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頭痛キャラメル 第三十二話 【母の子】

私は、母から生まれました。

母は、産婦人科医の先生から「この子を生んではいけません」と言われました。

母は、「生ませてください」と力強く言い切りました。

産婦人科医の先生は、「あなたの命が亡くなりますよ」と言いました。

母は、泣きながら、「それでも生ませてください」とお願いしました。

私を生むことを反対されながら、数件の病院をまわった。

それでも生むことを反対された。

母は、絶望の渦にのまれ、父は、ぶつける先の無い怒りをあらわにして、その場を去った。

母と父の脳裏に、あのときの事がぐるぐると渦を巻き起こしながら現れた。

一人目の子供を流産で、亡くしたことを

そして、やっと授かった命

母のお腹の中で、確実に生きている生命

母は、諦めきれなかった

母は、絶対に生むと、決めていた。

やっと授かった命を

必ず生んでみせる。

最後の望みを託す

母と父が訪ねた病院は、まもなく取り壊す予定の老朽化した病院だった

入院している妊婦さんは、一人もいない

新たな入院の受け入れも止めたタイミングだった

母は、「この子を生まさせてください」と言った。

先生は、しばらく間をおいて、

「任せなさい、絶対に生まさせてあげます」

母の気持ちは救われた

そして、母は、

壮絶な生みの苦しみを幸せいっぱいの涙で、

愛に変えて私を生んでくれた

そして、あれから約50年が経ち

母は、認知症になった

「お母さん、僕を生んでくれてありがとう」

僕はとっても幸せです

◼️【それでも生きていく】

私が生まれ、10年後それは起きた

運命のイタズラとしか思えない

壮絶な生

それは突然、私自身に起きた

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