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「けどなあ」 「おまえ、けどなあばかりやなあ」 「けどなあ、加藤のやつが残って、わしがクビ…
目の前に美しい女がいる。 「今日は」 「四月二十三日」 「えっ」 予想外の答えに驚いてい…
自宅から二十分の自転車通学。 最短ルートは頭に入っているけれど、同じ道ばかりじゃ面白…
尻が冷たい。 最悪の状況だ。 もらしたか、濡れたか。 自分とは限らない。猫がおしっ…
中肉中背、三十五歳。名前はナカタ。 病気と無縁そうなナカタの前に突然、盆の上にろうそ…
私は病室の片隅にひっそりと立っている。 ベッドには痩せこけて骨と皮になった病人が寝て…
朝、目が覚めて、トイレに行った。 トイレの扉を開けて、私はぽかんと口をあけた。便器がない。 ドアから10センチくらいの距離に壁がある。 ずりずりと廊下を下がり、玄関をみると、靴箱がない。何十センチか、家の片面が削られている。 直近の問題は尿意であるが、それどころじゃない。リフォームついでに、隣の家が攻め込んできたのである。 いくら土地が狭いからといって、他人の家を削るとはなんたる大胆な所行であろうか。私は、つてを頼って設計士の先生に相談した。 「靴箱はともかくトイ
背中に引き出しのたくさんついた箱を背負った中年男がいい声を出した。 「きぶんーや、きぶ…
「はよ起きろやー」 と毎朝恒例の怒号が聞こえてきた。大輔は「あああ」と呟いて寝返りを打…