知事は本当のことは言わないが、数字は嘘をつかない
このところ、東京都では感染者数が連日50人を越えていますが、東京アラートが出る気配はありません。
東京アラートの姑息
さらに、アラート解除は小池知事が都知事選に出馬を表明した前日であり、全業種への休業・自粛要請解除は都知事選告示の翌日です。
「警戒を強化したり緩めたりする手綱が恣意(しい)的ではないか、との疑念が残る」(東京新聞13日付社説)との批判も出ています。
共産党が騒ぐのももっともですが、どうせ騒ぐならばもう少しちゃんとやってください。東京新聞の社説を引用している場合なのでしょうか。
その東京新聞が継続して記事を出していますね。さすが東京ローカルの新聞です。
東京都は26日、新たに54人の感染者が確認されたと公表した。先月下旬の緊急事態宣言解除後では最多となった24日の55人から3日続けて50人前後の高水準が続く。
東京アラートについては、私も既に記事を書いていますが、あれに意味はなかったと思いますし、解除についても恣意的だと考えます。
そして、なぜ、この時期感染者数が少なかったのか、裏付けるような数字が見つかりました。
なぜ統計数字が違うのか
東洋経済の出しているビジュアル統計です。
このうち東京都の分をクローズアップ。
中でも疑問のところをクローズアップ。
6月17日以降急に増えているのは、基準が変わったからのようです。
6月17日以降の東京都は医療機関における保険適用での検査人数も含む。
でも、それまでが少なすぎませんか?
最近、たくさん出てるのはPCR検査数が増えたからという話は本当なの?
東京都のサイトではどうなっているでしょう。
こちらでは1000件程度の検査があったという発表になっています。ここにも、医療機関での保険適用検査実績という言葉があります。
どちらが本当の数なのでしょう。
感染者は増えるが重傷者は出ていない
ただ、この病気の場合、検査数と感染者数の話だけ見ていても仕方がないと思います。
実は重要なのは、重症者の数と入院患者の数ではないでしょうか。医療崩壊が防げているかどうかと、死者が増えそうかどうかが分かります。
COVID-19は軽症者が多く、特に若者の重症化が少ないという特徴があります。若者で増えていても、そこから老人に移してなければ広がりは限定的である可能性も高いです。ただ、若者間でも急激に感染していれば、免疫の弱い老人や既往症者への感染確率が高まりますので、危ないと言えます。
その点では、どちらの統計を見ても、重傷者が減っていて病院の負担が減っていることがわかります。そこは安心していいようです。
どこを見るか、何を見るか
数字は嘘をつきませんが、数字の前提になる作業について発表者が嘘をついている可能性はあります。
さらに東京アラートについては、基準が恣意的だったことも指摘されています。見直しているそうですが、知事選中は誰が出すのでしょう?
副知事ですかね。
元知事の舛添さんと小池さんの確執も気になりますが、まあ、この記事にあるようなことは素人でも言えるわけで、せめて、知事選中でも東京アラートが出せる根拠を示してもらうとか、中にいたことがある人らしい発言で攻撃していただきたいところです。
さらに、今感染者が増えているのは、アラートの最中に罹患した人だということも忘れてはなりません。
東京新聞は指摘します。
数だけでなく、感染の時期も見逃せない。ウイルスの潜伏期間などを考慮すれば、12~25日に確認された500人の多くは、それぞれ2週間ほど前に感染したとみられる。都がアラートを発令し、警戒を呼び掛けた時期と重なる。
東京アラートになんの効果もなかったということなのでしょうか。
東京都だけの問題ではなく、地域限定で国が緊急事態を発令したらば、また大変なことになります。
4月7日に発令した時の基準を参考に、直近1週間の新規感染者数は「10万人あたり5人ぐらい」、感染経路不明者の割合は「5割以上」、(感染者数の)倍加時間は「10日以内」などの基準があるが、それぞれもっと厳しく見ていく。感染経路不明者の割合は「3割以上」で見ないといけないと思っている。
この辺りのせめぎ合いも気になるところです。
数字も気になりますが、数字の裏も気にして、ニュースに一喜一憂しないで、まずは手を洗いましょう。