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なぜ事務印刷屋が事務ゼロを目指すのか?〜クラウド働き方改革のススメその3〜

なぜ事務印刷屋が事務ゼロを目指すのか?

これについて、あまりお話しして来ませんでしたので少し書いてみたいと思います。

事務印刷屋の日常

まず私たちは企業・団体向けの封筒や事務伝票・名刺・冊子の印刷を生業に70年営業している印刷会社です。そのため私が入社した当初は、印刷物の製造(印刷業は企業分類上も製造業です!)のために必ず手書きで伝票を切っていました。

また過去の印刷見本の管理も、印刷した月ごとにバサッとスチール棚に収められていて、起票時に参考にしようにも月の棚を上から下まで探してようやく見つけられるという状態。しかも一度似た印刷物を刷っていると捨てられていることもあり、お客様に見本をいただきに行くことも多々ありました。

社内がそんな状態で業界はというと、10年以上システム化の波を受けて需要自体が毎年ジワジワ減り続け、同業者と会っても景気が悪い以外の言葉を聞いたことがありませんでした。特に事務印刷に先がないことは私が幼い頃から分かっていたことで、今後何をしていくかは8年前に家業に戻ってきた時から大きな課題でした。

転機になったシステムリースアップ

転機になったのは、販売・会計システムのリースアップによる大きな投資が必要になった時です。正直なところ、システム更新はやったところで付加価値を生むわけではありません。しかも今の社内の仕組みをそのままに同じシステムを採用する気には到底なれませんでした。

また私自身が通勤に1時間かかる場所に住んでいて、朝1時間かけて出勤してから荷物を積み、また1時間かけて住まいの近くに戻って配達と営業をして、さらに1時間かけて会社に戻って事務処理をしてから、1時間かけて住まいに戻るという生活で、これをなんとかしたいとという願いもありました。

そこでその2つの問題を一気に解決し、今後の事業で何が残って何がなくなるのかを確かめてみるために、事務印刷のなくなった将来を自ら率先して突き進んでみることにしました。こうしてはじまったのが「事務ゼロプロジェクト」です。

そもそもシステム更新の費用が多額になる理由の一つがwindows7のサポート切れによるサーバーとクライアントPCの一斉更新でした。そこで初めにここが本丸と定めて様々な手を打っていきました。(詳細はその1をご覧ください)

事務ゼロで残ったもの、得たものは

結局7年かけて事務職の仕事をほぼゼロにしてみて残ったものは、

①ミシン入りプリンター対応伝票

②封筒(請求書、納品書、契約書は親書扱いのため)

③名刺(パンフレット替わりとしての)

でした。事業としては、複写伝票や報告書冊子などはもちろん未だに主力製品です。

しかし日本の商習慣が変わらない限り、あと何年かでこれらが最後の事務印刷物になっていきそうです。

そして事務ゼロで私たちが得たものは「時間」でした。事務処理の時間が1/3以下になり、外出先でも自由に起票や出力が出来るようになったおかげで、私自身の通勤時間は半分になりました。そして何より、自宅がリモートオフィスになったことで家に居られる時間が3割増えました。

また上記を踏まえた選択的受注の効果もあって、会社のみんなの残業も繁忙期にゼロになり、夏の閑散期には時間の余裕が生まれました。

そしてゴールは

そこでこの時間を使って、みんなが幸せに価値を生み出せる集団を目指そうとはじめたのが「みんなゲーム化プロジェクト」です。(詳しくは別記事をご覧ください)

ここまでやってきて、最初の問いの「なぜ事務印刷屋が事務ゼロを目指すのか?」について明確な答えが出たとは思っていません。

しかしいつの間にか、働き方改革やクラウドワーク、モバイルワーク、テレワークなど流行りの施策はほぼ達成していました。そして達成後に思うのは、当たり前ですがこれは一つの手段だということです。

会社として最終ゴールは、人のためになることで会社のみんながやりがいを持って働き、持続的な利益を得ることです。そのゴールに向かって「事務ゼロ」から「みんなゲーム化プロジェクト」へ一本のパスを出しました。

おそらく次のパスでゴールへの道筋が見えてくると思っています。それまでもっと事務のミライを先取りしながら、前に前にボールを運んでいきたいです。


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藤井 聡📖発想力で紙モノづくり
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