バーチャル空間デザイナーの2023年
こんにちは。fujitoです。XR・バーチャル空間デザイナーとしてフィジカルとバーチャルの空間について考えていて、空間にまつわる様々な事象をデザインすることに取り組んでいます。
2022の振り返りはこちら。
2023年は、XRについて新たな視点を獲得することが1つの目標であったため、とにかくいろんな機会で制作や発信をすることを心がけてきました。
それでは振り返っていきたいと思います。
XR・バーチャル領域でやってきたこと
バーチャル空間制作
様々なバーチャル空間制作に携わらせていただきました。企画段階から入ったり、スケッチを書いて仕様を考えたりと、そのままモデリングするというのはあまりなく、どうしたらより良いバーチャル空間になるかという部分から考えるものが多かったです。
その中で、小学館さんとLATEGRAさんの共同プロジェクトである
Webメタバース「S-PACE」に関わらせていただき、一部の空間制作を担当させていただいています。webGLベースで、データ容量や負荷軽減の制限がある中で、どういうことができるか、いかにユーザーにとって優しい設計にできるかなどを模索しデザインしていきました。
また国立科学博物館さんのバーチャル展示会「電子楽器の創造展」のプロジェクトにも参画しました。Stylyを使ったフルバーチャル展示会の企画で、全体展示の中の第四章の空間制作担当として、当時のライブ演出を体験できるライトボックスステージや、スライドショー展示のある空間を制作しました。
vketでは、夏と冬に企業ブース制作に関わらせていただき、JR九州さんのバーチャル博多駅や髙島屋さんのブースの制作もしています。様々な企業さんが参加されているのもHIKKYさんの頑張りがあってのことなんだろうなと思います。
年末ギリギリまで作業しているのは、「Villa Veil 12°」というVRChatのワールド制作です。ワールド制作の技術的な部分でリサーチなどを進めていたのですが、実はVRChatで個人制作はしてなかったので、習作として作っていたのものをせっかくなので公開しようと思いました。
荒野のオアシスに建つ別荘をイメージしたワールドで、薄明という夜から朝になる間の時間帯をゆったりと過ごせるワールドにしようと思っています。最後の調整中なので来年早々にはローンチします。
この他にもVketcloudを使った制作や、産業メタバース関連のアドバイス、某社のVRアプリのステージ制作等もしていて、プラットフォームに偏らず、幅広く、制作に関わらせていただきました。
バーチャル空間は、空間を作ることはもちろん、空間を使った売買行為や発信行為など、フィジカルな世界では簡単にできなかったことが身近になります。また自分が好きなことやカルチャーをベースにした小さな公共性のようなもの発生していて、フィジカルな世界とは異なる空間との付き合い方や距離感、関係性が面白いなと思っています。
ARクリエイターとしての制作
バーチャル空間制作と同じくらい力を入れていたのはARの制作です。
ARに関しては、ウェルビーイング、都市景観、物理資源の再利用などを通して、都市や商業空間などのフィジカルな空間での日常の拡張体験での可能性を感じました。実際にフィジカルな身体性を持ったバーチャルな体験として、今までの生活を拡張した新たなリアルとして発展させていきたいと思っています。
kawaii cyberpunk @都庁広場
AR名刺(WebAR)
Angel ”SEA”Wings
withARハッカソンに参加。Stylyを使用して、「AR宙凧-SOLATAKO-」を制作。
「にいがたデジコングランプリ」において XRコンテンツ部門でグランプリ作品に選出されたりもしました。
UE5・UEFNの取り組み
まだ始めて1年もたってないのですが、個人でのUE5での制作として、MetaMeというNTTドコモの最新技術を活用したメタコミュニケーションサービスが開催したクリエイティブコンテストに参加しました。
「MetaMe」は、自分らしい趣味や表現、会話をきっかけに、共通の価値観を持つ人同士で繋がることができる、新しい形のコミュニケーション空間として定義されており、私はMobileBazaarというモバイルコミュニケーションスペースの提案をし、空間プロデュース部門で最優秀賞をいただきました。
ほかにもマルチプレイのホラーゲーム「TRINITY」を制作したり、
UEFNに関しても色々と触ってみたりしています。
まだ始めたという段階なので、来年は何か作ることをしたいと思っています。
XRの展示活動やXRコレクティブの始動
XRを社会の中に組み込んでいくためには、多くの人にその面白さを知ってもらう必要がありますし、作り手も増えていって欲しいという思いがあります。そのため作品を様々な形で展示させてもらったり、NEWVIEWSCHOOLというプログラムのサポーターとして運営のお手伝いをしていました。
また夏頃に「Exxp」というXRコミュニティの中で、Gorilla GridというXRクリエイターのコレクティブを立ち上げました。
VRやARのコンテンツをチーム制作する活動を主として、メンバーそれぞれやりたいことはあるものの、私自身は様々なクリエイターたちと実験的に考えながら制作や展示をしていくための活動体として捉えています。
NEUUでの展示
VketRealに出展。PararealCreatorとして展示。
ミライPARK@新宿中央公園での展示
NEWVIEW PROJECT 2023 KICKOFF PARTYでの展示
NEWVIEW SCHOOLサポーター
バーチャル領域での活動を通して
フィジカルとバーチャルの空間を総合的に取り扱うこととそれぞれの差異について
2020年ころからフィジカルとバーチャルのそれぞれの世界を、空間デザイン領域として総合的に取り扱うことで、空間における新たなリアルを模索していきたい、フィジカルの空間とバーチャル空間を分け隔てなく取り扱いたいとの気持ちでXR業界に飛びこみました。
活動を深めていく中で、大きく捉えていたバーチャルの姿が自分の中でさらに明確になり、同時にフィジカルとバーチャルの差異を考えるようになりました。
技術を学び理解した上で、フィジカルなサイド、バーチャルサイド、それぞれに立つことで見えてくるものがあるのだと思っています。来年はそういう意味で少し立ち位置を変えたり、チャレンジをしていきたいなと考えています。
XR空間デザインについて
VRやARの空間デザインを考える上で、バーチャルの特性や特徴を理解することと、XR空間体験を考えていくことは来年も引き続き力を入れていきたいと思っています。
AR宙凧-SOLATAKO-では、XR体験デザインについて考えたことをこちらで記事にしています。
来年も空間の新たな「リアル」をつくることを目指す
来年は、フィジカルな世界とバーチャルな世界の考え方を相互に活かし、その中で、置き換えたり、変化させたりすることで、それぞれの世界をさらに深化させることに取り組んだり、
フィジカルとバーチャルが重なる部分や、それらをつないだ空間を考えていくことをやりたいなと思っています。
それらを踏まえて、空間の新たな「リアル」をつくることを継続していき、技術を磨きつつ、XR空間の制作に加えて、発信することも力を入れていきたいです。
最後に、今年は多くの皆様と関わる機会があり、大変お世話になりました。また数多くのプロジェクトのご依頼をいただきありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。