漫才論| ¹⁴⁷うまい漫才師を"絶滅危惧種"にしたくないから・・・
私が好きなのは,「とにかくおもしろい漫才」ではなく,「うまくておもしろい漫才」です。筆頭は,夢路いとし・喜味こいし,そして,横山やすし・西川きよし,おぼん・こぼん,オール阪神・巨人,タカアンドトシ,品川庄司,キングコング,タイムマシーン3号,ギャロップ,和牛など,「掛け合いをみているだけで惚れ惚《ぼ》れとしてしまう」ような漫才師が好きです。しかし,残念なことに,近年このような「うまい漫才師」は減少傾向にあります(その理由についてはこの記事をご覧ください)
M-1グランプリの功罪
"漫才"の最高峰の大会であるはずのM-1グランプリ決勝では,2年連続で「ここまで『うまい漫才師』はいない」という状態が続いており,個人的にはかなり不満です
もちろん,「とにかくおもしろい漫才」という審査基準でM-1を開催し,大会の規模も年々大きくなり,それによって,アマチュアを含め多くの人が気軽に漫才をはじめる雰囲気や環境が作られ,様々な形の漫才が生まれてきたのはとてもいいことだと思います
しかしその一方で,"とにかくおもしろい"こそが漫才の良し悪しを測る唯一の尺度になりつつあり,「うまさ」は完全に二の次になっています。「うまさ」というのは簡単に手に入れられるものではありませんから,漫才の最高峰の大会でそこまで評価されないのであれば,当然,「うまさ」を追求する漫才師は減ってしまいます
うまい漫才師がコンスタントに
「強いネタ」を作る方法
もちろん,「うまい漫才師」は今でもそれなりにいます。まだ,"絶滅危惧種"というわけではないと思います。しかしこのまま「うまい漫才師がM-1の決勝に行けない」という状況が続くなら,「うまい漫才師」はここからさらに減ってしまいます。「この流れをなんとか食い止めたい」という思いから,「『普段の会話を漫才にする方法』を教えます」というプログラムをはじめました
「うまい漫才師」がこれ以上少なくなってしまうのは絶対に嫌です。そのためには,「うまい漫才師」がコンスタントに強いネタを作れる方法を考え出すしかありません。それが,「普段の会話を漫才にする」という方法です
M-1で決勝に行くためには,「強いネタ」が最低でも2本は必要です。優勝を目指すなら,最低でも3本は必要です。「うまさ」を最大限活かしつつ,それでいてほかのコンビとは違う「独特のネタ」を2,3本作るのに,「普段の会話を漫才にする」という方法は最適だと思います
「うまい漫才師を"絶滅危惧種"にしたくない」という同じ思いの方がいらっしゃいましたら,ぜひご連絡ください
このテーマに関する質問・意見・反論などは
「みんなで作る漫才の教科書」にお寄せください
「みんなで作る漫才の教科書」とは,テーマ別に分類した「漫才論」にみなさんから「質問」「意見」「反論」などをいただいて,それに答えるという形式で教科書を作っていこうというプロジェクトです
THE MANZAI magazine
❶「自分たちにしかできない漫才スタイル」を確立する方法 ❷しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる ❸「漫才台本の書き方」と「オチのつけ方」 ➍ボケやツッコミってどのようにして思いつくものなの? ❺「言い訳-関東芸人はなぜM-1で勝てないのか-」は"現代漫才論"ではない-ナイツ塙さんが何を「言い訳」しているのかが分かれば,関東芸人がしゃべくり漫才でM-1王者になる道が見えてくる- ❻漫才詩集「38」
フィクション漫才『煮豆🌱』-いとこい師匠のテンポで-
作: 藤澤俊輔 出演: おせつときょうた