頭痛キャラメル 第二十六話【ダリアの花】
母方のおばあちゃんは、その日も畑仕事をせっせとこなしていた。
僕には、おばあちゃんがどれだけの用事をやろうとしているのかがわからないほど、たくさんの用事を、次から次へとこなしていた。
お部屋の掃除
にわとりのお世話
犬のお世話 お散歩
畑の水やり
ミカン畑の見回り
地区の用事
いろいろあったが、おばあちゃんが
唯一、ゆったりとしながら、そして、
楽しんでいる用事があった。
その日も、瀬戸内海の気候によくある、朝から暑く、日差しの強い日の午前中のこと、
僕がおばあちゃん家の南側の大きな縁側に座り込み、そして、たまに、その板間にゴロゴロ寝転んだり、転がったりとしていると、おばあちゃんが畑の西側に向かい、なにやら眺めたり、触ったりしている
「おばあちゃん、何、それ。」
すると、おばあちゃんは縁側の僕に近寄り、こう言った
「ダリア」「花、ダリア、花を世話しとるの」
「ダリア」僕は、直感で感じた。
おばあちゃんは、このダリアの花が好きなんだ。
あえて、その事をおばあちゃんに聞こうとは思わなかった。
おばあちゃんのこの花の事が好きな理由は、きっとおばあちゃんのいい、思い出なんだ
そっとして、おばあちゃんがそのダリアの花を眺めいい気分になっているのを邪魔したくなかった。
おばあちゃんの花を眺める
かわいい後ろ姿を眺めながら、暖かい陽気の縁側で、うたた寝をしながら、僕は、おばあちゃんの青春時代に、
タイムスリップした。
第27話に続く