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有給消化を前倒し!?退職時に権利を守るための交渉術

「有給休暇を前倒しで取ってほしい」
仕事初めの日。直属の上司から、そんな打診を受けました。

少し現在の状況説明を。
下の記事にも書かれていますが、昨年12月に退職を切り出しました。

その後、紆余曲折ありましたが
仕事納めの日になんとかめでたく受理。
年度末に退職することが決定しました。
有給消化ののち退職すると考えると、3月初旬には晴れて自由の身。
この上なくスッキリと、天にも昇る気持ちで
浮かれた冬休みをゆっくりまったり過ごしました。(о´∀`о)v

しかし冒頭の発言により年始早々、気分はまた大暴落。
ちょうど私が有給消化に入る直前の時期に、部署として大きな仕事が入っていて、できればそれを終えてから有給消化に入ってほしいので、有給を前倒しにして1月か2月にまとめて数日、多めに消化してもらえないか?という、完全に職場側都合の申し出なのですが…

この問題を、掘り下げてみたいと思います。

1.「有給休暇を前倒しで取ってほしい」と言われる背景

なぜ職場は有給休暇を前倒しで消化させたがるのでしょう?
一般的なパターンを簡単に、解説します。

・業務の引き継ぎや人員不足の問題
職場は退職後の混乱を避けるため、有給消化を分散させることで「その間の穴埋めを計画的にしたい」と考えることが多いです。

・退職日の管理
有給消化を退職直前にまとめられると、最終出勤日が早まり、それが人員配置や業務計画に影響することを恐れるケース。

この背景を踏まえて考えてみると、切迫した状況の職場においては、有給消化の前倒し問題はさほど珍しい事態ではないのかもしれません。(頼まれた直後は、あり得ないと思いましたが…)

職場側の意図を汲むことができるのなら、感情的な対立を避けながら交渉する道も残されてはいますね。

法律的視点:有給休暇の消化時期の決定権は誰にあるのか?


次に、有給休暇の時期決定について法律の観点を説明します。

・労働基準法第39条
有給休暇の取得時期は、原則として「労働者の請求した時期」に基づきます。つまり、労働者が「この日に有給を取る」と申請すれば、会社はそれを基本的に認めなければなりません。

・会社が時季変更権を行使できる場合
ただし、会社には「時季変更権」があり、業務運営に支障が出る場合に限り、有給の取得日を変更する権利があります。ただし、時季変更権が適用されるには「業務運営への具体的な支障」が必要で、これを正当に主張できるケースは限定的です。

この観点から見ると、「有給の前倒しを強制される」ことが法的に不適切である可能性があります。
あくまで、決定権や主導権は辞職者本人が握るべきであり、法で守られた権利であることを改めて自覚したうえで、交渉を有利に進めるべきでしょう。

3. 前倒しの提案にどう対応すべきか?


職場から有給の前倒しを提案された場合、対応に推奨される手段を4つ示します。

(1) まずは冷静に意図を確認する

前倒しを提案された場合、感情的に拒否するのではなく、以下のような質問をして職場の意図を聞きます。
・「前倒しをお願いする理由を教えていただけますか?」
・「どのような業務上の都合があるのか具体的に教えていただけますか?」

これにより、相手の立場を理解しつつ、自分の権利を侵害しない範囲で対応できるかを考えます。

(2) 自分の希望をはっきり伝える

次に、自分の権利に基づいた希望を明確に伝えます。例として、以下のような文言を提示します。

・「有給休暇の取得については労働基準法で認められた権利と認識していますので、最終出勤日以降にまとめて取得させていただければと思います。」
・「私の希望としては、退職直前の有給消化を希望しています。職場の状況に合わせて、多少は柔軟に相談可能です。」

(3) 記録を残す

万が一、交渉が難航した場合に備えて、口頭でのやり取りではなく、メールや書面で記録を残します。これにより、後々のトラブルを防ぐことができます。

(4) 最終的に法的サポートを視野に入れる

職場がどうしても有給消化を前倒しすることを強制する場合は、労働基準監督署に相談することを視野に入れるべきです。具体的な方法としては、地域の労働基準監督署に相談したり、無料の労働相談窓口を活用します。

【具体的な例】職場との交渉モデル

1. 職場:「業務の都合で有給を前倒しにしたい」
→ 労働者:「引き継ぎのための配慮はできますが、最終的な有給消化の時期については私の希望を尊重いただけますか?」

2. 職場:「このままだと業務が回らない」
→ 労働者:「その場合、具体的にどの業務に支障が出るのか教えていただけますか?」(時季変更権の適用を確認)

まとめ

私の場合ですが、有給消化の前倒し依頼に「強制権」がないことは職場側も理解しているようなので、あくまで「時季変更権」をうまく行使したい職場側の要求を回避し、まずは最終退職日の期限を示しながら交渉するべきかなと思っています。

今回は「前倒し問題」に焦点を絞りましたが、それ以前に「有給休暇を残らず消化する」こと自体が、引き継ぎや残務処理上難しいことも多々あり、そちらのほうが注目されるべき問題でしょう。

しかし、どちらにせよ『有給休暇の取得は権利』であり、前倒しや取得しないことの強制するのは原則、不適切です。
すぐに転職が決まっており、自身も納得できるのであれば別ですが、今後の経済的事情にも関わってきます。可能な限り、職場側と適切なコミュニケーションを取りながら交渉を進めることをお勧めしたいと思います。
できれば避けたいところですが、万が一の時は労基署などの第三者を活用することも可能です。
(職場側に嫌がられる可能性も高いですが…しかし労基署への相談を仄めかすことで、それくらいなら有給消化をさせようと方向転換されるかもしれませんので、試す価値はあります)

これから転職を考えているみなさんに、できるだけ有利な交渉を進めてもらえますように。
また、そうでない方にも今後の参考にしていただければ幸いです。

ふか☁️|ゆるnoter(みやかわふか)

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