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21世紀になって「資本論」について再度知る機会を得るとは思わなかった

なるべくネットを見ずに過ごしたら、何もわからなくなるところだったのだけど、実は、いくつか新しい発見があった。

テレビ番組を録画しておいて見ずにいたものが溜まっていたので、休みを良いことに見ていたのだけど、その中に色々と面白いものがあったのだった。

どれもNHKだと言うのがまあ、なんと言うか、そう言うことなのだけど。

特に、これが良かった。

今、再び19世紀の思想家カール・マルクスの著作が多くの人たちに読まれ始めています。とりわけ私たちがその只中で生活している経済システムの矛盾を明らかにしてくれる『資本論』が大きな脚光を浴びているのです。

「資本論」の思い出

マルクスの「資本論」には思い出がある。

大学を卒業して最初に勤めた会社で、なぜか全学連の担当になった。

全学連というと、学園闘争時代の産物と思っている方も多いと思う。私もそう思っていたけれど、実は、細々と続いていて、特に民青を中心とする共産党系全学連というのがあった。

現在、5つの団体がそれぞれ独自に全学連を名乗っている[2][3][1]。2018年現在では、大学の学生自治会の連合組織としての実態はほとんどなく、日本共産党または新左翼党派の傘下の学生団体が全学連を名乗っているとされる[4]。

私が担当していたのは1985年ごろの話なので、まだ活動も盛んで、特に共産党系全学連は独自の拠点を構え、全国に檄をとばしていた。

1980年代に入ると各派の全学連大会参加者は3ケタまで落ち込み、加盟数も84年時点で日共171校362自治会、革マル16校25自治会、中核派5校10自治会、青解派4校10自治会(そのほかブント系3校5自治会、第四インター系2校2自治会)となっていた

70年代に比べると激減していたけれど、80年入学の幻の安保世代(私が勝手に命名している)である私から見れば、まだ、こんなに学生運動をしている人がいるんだと驚いたくらいである。

で、彼らのところに行って、印刷物の発注を受けたり、デモ用のゼッケンを売ったりする仕事だったのだけど、まあ、最初に彼らから出身大学名を聞かれますよね。

そこで「筑波大学」などと言おうものならば、鼻で笑われるわけですよ。ノンポリ大学だと。学生運動が起きないように生協も持たずに作られた大学ですからね。彼らから見れば、最も学生運動から遠い大学なわけです。嘲笑の対象です。

そこで、怒っては営業にならない。多分、会社としても私が筑波大学出身だから担当にしたはずなんですよ。彼らに取り込まれないように。中途半端に営業に行って思想にかぶれても困りますからね。

私がとった戦略は、言われたら「そうですノンポリですが何か?」と返すのと、彼らに負けない読書量と知性を見せつけることでした。

その頂点が「資本論」について彼らと激論ができるかどうかだったんですね。マルクスについて語り倒してやりましたよ。勉強は得意ですから。国立旧一期校を舐めるなということです。「共産主義宣言」とか「日本共産党の研究」とか読むだけ読んで、彼らを論破するのを楽しみにしていました。

そんな昔を思い出しながら、番組を見たわけです。

「資本論」は共産主義の教科書ではない

すると、全く知らなかった「資本論」がそこにあったんです。

経済思想研究者の斎藤幸平さんは、ソ連や中国といった既存の社会主義国家にはなかった全く新しい社会ヴィジョンが、マルクスがその生涯をかけ執筆した大著『資本論』のうちに眠っているといいます。マルクスによる「商品」、「貨幣」、「労働」、「資本」などについての鋭い分析は、執筆された150年前の当時と今では状況は異なっているにもかかわらず、全く古びていません。その可能性を読み解くとき、私たちが、今後どのような社会を構想すべきかという大きなヒントが得られるというのです。

だいたい、「貨幣」とか「労働」について語れば、全学連の下っ端には勝てたんですが、マルクスが「資本論」に込めたのは、それだけではないようなのです。

今回のゲストである斉藤幸平さんは、この本の冒頭で、こんなことを書いています。

今こそ『資本論』が必要です。資本主義が危機に陥り、その暴力性がむき出しになっている二一世紀は、再びの「マルクスの世紀」だからです。現代を生き延びようとしている私たちにとっても、よりよい将来社会を構想するための、実践的な道標になってくれるでしょう。

日本ではマルクス主義者と呼ばれる人たちがマルクスを象牙の塔の中に閉じ込めてしまった、とも斉藤さんは言います。

では、マルクス本人が語っていることはなんなのか。何より、マルクスはソ連が示したような意味での「コミュニズム」の本家ではないというのです。

マルクスというと、ソ連や中国のような共産党による一党独裁社会を連想する人も多いと思いますが、マルクス自身は「共産主義」とか「社会主義」という言葉をほとんど使っていません。代わりにマルクスが用いたのが「アソシエーション」という用語です。
アソシエーションによって形成・維持される社会とは、どのような社会なのでしょうか。マルクスが構想した「コミュニズム」とは、ソ連や中国のような中央集権的な共産主義とどう違うのでしょうか。それがわかると、「人新世」の危機が文明を脅かし、「資本主義社会の終焉」が謳われる今こそ、『資本論』が読むべき名著だと得心していただけると思います。

これは驚きです。

斉藤幸平さんはピケティになれるか

もっと知りたいと思い、斉藤さんが書いている話題の本も買いました。

【『新書大賞2021』第1位!大賞受賞作!!】人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」=環境危機の時代。気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。それを阻止するためには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。いや、危機の解決策はある。ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。世界的に注目を浴びる俊英が、豊かな未来社会への道筋を具体的に描きだす。

気になってたんですけど手が出なかった。なんか「資本論」って、と思って。

ピケティ「21世紀の資本」の時も、すぐに手が出なくて結局解説本を読んだりしたんだった。

同じように、「人新世」というのが気になって、手に取らなかったのだけど、どうも読まないと進まない感じがしたので読んでみます。

そういえば、気になっていた、この本の話も「100分で名著」の中に出てきたんだった。

やりがいを感じないまま働く.ムダで無意味な仕事が増えていく.人の役に立つ仕事だけど給料が低い――それはすべてブルシット・ジョブ(ルビ:クソどうでもいい仕事)のせいだった! 職場にひそむ精神的暴力や封建制・労働信仰を分析し,ブルシット・ジョブ蔓延のメカニズムを解明.仕事の「価値」を再考し,週一五時間労働の道筋をつける.『負債論』の著者による解放の書.

そういう意味でも、実に興味深い回だった。


なんにしろ、マルクスは、共産主義では終わらないもっと大きな思想家であり、マルクスの手稿は研究し尽くされていないというところも気になります。

あとは読んでからだな。






サポートの意味や意図がまだわかってない感じがありますが、サポートしていただくと、きっと、また次を頑張るだろうと思います。