和酒フェスというイベントに出店しました。このあたりで自信を深めました。HINEMOSの前に終日行列が絶えなかったからです。他の蔵の方からも、すごい盛況ですね、と飲みにきていただきました。
7月末、札幌の旅籠屋定山渓商店にて、HINEMOSを取り扱っていただけることになり、宮崎県の両親を連れて札幌へ向かいました。グループの第一寶亭留は、アリババのジャック・マーも泊まる超一流ホテルです。
それなりに知れた企業を辞めて、独立することをやはり両親がいちばん心配しました。どれだけ言葉で「大丈夫だよ」、と言ってもいまいち心配して止まないので、素晴らしいホテルで、息子の日本酒が提供されているのを直にみて安心してもらいました、たぶん。1年の締めとしては、憂いがなくなってよかったです。
まとめ
振り返れば、1年の4分の3は、造りに関することに時間を割いていました。今までの延長線上(ネット業界)であれば、事業戦略などある程度は初月で立てれていたと思います。それがまったくの異業種にシフトしたことで、製造小売業や清酒業界の商慣習をある程度知るまで1年かかりました。ようやく実感をもって戦略が立てられるなという感覚です。これからセールス・マーケティングに注力していきます。
1年目はフルタイム1人でしたが、今年は組織をつくっていこうと思います。CFO、SCM(サプライチェーンマネジメント)、国内外セールス、インターンなど募集します。ご興味あればご連絡ください。
そして、6種類のラインナップが揃ったことで、都内の一流レストランにて、プレミアムフェアを開催します。詳細はリリースをご覧ください。
日本のトップシェフ(和食とイタリアン)とHINEMOSのマリアージュです。HINEMOSに合わせていちから料理を考案いただいています。わたしも初めてマリアージュとはこういうことか、ということを実感しています。
第1弾:東京割烹料理 村田明彦シェフ@てるなり(四谷三丁目)
期間:10月17(木)~10月31日(木)
第2弾:イタリアン 横江直紀シェフ@ラパルタメントディナオキ(麻布十番)
期間:11月1日(金)~11月14日(木)
僕もこのフェア中、積極的に伺っておりますので、久しぶりに酒井(深野木)と日本酒、ビジネス、経営について話してもいいよ!という方はぜひご連絡ください。
創業2年目はギアを上げていこうとおもいます。
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オリジナルブランドの日本酒「HINEMOS」のECサイトをオープンしています。
「日本酒を事業領域として選んだわけ」はこちらをご覧ください。
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