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【創作童話】ゆうちゃんシリーズ「ゆうちゃんのタンポポ」
ゆうちゃんはタンポポがだいすきです。おかあさんとさんぽをするときはいつも、タンポポをさがしています。
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はるのあたたかいひ、ゆうちゃんはおかあさんとさんぽにでかけました。
トコ、トコ、トコ。
やさしいひざしをあびながら、ふたりはゆっくりあるきました。しばらくすると、ゆうちゃんがたちどまってゆびさしました。
「あそこにタンポッポさいてるよ」
みちばたにタンポポばたけがひろがっていました。
「ほんと、たくさんさいてるね」
おかあさんはやさしくほほえみました。
「タンポッポ、いーっぱいだね」
ゆうちゃんは、タンポポをタンポッポといいます。タンポポばたけにかぜがふきました。
「タンポッポ、みんなでダンスしてるね」
ゆうちゃんはそういうと、かぜにゆれるタンポポにあわせておどりました。
「ゆうちゃんもタンポポみたいよ」
おかあさんがやさしくほほえみました。
なつになりました。
くもひとつないまっさおなそらのした、ゆうちゃんはおかあさんとさんぽにでかけました。セミのこえにつつまれながら、ゆうちゃんはひがさのしたで、おかあさんとてをつないであるきました。
テクテク、テクテク。
しばらくすると、ゆうちゃんがたちどまってゆびさしました。
「おっきいタンポッポ、せいくらべしてる」
まなつのたいようをあびてまっすぐのびたヒマワリが、おおきなはなをさかせてならんでいました。
「あのおはなはヒマワリっていうのよ」
おかあさんはやさしくおしえてあげました。
「おっきいタンポッポじゃないの?」
ゆうちゃんは、きいろいはなはみんなタンポポです。
「ちがうけど、おっきいタンポポって、とってもいいね」
おかあさんがほほえむと、ゆうちゃんはヒマワリにむかってさけびました。
「おっきいタンポッポ、もっともっとおっきくなあれ!」
あきになりました。あかとんぼがとぶゆうやけぞらのなか、ゆうちゃんはおかあさんとさんぽにでかけました。
タッ、タッ、タッ、タッ、タッ。
こばしりするゆうちゃんのうしろをおかあさんははやあしでおいかけました。しばらくすると、ゆうちゃんがおどろいたかおをしてたちどまりました。
「わあ! タンポッポのきがいっぱいならんでる」
いちょうなみきがきれいなきいろにかわっていました。
「あれはいちょうっていうの。きいろいのは、おはなじゃなくてはっぱなんだよ」
おかあさんはやさしくおしえてあげました。
「タンポッポのき、はっぱでできてるの?」
「そうなの。はっぱだけど、タンポポいろしてるね」
「うん。はっぱだけど、ちょうちょみたい」
あしもとにおちているいちょうのはをみて、ゆうちゃんがいいました。
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「きからおちるときもちょうちょみたいだよ。ひらひらって。ほら、あそこ」
「あっ、ほんとだ」
ゆうちゃんは、てをのばしながらおちてくるいちょうのはをおいかけました。
「ねえ、はやくタンポッポのきのトンネルいこうよ」
「そうね。じゃあ、かけっこしようか」
「うん、よーいドン!」
ゆうちゃんは、おかあさんといっしょにいちょうなみきにむかってげんきにはしりだしました。
ふゆになりました。
ゆうちゃんはしろいいきをはきながら、てぶくろとマフラーをしておかあさんとさんぽにでかけました。
ザクッ、ザクッ、ザクッ。
ゆうちゃんは、おかあさんとてをつないで、しもばしらのうえをあるきました。
「じめんがないてるね」
「そうね。さむいよって、ないてるのかな?」
おかあさんはそういってほほえみました。しばらくすると、ゆうちゃんがたちどまりました。
「ちいさいタンポッポがさいてるよ」
あしもとのこおったじめんから、ちいさなきいろいはながかおをだしていました。
「そのおはなは、ふくじゅそうっていうんだよ」
「さむいのにへいきなの?」
ゆうちゃんは、しんぱいそうなかおでおかあさんにききました。
「ゆうちゃん、やさしいね。がんばりやのおはなだから、きっとだいじょうぶ。あたたかくなったら、もっとおおきくなるから」
「さむいから、まだおすわりしてるのかなあ」
ゆうちゃんはすこしほっとしたかおでいいました。
「そうね、まだかぜがつめたいもんね」
おかあさんがえがおでこたえると、ゆうちゃんはまわりのしもばしらをていねいによけながら、ふくじゅそうにやさしくこえをかけました。
「ちいさいタンポッポ、さむいけど、あったかくなるまでがんばってね」
あたらしいはるがきました。
このまえのはるよりすこしおおきなうんどうぐつをはいて、ゆうちゃんはおかあさんとさんぽにでかけました。
♪ランラン、ラララン ♪ランラン、ラララン
じょうずにスキップできるようになったので、ゆうちゃんはうれしくてしかたがありません。タンポポばたけでつんだタンポポをてに、ゆうちゃんはえがおでどんどんスキップしました。しばらくすると、ゆうちゃんはきゅうにたちどまりました。そして、しょうがっこうをゆびさしていいました。
「みんなタンポポみたい」
きいろいぼうしをかぶったいちねんせいが、こうていにならんでいました。
「ほんとだね。ゆうちゃんも、おおきくなったら、あのぼうしかぶるんだよ」
「うん。タンポポぼうし、はやくほしい」
「あらゆうちゃん。タンポポっていえるの?」
おかあさんがおどろいたかおをすると、ゆうちゃんはとくいそうにいいました。
「ちゃんといえるよぉ。こんどタンポポぐみになるんだから」
「そうだね。ようちえん、いくんだもんね」
「うん、とってもたのしみ!」
てにしたタンポポをふりながら、ゆうちゃんはげんきにこたえました。
あたらしいはるは、あたらしいタンポポのきせつです。
(おわり)