最初の7日間の有給化で、男性が育休を取得しやすくなった住友化学さん
前回の記事では、ダイバーシティを大切にする企業について考えてみました。
そして今回。
実際に、男性が育休を取得する視点から、先進的な取り組みをされている企業を調べてみることにしました。
先進的な企業の取り組みの中に、日本でも男性育休が広まっていくヒントが隠されているような気がします。
そんなヒントをつかむことができたらいいかな、と思っています。
男性育休の取りやすそうな企業
第1回
住友化学株式会社さんです。
育休が3歳到達後の最初の4月末日まで取得できる
住友化学さんは、育児休業に関して、2011年とかなり以前から、先進的な取り組みをされています。
育休取得期間は、3歳到達後の最初の4月末日まで。
もし、育休取得期間が3歳の誕生日までだったなら、2歳児クラスから保育園に通わせることになります。
3歳到達後ということは、保育園に年少さんから預けられるのです。
少しの違いのように思えますが、実際には大きな違いがあります。
待機児童問題の解決を図ろうとしている意図がひしひしと伝わってきます。
さらに、4月末日までに設定されているのは、慣らし保育のことまで考えているのではないかと。
何とも、嬉しい限りの制度です。
年度の切り替えは、人事異動のタイミングです。
管理職からすれば、できることなら、4月の頭から復帰してほしいと思うところです。
育休からの復帰と人事異動にも、何か工夫をされているのかもしれません。
育児休業の最初の7日間を有給化
また、住友化学さんでは、育児休業の一部有給化にも取り組んでいます。
具体的には、申請した育児休業の最初の7日間を有給にしています。
なおかつ、この有給となる育児休業を4回も申請することができます。
男性の育休取得を促すための方法として考えられたものだと思われますが、誰にとっても嬉しい制度です。
多くの企業では、配偶者の出産に伴う特別休暇などの制度があると思います。
特別休暇となると、育児休業の取得とはなりません。
住友化学さんのような育児休業の最初の7日間を有給化するならば、育児休業を取得したことになります。
育休を取得したい従業員にも、また企業のイメージアップを図りたい経営者にも、嬉しい制度だと感じます。
配偶者の出産前後に年休が取れる雰囲気
配偶者の出産に伴う特別休暇は1日から3日程度の企業が多いかと思います。
里帰り出産や近くにサポートしてくれる人がいれば、この数日間でも出産に対応できるかもしれません。
私たちの夫婦は、里帰り出産をしませんでした。
長男の時には、GWと重なり、ほぼ10連休の中での出産でした。
その後、義母が1週間ほどサポートに来てくれました。
次男の時には、私が育休を取っていました。
私の経験からすると、夫婦だけで出産を乗り切る場合、パパの数日間の特別休暇だけでは、出産には対応できないと思います。
そうなると、特別休暇+年次有給休暇で、パパが対応することになります。
企業によっては、配偶者の出産前後に年次有給休暇の取得を促す取り組みをしているところもあることでしょう。
上司や人事担当から「おめでとうございます。遠慮せず年休取ってくださいね。皆さんもそうしてますから」みたいに。
配偶者の出産時に、特別休暇+年休を取れる雰囲気がある職場ならば、気兼ねなく、1週間程度休めるかもしれません。
配偶者の出産に伴う特別休暇の制度はあっても、その特別休暇すら取得するのがはばかれるような職場もあると思います。
そのような職場ならば、上司からかけられる言葉も、「取りたければ、年休取るのも、一応、権利だけどね」みたいな感じになることでしょう。
このような企業の経営者や管理職は「年休の取得を促し、男性の育児参加を推進している」と言うでしょうし、従業員は「年休を取得するように声をかけられても、実際に取れるはずがない」と思っている状況が容易に想像できます。
それでも、男性の育休取得率は50%未満
住友化学さんで制度化されている、育児休業の最初の7日間を有給化。
多くの労力を注ぎながらこのような制度を築き上げたことだろうと察します。
住友化学さんのような企業で働けたら、自分も心も優しくなりそうな気がします。
そんな住友化学さんですが、2019年度の男性育休取得率は44.7%となっています。
年々、取得率が増加しています。
他の企業に比べれば、かなり高い取得率です。
ですが、このような素晴らしい制度があっても、すぐに浸透しないのが日本社会の現状のようです。
なぜ、男性の育休取得は広まらないのか。
今後、他にも先進的な取り組みをしている企業を調べていきながら、男性の育休取得を阻んでいる要因を探ってみたいと思います。
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2021年6月12日「男性育休の取りやすそうな企業(1) ─ 住友化学株式会社さん ─」からタイトル変更しました。
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