新型コロナウイルス専門家会議の皆さん、お疲れ様でした。
専門家会議の記者会見
新型コロナウイルス専門家会議のメンバーが6月24日記者会見をしました。
専門家会議とはなんだったのか
議事録がないとかいろいろ言われてきましたが、この専門家会議の特徴は、こうした自らが発言し、政府発表とのバランスをとってきたことではなかったかと思います。
それが、ご本人たちもあげていたように「前のめり」な姿勢として、是非を問われることになったのではないでしょうか。
でも、彼らが政府と厚労省に任せて、自ら発言することがなければ、私たちは、この新型コロナウイルスに対する日本政府の対策について、もっとわからないことだらけで、右往左往させられていたのではなかったのかと思います。
我が国では、近年、新しい感染症による深刻な打撃に直面して来なかったため感染症に対する危機管理を重要視する文化が醸成されてこなかった。こうした状況の中、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(以下、専門家会議)は、「新型コロナウイルス感染症の対策について医学的な見地から助言等を行う」ことを目的に、本年2月の発足以来、感染拡大のスピードに負けないよう、疾走してきた。これまでの約4か月間、この感染症に対して、計
10本の「見解」と「状況分析・提言」をとりまとめるなど一定の役割を果たしてきたと考えている。しかし、同時に、緊急事態下における「専門家助言組織」のあり方等については、様々な課題も見えてきた。
そして会議を解散するにあたって、こうした総括と提言までしてくれるとはなんと責任感溢れる人たちなのかと感心しています。
言葉足らずな上に、専門家の責任のような発言を繰り返していた政府というか安倍首相や、菅官房長官とは全く異なる姿勢ではないかと思うのです。
対外的なPRのために、noteを解説し、忙しい中、おりあるごとにマスコミの取材を受けて、正しく社会に伝わるように腐心していたのですが、そうした活動そのものを否定する声があったことも事実です。
専門家会議の暗闘
提言や見解については、厚労省のサイトにも残されています。
ここまで積極的に、発言する有識者会議があったかと思うくらいです。
でも、それは、政府や厚労省との戦いの歴史でもあったわけです。
政府の専門家会議のメンバーは、感染拡大を受けて自発的に対策を呼びかけようと、10回にわたって見解や提言を示してきましたが、関係者によりますと、政府側から求められ、文言を修正したり削除したりしたケースがあったということです。
当事者への取材から浮かび上がるのは、「科学と政治」の境界線のどこに位置を取るのかをめぐって、専門家たちが内面に抱え込んだ葛藤や、専門家同士の衝突という知られざる事実だった。
感染症専門医や公衆衛生の専門家が抱える課題や、日本の新型コロナ対策についての課題を、政府専門家会議委員の岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長に聞いた。2回にわたってお届けする。
前のめりだったから叩かれた?
インタビューや記事もたくさん出ているので、時間があればぜひ読んでいただけるといいと思うんですが、多くの人には、そうした声が届くとも限らないわけで、何かと専門家会議は悪役にされてきました。
それは、専門家会議が助言ではなく、決定に関わっている組織だと思われたからでしょう。そのことについては、冒頭の会見でも反省の声が出ています。
公表した提言によると、2月中旬ごろには「このウイルスの感染拡大と影響が甚大になる」と予測。「新たな感染症による未曽有の事態を目の前にし、我々専門家が果たすべき役割は、政府に助言するだけでなく、感染予防や感染拡大防止に資する対策案も提供すること」と判断したという。
でも専門家がここまで急を持って提言したのは、政府の対策が後手に回っている上に判断が遅かったからじゃないのでしょうか。
提言では、専門家会議が前面に出る対応について「外から見ると、あたかも専門家会議が政策を決定しているような印象を与えていたのではないか」と指摘した。
特に「人との接触を8割減らす10のポイント」「新しい生活様式の実践例」など、生活方法を提示した点は「専門家会議が人々の生活にまで踏み込んだと受け止め、警戒感を高めた人もいた」と分析。「専門家会議の役割に対して本来の役割以上の期待と疑義の両方が生じた」とした。
確かに、これは専門家会議の役割なのかと私も違和感を感じました。
そこまでいうことはないよなあ、という不満と、なんでそんなことをこの人たちに言わせてるんだという政府への怒りとがないまぜになった感じでした。
結果として、世間から専門家会議が反感を買うことになったのではないかと心配しています。すごい方ばかりなのに。
今後、政府はこの提言を生かして欲しい
でも、最後にここまでやる専門家会議が今まであったでしょうか。
この専門家会議の提言は、今後の組織運営や活動に役立てて欲しい内容なので、政府と厚労省はよく吟味して欲しいと思います。
このため提言では政府の専門家助言組織について「医学や公衆衛生学以外の分野からも様々な領域の知を結集した組織とする必要がある」と求めた。さらに「リスクコミュニケーション(危機時の情報伝達)のあり方をアドバイスできる専門人材を参画させるべきである」とした。政府が設置する新組織にはそうした専門家が入る予定だ。
新型コロナウイルス対策を話し合う政府の専門家会議について、西村経済再生担当大臣は記者会見で、廃止したうえで、メンバーを拡充するなどして、政府内に「新型コロナウイルス感染症対策分科会」として改めて設置する考えを明らかにしました。
専門家会議の廃止を捉えて、意見を言いすぎたから首になったなどというデマが飛び交っているようですが、そういう側面がないとも思えませんが、とにかく拡充すると言っているので、今回の最後の提言を踏まえて欲しいものです。
分科会では、感染状況の分析や感染の再拡大に備えた対策、それに、ワクチンができた際の接種の在り方などを議論する見通しで、西村大臣は、メンバーについて、感染症の専門家に加え、自治体関係者や危機管理の専門家など幅広い分野から人選する考えを示しました。
この4ヶ月本当にお疲れ様でした。
追記:新しい会議体の話は、この前日からあったようです。
西村康稔経済財政・再生相は23日午前の記者会見で、新型コロナウイルス感染症対策として2つの会議体を設置すると明らかにした。一つは、人工知能(AI)を使い飛沫経路をシミュレーションし感染防止対策を検討する。東北大学の押谷仁教授ら感染症の専門家で構成し、24日に1回目の会議を開く。
もう一つは、スーパーコンピューターや人工知能(AI)を使い、緊急事態宣言の下でのこれまでの感染症対策の妥当性を検証する。政策研究大学院大学の黒川清名誉教授や京都大学の山中伸弥教授ら4人で構成する。
最新のスーパーコンピューター「富岳」や、AIを使って飛まつの拡散などをシミュレーションし、今後の感染防止策の在り方を検討してもらうことにしています。
サポートの意味や意図がまだわかってない感じがありますが、サポートしていただくと、きっと、また次を頑張るだろうと思います。