人生を変える「取材」の魔法
昨日、編集教室での古賀さんの講義をまとめました。
その中で、聞いた話を発展させてみます。
古賀さんも実践している
記事中では、こんなことを書きました。
例えば、仕事から帰って奥さんからその日あった愚痴話を聞かされる時。
ただ聞いているのならば、それは受動的です。しかも苦痛でしかない。
でも、奥さんの話を「取材」するのだと思って聞いたらばどうでしょう。
積極的に質問もするでしょうし、前のめりになって相槌も打つでしょう。
それは能動的な態度だし、日常の過ごし方になるわけで、それがライターとしての生き方になるのです。
これは、既婚者には驚きのアイディアです。
古賀さんは、これを実践するようになって、奥さんとの仲もより良くなったとおっしゃってました。
結婚する前は、あんなに楽しかった妻の話が、どうして結婚して毎日聞くようになると苦痛になるのでしょう。そう思っている夫が多いのはよく知られたところです。
妻のトリセツなんて読んでも無駄
この本が売れているそうです。同じ著者による「夫のトリセツ」に比べると数倍。
なぜかというと、夫は妻のことがわからないと思っているからでしょう。学習するのは良いことです。そして、それを実践出来ればなお良し。
でも多分、この本を読んだ「夫」のほとんどは、「あるある」とか思いながら読んでそれっきりなはずです。なぜなら、そこに「取材」の意図がないからです。
大体、妻にキレられる夫というのは、妻の日常に対する想像力が欠けていて、さらに妻の日常に対する理解もない。他者の視点に立っていないわけです。それも無理はない話で、自分の忙しさが全てですからね。
でも、妻にキレられていない夫は何をしているか。妻を観察しているのです。化粧が変わったとか、髪型が変わったとか、服が変わったとか。何かある物です。まあ、化粧が変わるのは、危ないですけどね。浮気している可能性がありますから。
取材その1:質問してみる
でも、ちょっとした変化に気がついて、それを言葉にすることができれば、そんなに妻たちはキレたりしないものです。
変化に気がつかなくても、質問をすればいい。
「あれ、今日、いつもと違う?」
とかね。違っていたとしたら、向こうは喜ぶでしょうし、後ろめたいことがあれば、どきっとするでしょうし、違っていなくても「気のせいか。でも、今日は綺麗だね」くらい言っておけば、喜ぶでしょう。あ、こちらの浮気を疑われる可能性もありますけどね。
質問は、取材の第一歩。そして、話を聞き出すことです。
まあ、たいていの妻は、こちらが話しかけなくても何かしら話してくるものです。しかも、夫にとってはどうでも良いことで、天下国家に関わらない、些末な日常茶飯事の出来事です。
取材その2:聞き出す
そのどうでもいい話を、聞き流そうとするから、あなたは妻にキレられるわけです。私の話を訊こうとしないとか言われて。
でも、会社から帰ってきて疲れているのに、どうでもいい話聞かされる身にもなってくれよ、と、たいていの夫は言います。
でも、本当に、妻の話はどうでもいい話なんでしょうか?
一度、積極的に聞いてみてはいかがでしょう。向こうが言うことがなくなるくらい聞き出してみてはいかがでしょう。そうすれば、向こうの話の内容や話し方、態度も変わるはずです。
また、よくよく聞いてみると、登場人物が固定した連続ドラマのように、発展していくかもしれません。何回かしたらば、こちらから、そういえば、この間のあの人はどうなったの、と蒸し返してもいいかもしれません。
妻の話は、連続ドラマなんだと思ったらば、続きが聞きたくなるかもしれませんよ。
取材その3:相槌を打つ
相槌は大事です。
実際の取材の際にも、適当な相槌では話が深まりません。相手に適した、その時の内容にふさわしい相槌を的確に選び出して、実に良いタイミングで相槌ができるのが優れた取材者と言うものです。
妻の話にも、この条件は当てはまるでしょう。
的確でない相槌は、相手の機嫌を損ね、話す気を失くさせます。その時は、話が終わってラッキーと思うかもしれませんが、そこで失ったポイントは、後から大きなダメージとなって帰ってくる場合があります。
失点しないように、的確にラリーを返し、凌ぎ切る。
これが妻との対戦で大事なのです。
取材その4:話をまとめる
これは、余裕があれば何ですが、聞いた内容をまとめてみるのは良いかもしれません。
あなたの話はこう言うことだよね、などと、相手に向かってまとめるのではありません。それは、妻に対して、一番してはいけない行為です。相手は、話を聞いて欲しいのであって、答えが欲しいのではないからです。
ただ夫が話に興味を持ち続けるには、自分の中で、一度、妻の話を整理してみて、構造を把握してみることが良いかもしれないと言うことです。チラシの裏に書き出してもいいかもしれません。(ちゃんとノート買ってもいいですけどね)
登場人物と、その間の人間関係、主な場所、時系列、一つのストーリーにならないか考えてみると取材している感が出てきます。そして、次に話を聞くときに、そのメモを頭の中に置いて(目の前に置くと怪しいですからね)欠けている部分を埋めるような質問をしてみるのです。
そのときどう思ったのか、妻の心の動きも聞いてみてもいいかもしれません。
こうすると本格的に取材です。
記者になって気持ちで妻に臨めると新たな興味が出てくるかもしれません。
夫婦仲を改善する魔法のメソッド=取材
妻の話を聞き流すのではなく、取材する気持ちで聞いてみる。これは、夫婦仲を改善する効果があることは古賀さんが証明しています(そうなのか?)。
今後、この効果について引き続き事例を集めて、ぜひ、魔法のメソッドとして発売したいものです(笑)。
ちなみに、私は、夫婦仲が良いので友人の間でも有名ですが、このメソッドを実践しています。
妻の話は積極的に聞きます。若い時は、つい答えを返してしまっていたのですが、今は、彼女の行動を褒めるように、相手の問題を類例を示して叩くように、発言するようにしています。
答えは向こうの中にあります。私の中にある答えなどどうでもいいことです。これに気がついてからは、さらに、妻が考えていること、実践していることを聞き出し、まとめ、類型化し、前にもこんなことがあったねと提示するようにしています。
それでも、私の話は、ほとんど聞いちゃいないんですけどね。
いいんです。私の話を届けることが重要なのではなく、彼女の話を取材することが目的なのですから。おかげで、彼女の会社の人たちの人間関係や会社の状況などに詳しくなりました。そして、中間管理職の難しさを彼女の話を聞いて実感する日々です。
このメソッドで、こんまりみたいに稼げないかなあ。
漫画化するのが大事かなあ。