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これからのメガネ、3Dプリントメガネの良さードイツの眼鏡士が解説

こんにちは、ベルリンにいる眼鏡士/メガネデザイナーのユータローです。

3Dプリントで作られたメガネが、すでに売られていることをご存知でしょうか。かくいう私は、ベルリンのFRAMEPUNKという眼鏡屋で眼鏡士として働きつつ、デザイナーとしても3Dプログラムを使い、3Dプリンターでメガネをプリントして販売しております。これが私の強みです。

今回はこの3Dプリントメガネの概要、今後の展望、希望について書きます。

素材を一層ずつ積み重ねて印刷するのが、3Dプリント

3Dプリントとは日本語で立体印刷とも呼ばれています。印刷機は一層コンマ数ミリくらいの素材を、一層一層積み重ねて溶接して立体的な形を作ります。例えば立っている5cmくらいの大きさのフィギュアをプリントするとします。まず足からコンマ数ミリずつプリントされて、腰、胸、頭が徐々に造形されていきます。

3Dプリントメガネで使われる素材は主に粉末状のナイロンポリアミド。一層ごとに印刷機によってプリントエリアに薄く広く広げられて、レーザーによって焼結されます。

メガネに必要な弾力性に優れ、重さも通常のアセテートプラスチックに比べて30%も軽いので、とてもかけ心地の良いメガネが作れます。

メガネの表面はマットです。鼻にかけても滑りにくいです。
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マットな表面

アセテートプラスチックのメガネのように何千何万本も同じ型を大量生産しなくても経済的に成り立つので、環境にも優しいメガネと言えます。最近はトウゴマという植物由来の素材も使われ始めており、今後ますます需要が高まるでしょう。

形と色、100%オーダーメイドが可能

3Dプリントの最大の利点はどんな形でもCADプログラムを使ってデザインし、そのままプリンタで造形することができ、プリント後に好きな色に着色することができることです。プリント直後の素材は白かグレーです。

例えば私の働いている店FRAMEPUNKでは、なんとなくイメージしている形があるが固まっていないとき、顔写真を取り顔の上にメガネを描いて納得のいくまで調整していきます。

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顔ごとにフィッティングできる

最近はiPhone Xのような顔をスキャンできる機器を使って、プログラム上で直接顔にデザインすることもできます。なぜか赤くなってしまうのですが、以下がスキャンした顔とメガネです。顔の寸法は驚くほどぴったりです。

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顔をスキャンし、

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メガネをそのまま上にデザインする。鼻の形にもぴったりあわせられる。

ただ、いらっしゃるお客さん全員に一からメガネをデザインしているわけではありません。いつもはスタンダードモデルをSからXXLのサイズまで棚に用意してあり、そのまま買えるようになっています。

多くの人はスタンダードモデルが似合いますし、鼻あての部分が合わないときはモデルにマイナーチェンジを施してプリントします。一から作る場合、メガネの値段も高くなります。

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3DCAD内でデザインされたスタンダードモデルCHARLIE

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プリントされたCHARLIEの実物、グレーカラー

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モデルMORITZ、ボルドーカラー

スマートグラス

今後3Dプリントメガネはスマートグラスの領域でよく見られるものになるのではないでしょうか。スマートグラスが効力を最大限発揮するには(例えばレーザーで網膜に映像を映すには)、個人の顔の形や、メガネと目の位置関係など考慮したカスタムメガネが必要になってくると私は考えています。

いつかはレンズもフレームも完全オーダーメイドのメガネ

私見ですが、あらゆるグッズは個人にカスタムメイドできる時代になりました。メガネもまた然り、今後FRAMEPUNKのような眼鏡屋が増え、メガネをオーダーメイドすることが普通の選択肢の一つになると思います。

鏡の前に立つと顔が認識され、鏡の中でバーチャルなメガネが顔にぴったりとリアルタイムでひっつく。パラメーターで形、サイズや色の調整をする。最新技術と熟練の職人を集めた工房があり、素材もポリアミドだけではなくアセテートやメタルも作れる。それも、店とお客さんにとっても経済的に。

レンズも店でカスタマイズできる。フレームの形、角度、目からの距離などを考慮し、使用環境に応じた最高の見え方をプログラムが算出し、工場でレンズが切削される。

フレームが店に一つも置いているないのに、バーチャルにメガネとレンズを選び後日世界に一つの完成品を引き取りに来る。目の潜在能力を最大限引き出すことのできるメガネがみんなの手に届く。そんな時代が来るのかもしれません。

あらゆる素材を使って自由にデザインできること、レンズをカスタムで切削できることを強みに、お客さんの期待以上のメガネを作る。そんなグローバルチェーンを作れたら面白いなと思います。もし一緒にやってみたいという方がいらっしゃったらご連絡ください。

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