一句《情熱の指揮にプラハの春想う》東京芸術劇場、日本フィルのコンサート
滑らない話を書こうとしています。
コンサートについて、
2023年2月6日月曜日19時、
池袋の東京芸術劇場コンサートホールで「2023都民芸術フェスティバル」として開催されたコンサート。日本フィルの演奏でドヴォルザーク交響曲第8番を聴いてきました。
私はつい先日(1月24日火曜日)杉並公会堂で日本フィル演奏の「ドボ8」を聴いたばかりで「杉並」と「芸劇」の聴き比べとなり。
「杉並」(定員1,190)と「芸劇」(定員1,999)の広さ・ホールの響き・観客数の違い・指揮者の違いを楽しみました。
日本フィルの拠点「杉並」の演奏は迫力とスピード感、「芸劇」の演奏は丁寧さ、落ち着きを感じました。
アンコールは客席のスマホが鳴りだすハプニングの後、しっとりとドヴォルザークのスラブ舞曲集第2巻第2番。
ドヴォルザークの故郷といえばチェコ。
チェコで有名な女性といえばナブラチロワ、ウィンブルドンで史上最多の9回優勝したテニスプレーヤーです。
もうひとり、有名な女性にミレナ・イェセンスカーがいます。
日本ではあまり聞かない名前ですが、チェコでは知名度が高いらしく、私は「カフカの恋人 ミレナ」という本を読んで知りました。
ミレナはチェコの裕福な家庭に育ち、親の意向で女性初の中高等教育(ギムナジウム)を受け、医学を学び、専攻を音楽へ変更、文士に影響を受け、親の反対を押し切り結婚・出産、親元を離れウィーンへ転居、生活のためジャーナリストとなり、ドイツ語のカフカ作品に魅了され、チェコ語へ翻訳し、カフカの恋人として幸福なひととき(4日間)を過ごした、波乱万丈な人生を送った人物です。最期は反ナチスとして強制収容所で病死。
どんな記事を書いていたかというと、
ヒトラーがプラハへ侵攻した頃「ドイツの軍歌はチェコの軍歌よりもはるかに素晴らしい」という内容の記事を書きます。どこが素晴らしいか「兵士は大砲の上に住み・・・」と歌詞まで記載し、称賛します。ただし、その歌詞は実際にドイツ軍が歌っていたのではなく、(ドイツ軍が嫌う)共産主義者の戯曲「三文オペラ」から引用するというイタズラ。このイタズラは検閲に引っかからずに出版されます。
当然ながら、後に大問題となります。
ドイツの検閲官に呼び出されるミレナですが、ミレナは既にこの検閲官と毎週かかさず長時間の知的な会話を楽しむ仲となっていて、カッとなった検閲官にエンピツを投げつけられる程度の罰で収まってしまうのです。
ミレナ、恐るべし。
そのミレナが恋したフランツ・カフカもドイツ語を使うチェコの人です。
カフカの代表作「変身」という小説は、ダメになってしまった自分を目が覚めたら「虫」になった自分に置き換え、その不条理に対して自分の家族や会社との関わりがどうなって行くかについて語られる作品。
もし、ミレナやカフカがドヴォルザークを聴いたというエピソードがあれば(私としては都合が)良いのですが、残念ながら見当たりませんでした。
滑ったかな。
1908年、ドイツでスキー用のリフトが登場し。
ミレナ(1896-1944)は父親のヤン(1870-1947)からスキーの手ほどきを受け、病気療養中のカフカ(1883-1924)もスキーを滑ったそうです。
読んでいただき、ありがとうございます。
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