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クラウド働き方改革のススメその2 〜事務ゼロプロジェクトの実践〜

先に書いたクラウド働き方改革のススメで、製造業のバックオフィスを如何にクラウドサービスなどを活用して、コストを抑えて省人化する方法について解説しました。

今回はその続きで、さらにメールPCと固定電話もなくして事務職自体をゼロにする「事務ゼロプロジェクト」の取り組みについて書いてみたいと思います。

複雑なWEB関連の契約の一本化

今回目指したのは、いわゆる一般的な事務職が行う業務のゼロ化です。そのため一番に無くしたいと考えたのが通信関係の管理業務でした。

それまで弊社ではushimado.comというオリジナルドメイン契約+レンタルサーバーとしてtikitikiと、その他にfujiiprint.comというドメインとそのドメイン用のレンタルサーバーをさくらインターネットと契約していました。

これに加えて固定IPをGMOで取得し、固定電話とネット回線はNTT、PHSはYahoo!モバイルというように複雑なWEB関連の契約となっていて、その管理の詳細を誰も把握できなくなっていました。

転機となったのは、Googleドメインでオリジナルドメインを管理し、Gsuiteに契約すれば、Gmailでushimado.comなどのアドレスのメールが送受信できるという情報でした。

また同時にクラウドPBXのMOTというサービスのオプションで、割安な固定IPアドレスが取得でき、さらに電話とネット回線もまとめて契約できることが分かりました。

これによって

①電話とネットはMOTへ

②メールはGoogleへ

という方針が決まり、とてもシンプルな契約形態に移行することができました。

固定電話をなくす(クラウドPBX)

MOTという名前のクラウドPBX、つまり固定電話のビジネスフォンシステムをネット回線を使って無線化し、携帯で固定電話を送受信できるサービスは、たった1日で導入されました。

NTTが来てルーターを外し、MOTのオフィス24が代替機器を取り付けたら、用意したスマホにアプリをインストールして工事終了。あとは外した電話をNTTに送り返してもらうだけです。

固定電話の代わりになるスマホはiPhone5sを中古で購入し、固定電話の登録番号は全て移植。営業は個人のiPhoneにアプリを入れて外出先でも受けた電話を内線転送で営業に繋げられたり、また外出先で営業が直接代表電話に掛かってきた電話に出られるようになりました。

電話がなくなったことで、余分なデスクスペースが不要になり、机も減らせて応接スペースを増設することができたり、営業や技術職が分散して受電することで事務職が受電する回数も大幅に減らすことができました。

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GoogleドメインとGsuite

GoogleドメインとGsuiteに契約すると、会社のメールをiPadでGmail経由で送受信できる。これはやってみると後戻り出来ないくらい便利です。

各部署一枚ずつ基幹業務用のiPadを支給しているため、誰にメールが来ても通知ですぐ分かるようになり、メール確認や転送も不要になりました。

外出先でも会社のメールを直接送受信できるので、iPhoneで販売管理システムにアクセスして作った見積を直接PDFに書き出してメールで送ることも簡単に出来ます。

何より一度設定してしまえば、2段階認証付きのセキュリティで全てスマホで管理することが出来るため、私一人で十分管理可能になりました。

一つネックになったのは契約の順番で、必ずGoogleドメインに既存の契約先から移転手続きを完了させてからGsuiteの契約をしないと、上手く連動出来ずに非常に苦労します。ご注意ください。

WEBサイトはSTUDIOへ(制作中)

最後に残ったのがWEBサイトです。Gsuiteにはレンタルサーバー機能がない(あまり使えない?)ので、レンタルサーバーなしで運用でき、かつある程度デザイン性もあるサイトをコーディングなして自社制作出来るサービスを探しました。

そしてWIXなども含めて色々検討し、最終的にSTUDIOというサービスを採用することにしました。STUDIOはコーティングなしでレスポンシブにも対応し、オリジナルドメインにも対応しているので、Gsuiteと組み合わせると丁度過不足のないサービス範囲となります。またGoogle cromeをインストールすれば他には何も不要で、日本人が開発したサービスというのも惹かれた理由の一つです。

完成したコーポレートサイトはこちら。

細かいところ以外は全て私一人で制作しました。コツを掴めば思った以上に簡単だったので、今後は誰でも更新できる体制にしていきます。

校正のクラウド化

弊社の事務職は、編集した印刷データのチェックをする校正の仕事も兼務しています。ただ現在は一名だけで回しているため、お休みの時はデザインの社員が代わりに校正をするという体制となり、校正の外部化は2年前から検討を行ってきました。

ブレイクスルーがあったのは、acrobat pro DCのクラウド版の機能に、「差分表示」があると知ったことがきっかけでした。差分表示はAとBというPDFデータの画像を比較して、その差がある箇所を自動で色分けして比較表示してくれる機能です。通常この機能は最低でも月1万円以上のサービスにしか実装されていないのですが、なんとacrobat単体なら月1700円でこの差分表示機能が使えます!

当初はiPad proのペン機能でPC画面と見比べたりする方法を検討していました。しかし、差分表示レポートが簡単に作成できるようになったことと、前の記事で紹介したFileBlogとGoogle Driveをミラー連携させて、安全に外部とデータのやり取りが出来るようになったことから、下記のようなフローで業務を行うことにしました。

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現在は障害者就労支援事業所の方と協力して、この新しいクラウド校正フローの実証テストを行っています。

事務ゼロプロジェクトの着地点

先の記事と合わせて、販売+経理+電話+メール+WEB関連+校正までを分散化と外部化したことで、いわゆる一般事務の仕事はほとんどなくなりました。

弊社は現金集金があるため完全にゼロには出来ませんでしたが、これもキャッシュレスが進めばいずれなくなると思います。

ここまで事務ゼロプロジェクトをほぼ完遂し、これからは付加価値の高いプロダクトの制作が課題になってきます。そこで先日記事を書いて意外に反応があった「みんなゲーム化プロジェクト」につづいて、今度はプロの印刷設備の無料利用を対価として、様々な人たちにアイデアやリソースを提供してもらい、それを仮想的に社員とみなす「クラウド社員プロジェクト」を立ち上げる予定です。

このプロジェクトは未だこれからなので、実績が出てきましたらレポートしてみたいと思います。




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