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「Ontenna」を活用した多様性社会の実現を探究する授業の開発~ベネッセ・修道高校との共創~
こんにちは!
今回は、富士通と株式会社ベネッセホールディングス(以下、ベネッセ)が共同開発したテクノロジーと多様性を考える新しい学習講座の教育現場における実証実験をご紹介します。本実証実験には、平等な未来社会を育むため富士通が開発した「Ontenna(オンテナ)」を用いました。
「Ontenna」とは?
そもそも「Ontenna」って何?と思われる方もいらっしゃると思いますので、まずは簡単にご紹介させていただきます。「Ontenna」は、音の大きさを振動と光の強さにリアルタイムに変換し、音のリズムや大きさといった特徴をユーザーに伝達するデバイスです。全国聾学校長会に所属する約8割の聾学校に導入され、リズム練習や発話練習で活用されています。また、映画鑑賞、音楽イベント、スポーツ観戦などのエンターテインメント分野でも導入され、聴覚障害者と健聴者が共に楽しむ体験を生み出しています。
2019年度のグッドデザイン賞で金賞受賞し、令和4年度全国発明表彰にて「恩賜発明賞」を受賞しました。(「Ontenna」のホームページ)
![オンテナの製品写真](https://assets.st-note.com/img/1703219747091-0SSRGrAvco.png?width=1200)
富士通とベネッセが共同開発したテクノロジーと多様性を考える新しい学習講座
富士通とベネッセは、「Ontenna」のプログラミング環境※1を通じプログラミングを学ぶ「情報」の教科と、聴覚障害を持つ方々の課題解決を考える「総合的な探究」の教科を実践する講座を共同開発しました。テクノロジーとダイバーシティ(多様性)を考える新しいタイプの学習講座です。
広島県の修道高校1年生の生徒288名を対象に2022年11月からこれらの講座を開始し、今年度も継続して「Ontenna」の探究学習に取り組んでいます。
👇昨年度の取り組みの様子
講座の特長
1.聴覚障害理解のための動画を視聴
実際に複数の聴覚障害者に出演してもらい、聴覚障害に関するレクチャーや日常生活の紹介をしてもらいました。聴覚障害者と会った経験のない生徒も、聴覚障害者本人の言葉を通じて聴覚障害者について知ることができるように工夫しました。
![聴覚障害理解のための動画のキャプチャ](https://assets.st-note.com/img/1703221020993-EUxAgkRaBJ.png)
![聴覚障害理解のための動画のキャプチャ](https://assets.st-note.com/img/1703221037921-CL2C56t5uC.png)
![聴覚障害理解のための動画のキャプチャ](https://assets.st-note.com/img/1703221045894-p0ZpkFo2k0.png)
2.プログラミング理解のための動画
「Ontenna」プログラミングの授業に使用する動画では、「Ontenna」の開発背景、プログラミングの機能や方法などについて、初心者でも分かりやすく説明しています。
「Ontenna」のプログラミング教育環境には、世界中の学校で初心者学習用に使用されているビジュアルプログラミングランゲージツール「Scratch」が用いられています。ユーザーが感じたい音の大きさや高さに対して「Ontenna」の振動の強さや光の色をプログラムすることで、「大きな音が鳴ったときに3回振動する」、「小さな音をキャッチすると赤く光る」といったカスタマイズができるようになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1703221178554-pfR3NjW75B.png)
![プログラミングの説明動画](https://assets.st-note.com/img/1703221182469-oyzWhac7XR.png)
![生徒がプログラミングを行っている様子](https://assets.st-note.com/img/1703221187893-PxfE6ooAIw.png)
3.各班が1分動画を作成し発表
受講した生徒は、「障がい者と平等に暮らしていく社会実現のための課題解決案」を1分動画で表現することを最終目標に取り組みました。ベネッセのワークシートを用いて、生徒達が各班で、探究の課題設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・発表の流れを学びながら、プレゼンテーション用の動画作成に励みました。全48班が、完成した1分動画を発表し、富士通やベネッセ、聴覚障害者の方々がフィードバックを行いました。聴覚障害者からは「生徒たちの思いをDX化いただけたので、こうして共有してコメントを返せるのは貴重な経験でした」といった意見をもらうことができ、授業を通して、普段接点のない聴覚障害者と生徒との交流を生み出しました。
![講座の様子の写真](https://assets.st-note.com/img/1703221221772-VFHWg2eZe2.png)
4.ベネッセによる「Ontenna」探究学習の効果検証
ベネッセが作成した評価指標のもと、定量調査での生徒の行動変容による講座全体の効果分析や、定性調査による授業ごとの講座効果分析を行い、また、先生や生徒への講座ヒアリングに基づく分析を行いました。
その結果、聴覚障がい者との対応による「社会問題や課題への関心」の向上や、動画作成やプレゼンテーション準備による「表現力」の向上、また、答えのない課題に対して試行錯誤する中での「粘り強さ」の向上が見られました。
修道高校としては、特に「粘り強さ」の向上を評価、また、探究の時間で「社会課題に対する実践」に取り組めたことも高く評価しています。生徒も新鮮で刺激的な講座と認識していました。
![](https://assets.st-note.com/img/1703221243803-JvPga5nGtg.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1703221248414-EVPTwUJgWq.png?width=1200)
![講座全体の生徒効果 定量アンケート変容分析のキャプチャ](https://assets.st-note.com/img/1703221252530-xFufU7pxqN.png?width=1200)
![先生・生徒様への講座ヒアリング内容のキャプチャ](https://assets.st-note.com/img/1703221258465-HTdrAPOj82.png?width=1200)
※1「Ontenna」プログラミング教育環境:国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)の研究領域「イノベーション創発に資する人工知能基盤技術の創出と統合化」における研究課題「計算機によって多様性を実現する社会に向けた超AI基盤に基づく空間視聴触覚技術の社会実装(研究代表:xDiversity※2 落合陽一)」の支援を受けて開発したものです。
※2 xDiversity:クロスダイバーシティ。落合陽一氏が代表を務める本CREST研究課題の活動体。
![](https://assets.st-note.com/img/1703221277928-Vq2JTuQ01U.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1703221288379-ERDMgONYvU.png)