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赤いカバンのお兄ちゃん


アルツハイマーの母の息子 
「第一話 面会室の出会い」
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
僕の母ちゃんは、
もう、僕のことを覚えていない。

僕の母ちゃんは、
アルツハイマーと言って
記憶がなくなる病と闘っているのだ。

「こんにちは、元気してますか」
と、いつもの挨拶をした
でも、本当は
 「母ちゃん、久しぶり」
と言いたいのだ。

でも、母ちゃんは、
もう、僕のことを覚えていないんだ。

僕の母ちゃんは、
僕のことを「赤いカバンのお兄ちゃん」と
呼んでくれる。
 
それでも、僕は嬉しかった
母ちゃんと会話ができるからだ

その日も、いつものように母ちゃんが入院中の病院を訪ねた

いつもの面会のお部屋

10畳程のお部屋の真ん中には
テーブルと椅子が4脚あるだけのシンプルな面会室なのだ

「トントン」扉をノックした
面会室こ中から返事はなかった。

面会室に入ると、 
車イスに座った母が後ろ向きで
ひとり、じっとしていた。


さて、つづきはまた、のちほど。

ほっし校長


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