見出し画像

フォークリフトの安全運転をAI 「Fujitsu Kozuchi」が解析!目視では気づけなかった運転の癖を知って安全意識向上へ

こんにちは、富士通広報note編集部です。
2024年7月23日、豊田自動織機 トヨタL&Fカンパニー(以下、トヨタL&F )と富士通は、フォークリフトやオペレーターの動きをAIが解析し安全運転を評価するサービス「運転動画AI解析」※を共同開発したことについてプレスリリースしました。「運転動画AI解析」は、フォークリフトのドライブレコーダーの映像をクラウド上で解析し、富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」で不安全な操作を検出するとともに、各オペレーターの安全運転を評価し、成績表として表示できるサービスです。

※「運転動画AI解析」は、トヨタL&Fが提供する、より良い物流現場づくりをサポートするサブスクリプション型のサービス群「FORKLORE(フォークロア)」の機能として提供しています。

本記事では、トヨタL&F板津さんと富士通でAIサービスKozuchiの開発を担当する島田に話を伺い、プレスリリースでは伝えきれなかったAI適用の背景や工夫についてご紹介します!


フォークリフトの事故は過去10年横ばい

そもそも、なぜフォークリフトの運転を解析する必要があるのでしょうか?接触事故防止のためにセンサーなどで人物検知を実施すれば事足りるのではないでしょうか。
フォークリフトは、工場や物流倉庫といった人と物が行き交う場所で使用されることが多く、事故防止には、オペレーターの安全意識が欠かせません。
しかし、厚生労働省 労働災害統計(2022年時点)によると、ここ10年のフォークリフト労働災害の推移は横ばいで、安全管理体制の整備や従業員教育の強化が急務となっています。

トヨタL&F 板津:センサーカメラの設置や工場内の人が歩く動線とフォークリフトなど車両の動線を分けることを指す人車分離など、設備やしくみによる安全対策も大切ですが、人手不足の影響で、経験の浅いオペレーターが増えている中、安全教育の重要度が高まっています。

フォークリフトにもクラウド型ドライブレコーダーが搭載されるようになってからは、運転中の動画や稼働時間をクラウドですぐに確認できるようになったものの、見たいシーンを探し出すために時間がかかることが課題でした。

トヨタL&F 板津:事故やヒヤリハットは必ずしもスピードや衝撃が伴うわけではないので、不安全な運転を見つけ出すには、人の目で、注意深く膨大な映像を確認しなければなりません。また、これまでFORKLOREに蓄積されたデータでは、走行状態は全体の約6割ほどで、人手で映像を確認するのは大変非効率です。その作業をAIで効率化できないかと考えました。

目視では見つけにくい不安全な操作を可視化し、安全意識を向上へ

「運転動画AI解析」のメリットの一つは、これまで気付くことができなかったオペレーターの運転傾向を可視化できる点です。熟練者でも無意識に行っている運転の癖をAIが客観的に評価することで、オペレーターの安全意識の向上を促します。

トヨタL&F 板津:本サービスを安全運転の評価だけでなく、オペレーターのモチベーションアップにも活用いただきたいと思っています。すでにご利用いただいているお客様からは、安全に操作できた割合も確認できるので、表彰制度などを設けて、減点方式の安全管理を見直したいといった声をいただいています。

「運転動画AI解析」では、1.走行荷役同時操作、2.後進時指差し確認不良、3.前後進切替時一時停止不良、4.急旋回 の4種類の操作を検出します

 

トヨタL&F 板津:運転動画AI解析は、指定のクラウド型ドライブレコーダーであれば、他社製のフォークリフトでも利用可能です。また、SDカードからの解析も可能なため、冷凍倉庫などの通信環境が不安定な場所でも活用いただけます。

機械学習における課題:膨大なデータと向き合い、精度と柔軟性を追求

「運転動画AI解析」の開発では、技術的課題がありました。
通常、AIが正確に解析するためには、膨大な量の学習データが必要ですが、ドライブレコーダー映像には、運転者やフォークリフトだけでなく、周囲の環境などの様々な要素が含まれており、その組み合わせパターンは膨大です。また、安全運転の定義は一律ではなく、お客様や現場の状況によって異なる場合もあるためとても複雑です。

そこで富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」を活用。

富士通 島田:「運転動画AI解析」では、オペレーターの動作やフォークリフトの走行状態、フォークの操作状況といった個々の要素に分解して、約20種類の基本動作をAIモデルとして検知しています。これにより、効率よく学習できる仕組みとなっています。

また、このAIモデルをベースに、基本動作の組み合わせルールを変更するだけで、柔軟に不安全行動の変更や追加がカスタマイズできます。

「Fujitsu Kozuchi」の詳細はこちらも記事もどうぞ

「Fujitsu Kozuchi」ほか、Fujitsu Research Portalにて富士通の先端技術を無償でお試しいただけます。

最後に

お話を伺ったトヨタL&F 板津さんと、富士通 ビジネスプロデューサーとして伴走してきた森平のコメントを紹介します✨

豊田自動織機 トヨタL&Fカンパニー
商品企画部企画室コネクテッド企画G 板津 直弥さん

「より安全で快適な物流現場の実現」という共通の志があったので、富士通の皆さまとは試行錯誤しながらも前向きに開発を進めることができました。本サービスが日本全国の物流現場に普及し、現場管理者の安全管理をサポートし、結果的に事故やヒヤリハットの減少につながっていくことを心より願っております。

富士通株式会社
Mobility事業本部 森平 拓実

富士通のテクノロジーだけでは解決出来なかった社会課題を豊田自動織機様の現場ノウハウと合わせて取り組むことで「より安全で快適な物流現場の実現」に向けてまずは一歩前進することが出来ました。今回は豊田自動織機の皆さまから物流現場の多くの学びをいただくことが出来ました。豊田自動織機様の「FORKLORE」をテクノロジーの観点でサポートしサービス向上することで物流業界へ貢献して参ります。


富士通 広報noteについてメディア取材ご希望の方は以下よりご連絡ください。 ご利用環境により、以下ボタンが反応しない場合は、<fj-prir-note@dl.jp.fujitsu.com>をご利用ください。