東映夏の不思議映画祭り スプリンパン まえへすすもう!
実は、今回の不思議映画祭りを観ようと決めたきっかけは、この「スプリンパン」である。
というのも、以前、この東映夏の不思議映画祭りを観ようと思っている旨の記事を投稿したところ、本作の監督である井上ジェット氏がnoteをやっており、その記事に「スキ」していただいたのである。
監督本人が読んでいるということを知った以上、観たいなぁと言うだけで終わるのは失礼だと考え、観ることにしたのである。
こちらが、その井上ジェット氏のnoteである。
このnoteには、「スプリンパン」がどのようにして作られたのかについて書いた記事もあるので、鑑賞した方は是非読んでいただきたい。
さて、そんな経緯で鑑賞した本作は、スプリンパンという少女の不思議な冒険を、ミュージカルで描いた作品だ。
CGアニメではあるが、あえて舞台の上で演技をしているキャラクターたちを撮影しているように魅せるという方法を使っているため、予備知識なしだと、最初は度肝を抜かれるだろうが、僕はそういうのものを小さい頃から観ていたためか、それほど驚かなかった。
スプリンパンやスノミーメイは、キャラデザもダンスもとても可愛いし、山どんを最初に観たときはど肝を抜かれたが、そういうアニメキャラには慣れている上、アイリッシュ・ダンスというダンスがカッコ良く決まっていたので、かなり好きになれた。
あんまり活躍できでいなかった印象があるリンゴリーダーや、唯一2Dイラストで表現されていたためにインパクト絶大だったスプリンパンのおかあさんも、キャラとしてはそんなに悪くないので、キャラクターたちに感情移入することはできた。
この作品の肝である、モーションキャプチャーと、おそらくバーチャルカメラも一部使用したであろうダンスシーンは、パフォーマーの大半が劇団四季出身ということもあり、ぐうの音も出ないほど美しい。
ミュージカルをアニメで表現するという、井上ジェット監督の目論みは、“ほぼ”成功していると言っていいだろう。
そんなわけで、いくらあの「ロボコン」の前とはいえ、Twitterに書かれていたようなトンデモ映画感はあまり感じなかった。
とはいえ、制作の過程でどうしても5分に尺を縮めなければならなかったのか、ダンスシーンがスプリンパンの捲し立てるようなナレーションとともに、途中でフェードアウトしながらコロコロと変わっていくのは、正直、少し残念だった。
これがおそらく、「スプリンパン」がトンデモ映画だと思われている原因の一つだろうが、不本意ながらそうせざるおえなかった事情があったように感じた。
個人的には、なかなか独創的で素晴らしいキャラクターたちが踊る姿をもっと観ていたかったので、フランスのアニメーション見本市に出展されたという、約9分間のバージョンを観てみたいし、それこそ、15分か20分ぐらいの尺になれば、さらに幻想的で面白い作品になるだろう。
本作を観た、またはこれから観ようとこの記事を読んで、「『スプリンパン』って、面白そうじゃない?」「出てくるキャラクター、みんなかわいいよね!」あるいは「ロボコンの後にこれかよ!?」「こりゃ(良いい意味で)ヤベェ!」と思ったそこのあなた、今すぐ下記のアニブーンショップでスプリンパングッズを買って、井上ジェット監督とCGCGスタジオのスタッフを応援してほしい。
そうすれば、彼女たちが元気に舞い踊る姿を、またどこかで観ることができるかもしれない。
そのぐらい、キラリと輝くものを持った作品だったので、井上ジェット監督たちには、今後も是非、頑張っていただきたい。