小泉大臣の育休で炙り出されるもの
小泉環境大臣が育休を取ることを決断したのを支持します。
小泉育休問題は当初から支持
大臣になった時に、こんな記事を書いていた私ですので、いろいろな波風が立った中で当初の発言を通した小泉大臣を支持しないわけには行きません。
この記事でも書いたけど、彼一人の問題ではなく、まずは省内で、さらに霞ヶ関全体で、そして日本へと広めて欲しい。
小泉進次郎大臣の育休について、私が望むのは、超法規的な個人的な育休ではなく、きちんと省内で育休を取る仕組みを整え、自分だけではなく、環境省の中でも育休取得者が増えるような試みに広げて欲しいということだ。
どうやら、小泉大臣もそのつもりらしい。
環境省内で1月15日に開かれた「選択と集中」実行本部の会合で明らかにした。秘書課の担当者によると、小泉氏は1月中に予定している第1子の誕生後の3カ月間で、約2週間分を育児に充てる。閣僚である小泉氏が率先して育児のために休むことで、職員が育児休業を取りやすくするのが狙いだと、本人の口から明かされたという。
各社の記事に見る小泉育休
ハフポストの記事では、小泉大臣のブログも取り上げていました。
昨日、編集教室のゲスト講師だったハフポストの竹下編集長も、いち早くTwitterにコメントを挙げてました。
小泉環境大臣が育休を取ることの是非については、冒頭に書いた通りなのだけど、これだけ騒がれると、色々と見えてきて面白い。
例えば、竹下さんのTwitterでは、育休取得を支持したうえで、なぜ竹下さんがそう思うのかをスレッドの形で書き進めていて、その内容がアンチをも黙らせるものになっていることがわかります。それにしても、リツイートの数もいいねの数もすごいツイートだなあ。
報道としては、朝日新聞でも小泉大臣のブログでの言葉も拾ってます。
一方で、こんなフォロー記事もあります。
明らかに、揶揄してますよね。奥底にある歪んだ意識が浮かび上がるような感じが見出しに出てます。
また、このところの不倫騒動などもあって、否定的な記事も多いです。
環境省の男性職員が育休をとりやすくするために自ら範を示すと語ったが、インターネット上では早くも「#小泉進次郎 育休」のスレッドが立ち、激しい批判が起こっている。
さらに、この記者が書くには、否定しかないらしい。
ネット上にあふれる多くの声をざっと読んだ感じでは、小泉氏の「育休取得」に全面的に賛成する意見は、男性の育休問題専門家と思われる次の一つだけだ。
竹下さんのツイートとか読んでないんでしょうかね?
小泉発言という諸刃の刃
こうした記事を読んでいくと、小泉進次郎という政治家は、その発言そのものよりも、その言葉に反応する人たちの中にある、何かを炙り出すのが上手いような気がしてきます。
セクシーでも、ステーキでも、ポエムでも、なんでもいいんですが、小泉さんの言葉の中には大した意味はないのだけど、それをどう捉えるか、記者側が問われると言うか、世間が問われるというか、そういう広がりを見せてしまう。小泉さんが意図しているとは思わないんですが。
例えば、こういう言葉を発してしまう人なんですよ。
「私が一番願うのは政治家の育休自体がニュースにならない、そういう世の中になること。(そうした世の中を)みなさんとともに作りたい」
この発言を拾っている記事はあまり多くなかったように思います。
それは、これを拾うとネガティブな記事が書きにくいからでしょう。
この発言自体は、小泉大臣一流のポエム発言かもしれません。何言ってんだ、となるかもしれない。でも、こういう発言をどう捉えるかで、その人が育休についてどう思っているかが炙り出されてしまうわけです。
育休取得を期待する若者たち
小泉大臣の取得発言の前には、こんな記事もありました。
仮に今回、小泉大臣が育休取得を断念するとしたら、まさに多くの父親が思っている「本当は取りたいのに、雰囲気的に取れない」日本の現状を反映することになり、失望感が日本を覆うことになるだろう。
この記事を書いた方の期待通り、小泉大臣が現職大臣として初の(取得まで大臣であればですが)育休取得をして、その周囲に影響を及ぼしていただけるといいなと思います。
育児休業は、制度ですし、権利ですから一般企業でもっと取得されていかないといけないものです。大臣は、雇用されているわけじゃないですからね。
小泉育休が炙り出すもの
小泉大臣もその点を書いてます。
前提として、国会議員や国務大臣には勤務時間も残業という概念も休暇制度もありません。育休とよく略しますが、「育児休業」は雇用されている人のために休業中も給付金等が出る(一定の要件を満たした場合)法律上の制度です。議員など、法律上での制度がなく、個人や企業・団体で決められるのは育児休暇といって期間や取り方に決まりはありません。公務を最優先にしながらも、柔軟に通算2週間を、確保していきたいと考えています。
テレワークでもなんでもあるわけですし、国会がなければ大臣は庁舎にいなければいけないものでもないでしょう。もともと、そんなに大臣が仕事をしているのかどうかも普段は気にしてないのに、こんな時だけ、大臣の仕事をとか言い出す人たちもどうかと思います。
小泉大臣は自らのブログの最後に、こんなことも付け加えています。
これは、今日発足した環境省の「『選択と集中』実行本部」における三本柱の一つである「働き方改革」実現チームの内容にも通じます。育児だけでなく、介護や、今は二人に一人が罹ると言われるがんの治療と仕事の両立など、それぞれの事情に応じた持続可能な働き方を実現する必要があります。政府も掲げ、日本全体が「働き方改革」を推し進める中で、環境省は自ら率先して、実践していく存在でありたいと思います。
非常にうまく、自分の仕事のアピールにつなげているし、省内の空気を自分に向けるのに使っていますよね。
発言の使い方が上手なのは以前からですが、反応するマスコミやブログ主、周りの議員などが自分の考えを持っているかどうか、その言葉によって炙り出されることが、小泉さんが大臣になって、ますます増えてきているように思います。
例えば、こういう人ですね。
議員というのはそもそも個人事業主のようなもので、自分の裁量でスケジュールをコントロールできるので「育休」という概念が馴染まないという批判はあるのですが、公務を減らしても給料(歳費)が変わらないのでは、なかなか国民の理解は得られません。
育休などで公務欠席中は歳費が減額される、または自主返納できることを法的に認めるなど、制度改善の議論を早急にスタートするべきです。
これも、育休で公務が減るから歳費を減らすならば、国会に出てこない疑惑議員とかはどうなるのか、というような視点も欲しいですね。
結局、どの記事もポジショントークばっかりだなあと思いながら、だからこそ、小泉大臣の発言は気が抜けないものがあるなあと感じた次第です。