赤いカバンのお兄ちゃん
アルツハイマーの母の息子
「第一話 面会室の出会い」
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僕の母ちゃんは、
もう、僕のことを覚えていない。
僕の母ちゃんは、
アルツハイマーと言って
記憶がなくなる病と闘っているのだ。
「こんにちは、元気してますか」
と、いつもの挨拶をした
でも、本当は
「母ちゃん、久しぶり」
と言いたいのだ。
でも、母ちゃんは、
もう、僕のことを覚えていないんだ。
僕の母ちゃんは、
僕のことを「赤いカバンのお兄ちゃん」と
呼んでくれる。
それでも、僕は嬉しかった
母ちゃんと会話ができるからだ
その日も、いつものように母ちゃんが入院中の病院を訪ねた
いつもの面会のお部屋
10畳程のお部屋の真ん中には
テーブルと椅子が4脚あるだけのシンプルな面会室なのだ
「トントン」扉をノックした
面会室こ中から返事はなかった。
面会室に入ると、
車イスに座った母が後ろ向きで
ひとり、じっとしていた。
さて、つづきはまた、のちほど。
ほっし校長