プロの編集者にとっていちばん大事なのは誰か。それは、、、という話。
昨日は、ディスカバー21編集教室のゲスト講義会でした。
講師は、青木由美子さん。
出版社勤務を経て独立。和書、翻訳書の編集、ライティングにたずさわる。これまでかかわった本に、南章行『好きなことしか本気になれない 人生100年時代のサバイバル仕事術』、松浦弥太郎『今日もていねいに』、水野学『センスは知識から始まる』、西野精治『スタンフォード式最高の睡眠』、小松美羽『世界の中で自分の役割を見つけること』、ニール・ドナルド・ウォルシュ『神との対話』、ウォルター・アイザックソン『イノベーターズ』などがある。
まず驚いたのは、担当(執筆も編集も含む)してきた書籍が凄すぎること。
今は、これがオススメだそうです。
講演内容は、もうノウハウだらけなので詳しくは書けませんが、編集者としてライターとして、仕事にどう臨むべきか、著者にどう対応すべきか、どういう準備をして、どういう反省をすべきか、などなど。
中でも、画期的なメソッドや新発見は「もうない」と断じた上での、おにぎり最強理論は、秀逸でした。その例えも、中身も、なるほどと唸るばかり。詳しいことは書けませんが。
あと大きく頷いたのは、最初に確認すべきこと。
お金(契約条件、ギャラ)と期限(スケジュール、締め切り)を明確にする
これは大事です。
後でこじれるのは、やはりこの二つですし、これが明確じゃないのは「仕事ではない」と言っていいと思います。でも、これが明確じゃないままに始まる発注のなんと多いことか。出版とか広告とかの世界の悪い慣習ですね。
今回、講義の前に宿題がありました。
事前に、著者紹介を書いて送ること。
一人は、干場弓子さん、もう一人は自分自身。
自分?
これが難題でした。
自分が著者になる予定などない人生のつもりですので、自分の著者紹介など考えたこともないわけです。
しかし、他の誰でもない自分をどう「売り込む」のか、「紹介する」のか、というのは、これからの人生でも訪れる機会であることは間違い無いです。
結果としては、全然「自分が読みたいもの」にはなりませんでした。
自分が読みたい著者紹介ってなんだ、ということになりますが、「読みたいことを書けばいい」わけですから、著者紹介もそういうことが書けないかなと。
講義では、参加者の宿題から気になるものを上げて、短い講評もありました。そこで著者紹介に必要な要素として、青木さんがあげたのは次の5つ。
・誰かわかる
・数字を入れる
・売りになることを入れる
・信頼感が生まれるものにする
・違和感も大事
この5つをバランスよく入れることで、読者に読んでみたいなと思わせることが大事なんですね。
よく知られている方が著者ならば、意外なことを入れるとか、知られていないけど専門家ならば、数字とか肩書きとか「信頼感」につながるものが必要ですね。そういう読者に向けたバランス。
今回、青木さんの講義の中でいちばん多く使われた言葉は、この「読者にとって」だったのではないでしょうか。
著者にとってでも、編集者にとってでも、ライターにとってでもなく、全ては「読者のため」に正しい方向に向いているかどうかが、本を買ってもらうために必要なことだ、そう、青木さんは論じておられました。
プロとしてどういう仕事をするのか。それは、読者にとって誠実かどうか。
プロフェッショナル青木由美子の流儀は、そこにあるとみました。
青木さん、干場社長、ありがとうございました。