残業減でボーナス増、男性育休でも給与全額支給した大和証券グループ本社さん
前回の記事では、男性育休の必須化をされたリクルートさんの取り組みをまとめてみました。
必須化しなくても、男性の育休取得率100%の企業を発見しました。
そこにも、何かヒントがありそうです。
探ってみます。
男性育休の取りやすそうな企業
第3回
大和証券グループ本社さんです。
育児サポート休暇制度
大和証券グループ本社さんは、2017年度に男性育休取得100%を達成しました。
その後も継続して達成しています。
大和証券グループ本社さんでは、2014年度に育児サポート休暇制度を導入しました。
原則、1週間以上の取得としています。
この制度は、子どもが3歳になるまでの育児休業のうち、最初の2週間以内の給与や賞与を全額支給するというものです。
大和証券グループ本社さんでは、この制度を導入した結果、前年度に1.6%だった男性育休取得率が、2014年度には41.9%と大きく上昇しました。
この上昇は、育児サポート休暇制度の導入によるところが大きいと推測されます。
さらに大和証券グループ本社さんの取り組みを詳しく調べてみると、取得率100%に大きく関係していることが他にもあったのです。
上司から育休取得を勧められる
大和証券グループ本社さんでは、子どもの生まれた社員に育休の案内を送ります。
そして、その社員の上司からも育休を取得するよう勧められるのです。
確かに、上司が育休の取得を勧めてくれると、育休を取得しやすくなりそうです。
育休を取得しようとしている自分を周囲の人たちも認めてくれる雰囲気を感じ取れることでしょう。
上司に育休の取得を勧められたら、安堵ではなく、もはや義務感を感じるぐらいなのかもしれません。
私も、育休取得の意向を上司に伝えたとき、「全面的に応援します」と言われ、とても心強い気持ちになりました。
私が育休に入る前日、職場全体の打ち合わせで、管理職の方々が私の育休を肯定する内容の話をしてくれました。
そのおかげで、安堵した気持ちになったことを覚えています。
ちなみに、私は、職場でのファーストペンギンでした。
以前から19時前退社の励行
大和証券グループ本社さんでは、2007年度、すでに働き方改革に着手しています。
「19時前退社の励行」を進めました。
このような励行は、今では多くの職場でも行われているものだと思います。
かなり昔から行われている「水曜日はノー残業デイ」。
今ではあまり聞かなくなった「プレミアムフライデイ」。
設定している職場を多く見かけます?見かけました⁉
多くの職場では、予定表に書いてあるだけで、実際には他の曜日と全く変わらなかったのではないでしょうか。
私の以前の職場でも、ある年度の途中で21時30分までの退社が急に通知されました。
21時30分に施錠です。
施錠はセキュリティー会社に委託され、仕事途中でも帰らなければならなくなりました。
21時30分に仕事を残している方々はたくさんいました。
私もそのうちの一人でした。
結果、それまで以上に多くの仕事を自宅に持ち帰ることになったり、打ち合わせの続きをファミレスでしたりするようになりました。
私の以前の職場では、退社の励行は形式的には進められ、実態は伴わっていませんでした。
退社の励行が行われた職場の多くは、私の以前の職場と同じような様子だったかもしれません。
励行するだけでは、浸透していかないのです。
励行だけでなく、社長の直接指導と仕事内容の改善
大和証券グループ本社さんの実態は、他の多くの企業とは違います。
残業した従業員のいる部署に、社長から直接指導が行われたのです。
社長が、直接です。
指導と言っても、注意や𠮟責、激励のような感じではなく、相談とかコンサルのような雰囲気が感じられます。
○ 限られた時間内に仕事をすることを推進する
○ 時間内にできない理由を把握する
○ 仕事内容の改善を図る
この役割の中心を社長自らが担っていたということです。
私なら、社長が本気で従業員のワークライフバランスを考えてくれるなら、自分のワークライフバランスを見直そうと思えてきます。
そして、大和証券グループ本社さんのここがすごいんです。
2017年度、「ワーク・ライフ・バランス・働き方改革のための特別手当」を支給しました。
残業代として払っていた資金を原資とし、夏のボーナスとは別に、特別ボーナスを支給したのです。
生産性を維持または向上させつつ、労働時間を短縮させればボーナスが出るのです。
従業員からすると、このボーナスは、かなり魅力的です。
だらだら働いた分が個人の残業代として支給されるのではなく、てきぱき働いた分がボーナスになる。
時間をかけて仕事することが評価される時代の完全たる終焉です。
労働時間に対する考え方の変化がもたらした100%
大和証券グループ本社さんでは、これら様々な働き方改革を推進した結果、労働時間に対する考え方が大きく変化したのだろうと思われます。
そして、労働時間に対する考え方の変化が、2017年度の男性育休取得率100%をもたらしたのだろうと。
大和証券グループ本社さんの取り組みは、他の業種でも参考にできることがあるかもしれません。
今すぐに、働き方や制度を大きく変えられなくても、まねできるところがあります。
例えば、休暇のネーミング。
「育児サポート休暇」「妊婦エスコート休暇」など。
「配偶者の出産に伴う特別休暇」よりも、取りやすい印象を与えます。
大和証券グループ本社さんでの男性の育休取得期間は平均8日だそうです。
育休サポート休暇制度での有給期間の2週間を下回っています。
このような取り組みをもってしても、男性の数カ月単位での育休取得は、まだまだかなり高いハードルです。
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2021年6月12日「男性育休の取りやすそうな企業(3) ─ 大和証券グループ本社さん─」からタイトル変更しました。
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