頭痛キャラメル 第六話【実業家のおばあちゃん】
父方のおばあちゃんは、決して裕福な家庭の子供ではなかったらしい。おばあちゃんは、若くして、繁華街で小料理屋を営む経営者だった。おばあちゃんは、どんな料理も作ることができて、そのどれも、味は絶品だった。僕が食べさせてもらった料理は、営んでいた小料理屋のレシピだったのだろう。どれも、病み付きになる味で、今思うと、お酒のおつまみにぴったりの味付け料理が多かったかも知れない。小料理屋のカウンターに並んだ大皿の料理を一品ずつお皿に取り分けて、食べてくれるお客さんの顔を見ながら、幸せを感じてきたにちがいない。
それが、おばあちゃんにとっての幸せだったのだろう。決して、裕福な家の子供ではなかったおばあちゃんは、自ら活動し、自ら切り開いた人生を歩み、幸せを見つけていった。
第七話につづく