
エロなしBL増加しかし評価は?…どうなる?BLトレンド2025【商業BL編】 後編
昨今、一気に変化が激しくなったBL業界。
トレンドを一刻も早くつかむことがより重要になってきました。
商業BLコミックは年々刊行数が増加しており、市場の広がりがうかがえます。
今回は商業BLの直近10年の変化から最新トレンドまで見ていきたいと思います。
前編(実写BL編)はこちら。
直近10年間から見る媒体別の発行部数遷移
商業BLコミック刊行数

まずはコミック刊行数から。
2014年から右肩上がりに伸び続け、コロナ禍であった2020年には一旦落ち込むも翌年からまた増加しています。
特に2024年は前年比での伸び率が非常に高くなっていました。
読みたい作品が多すぎて追いつかない…!
商業BL小説刊行数


刊行数が増え続けるコミックとは裏腹に、特に紙での刊行数が減少の一途をたどっているのが小説です。
2017年の833冊から一時は300冊以上刊行数が落ち込んでしまいましたが、2023年以降電子媒体の増加とともに復活の兆しが。
背景として、電子専門の小説レーベルの新設が進んでいることが挙げられます。
2025年もこの調子で刊行数が増えてくれることを望みます!
BLCD発行数

全盛期であった2000年代と比較するとどうしても落ち着いてしまった感が否めないBLCD。
直近10年では2017年をピークに減少傾向、2024年はついに100枚を割ってしまいました。
スマホゲームやアニメの普及のほか、CD自体が手に取りづらくなってしまっているのも原因の一つかもしれません。
好まれるテイストは? 最新トレンド
各年刊行された全コミック エロ度の推移

BL作品といえば「濡れ場が多い」と思われがちですが、実際はどうなのでしょうか?
エロ度が標準的(エッチページが数ページ~20p)の割合が最も多く、次いで少なめの順で推移しているのは各年共通ですが、その比率は年によってばらつきがあります。
特に2020年以降の傾向として、エロなしが急増しています。
2024年に至っては、あわやエロなしがエロエロを逆転しそう…!
エロ少なめ(エッチページが数ページ)、標準的の割合も僅かながら増えており、BLコミックのピュア化が始まっているのかも!?
ちるちるレビューランキングで1000P以上作品 エロ度の推移

続いて、ちるちるレビューランキングで1,000P以上獲得した、いわゆる人気作品のエロ度の推移を見てみましょう。
こちらも全コミック同様にエロ度標準的が最も多くなっていますが、2番手としてはエロ少なめとエロエロがデッドヒートを繰り広げています!
エロなしに比べ、エロありは1.7倍 高評価を受けやすい!?

さらに、全コミックでは増加傾向にあったエロなしですが、人気作品だけの傾向で見ると前年比で少なくなっています。
エロなしBLの中でも、シリーズの続刊や著名作家の作品以外は高評価を得にくい傾向となっているようです。
無料で読める漫画サイト発のエロなしBLも昨今かなり増えていて読者も多いと思いますが、購入行動にはあまり繋がっていないと言えそうです。
ちるちるレビューランキングで1000P以上作品 トーンの推移

世相を表すとも言われる(?)、トーンの推移。
2020年以降あまあまBLの時代が来たかと思われましたが、せつないBLも根強い人気を誇っています。
とはいえ、トーンは重複してタグ付けされている場合もあるため、あまあま要素もありつつシリアスも…といったようにハイブリッドな作品も数多く存在しています。
まとめ
BLコミックの刊行数は右肩上がりに伸び続け、市場が拡大し続けていますが、紙の小説刊行数、BLCD発行数は2017年以降減少している状況です。
一方、電子専門の小説レーベルが次々と立ち上がった影響もあり、電子BL小説の刊行数は急増中となっています。
また、BLコミックのエロなし作品は4年間で2倍に増えていますが、評価はまだまだ追いついていない印象です。
ちるちるのタグ検索の上位はここ10年間、エロ度「エロエロ」が圧倒的多数。2023年の上位作品はエロ少なめ作品が9割でしたが、2024年では「エロエロ」「エロ少なめ」ともに25%程度となり、やはりエロは根強い人気となっています。
多少のエロさはありながら、恋愛以外にも部活や仕事、家族との関係など読者が共感できるような心打たれるストーリーも持ち合わせる作品が直近のトレンドとなっています。