Dr.ジョン・スコットの 『【カイロプラクティック】と【胃】 』Chiropractic and the Stomach
今回は、1915年発行の「Chiropractic and the Stomach」を 翻訳・編集させていただきましたので、ここで紹介させていただきます。
これは、約100年前、まだ カイロプラクティックを、誰もが知っている とはいえない時代(カイロプラクティックの創成期)に、ドクター・オブ・カイロプラクティック であった ジョン・スコット氏 により、一般向けに 発行されたものです。
本文献は、約100年前に 一般向けに 書かれたものですが、今読んでも 遜色なく、カイロプラクティックというものについて 再認識させてくれる とても優れた内容です。
また、カイロプラクターにとっては、本文献のように 一般向けで シンプルな内容は、今でも 患者教育の際に 使用できるのではないかと思い、今回紹介させていただくことになりました。
それでは、是非、その内容をご参照ください。
■ Chiropractic and the Stomach ■
【カイロプラクティック】と【胃】
翻訳・編集
全国カイロプラクティック研究協会
藤野 斉
(原本 / 表紙)
(原本 / 本文〔一部〕)
【胃の構造】
胃は、袋状の消化器官であり、食道と小腸の間に位置します。
その働きは非常に重要で、構造的にはとても緻密な部分でもあります。
食物が、胃に留まっている時間は、胃液がそれぞれの食べ物に作用する時間に応じて変化します。
そして、その過程で、食物は、物理的に全く変わったものに変化していきます。
また、胃には、多くのヒダと窪みが存在し、その窪みは胃腺の出口にもなっています。
これらの腺は、胃酸(塩酸)、ペプシン、レンニン、および粘液(ムチン)を分泌し、これらの分泌液をまとめて、胃液と呼びます。
この胃液がどのような成分構成になっているかはとても重要で、それが適切でなければ、正常に食物を消化することはできません。
また、これらの分泌液は、常に分泌されているわけではなく、胃への食物の入る工程により変化します。
胃へ食物が入ると、腺は活発に活動し、その消化過程により、その過程に応じた成分を分泌するのです。
【神経の仕事】
胃へつながる血液と神経は、胃液の合成と分泌に重要な役割を果たします。
胃へ食物が入ってきたり、食物を見たり、食物をかんだり、においをかいだりすると、迷走神経が刺激され、胃液を分泌します。
そして、迷走神経が刺激されると、胃の血管も拡張します。この血液は、胃液の構成成分を作り出すのに必要なものです。
また、神経系は、胃液を制御する以外に、胃の蠕動運動や収縮、弛緩をも制御しています。
食物が胃に入ると、筋肉壁は、刺激された迷走神経の働きにより、収縮と弛緩の一連の動きを繰り返します。
この動きは、重要な次の2つの役目を果たします。
そのひとつは、食物を胃液と混ぜ合わせてお粥状にするという役目で、もうひとつは、そのお粥状になった食物を十二指腸に送り出すという役目です。
この重要な胃の蠕動運動の制御は、神経系のコントロールなしでは不可能です。
従って、私達は、胃への神経経路を阻害する障害を取り除き、正常な神経経路を確保しなければなりません。
その重要性は、十分お分かりいただけると思います。
【神経の圧迫とその結果】
胃が正常に機能する為には、神経の流れがとても重要な要素であり、この神経信号がどのように胃に到達するかを大まかに理解いただけたでしょうか?
胃は迷走神経と交感神経により、支配されています。
脳から脊柱部の迷走神経を通り、あらゆる内臓をコントロールしているのです。
もし、その脊柱部で神経の圧迫があったならば、それが原因となり、多くの胃の病気につながります。
胃液の分泌と胃の筋肉の制御信号は、脳から胃につながる神経により運ばれるのですが、これらの神経は、自由に動くことができる椎骨と椎骨の間から出ていますので、この椎骨のわずかな位置的な逸脱により、神経信号の送信が妨げられる可能性が出てきます。
この椎骨の位置的な逸脱は、わずかな原因により起こります。
例えば、病原菌によって引き起こされた筋肉の収縮により、その椎骨の突発的な逸脱を引き起こすかもしれません。
また、こけたり、打ったり、同じ姿勢が続いたりしても、これらの椎骨のひとつ、またはそれ以上の椎骨に逸脱をもたらす可能性がでてきます。
その結果、神経は、脊柱の椎骨と椎骨の間の出口のところで、部分的に圧迫され、胃への神経信号の伝達は妨げられてしまうのです。
このような神経の圧迫は、ほとんどの病気と関係しています。
例えば、胃酸の過剰分泌や分泌不足については、神経の圧迫により、胃底腺を支配する神経が亢進または抑制された結果です。
また、胃の潰瘍化やその他の多くの症状も同じく神経の圧迫が原因といえます。
そして、この神経の圧迫という問題に対して、解決することができるのは、カイロプラクターしかいません。
カイロプラクターは、脊柱における異常な箇所を見つけて、その神経を機械的圧迫から解放します。
そうなれば、ただちに神経系に支配された正常な胃の動きを取り戻すことができるでしょう。
効果的なことは措いておいても、少なくとも、カイロプラクターによる神経エネルギーの伝達障害を取り除く施術が、悪い薬などを飲ませるというわけでもないのに、胃に対して悪い作用をおよぼすとは考えられません。
また、病気を治す他の多くの方法が、カイロプラクターの施術により、その効果が半減することも考えられません。
そういう面から見てもカイロプラクターの施術は安全で効果的な方法であることは、間違いありません。
【急性胃炎】
急性胃炎の苦痛で痛ましい症状は、刺激物やアルコール、薬などが原因となります。
または、腸チフスや肺炎、インフルエンザ、腎炎、通風などが原因になることもあります。
通常それは、頭痛も伴い、精神的に鬱な状態も引き起すことがあります。
また、吐き気や嘔吐もあるかもしれません。
もちろん、私達は、急性胃炎のこれらの病因に対する西洋医学的な診断に同意しています。
しかし、私達は、これらの診断要素が、主原因となっているばかりではなく、副因となって、これらの症状に陥ってしまうことがあるのではないかと主張しているのです。
胃は、正常な神経制御が行われている状態において、酸性またはアルカリ性の食事をしても、それらを中和するシステムを通して正しく機能します。
従って、禁欲的な規則正しい食生活を送っている人が頻繁にわずかなことで胃の調子を悪くするならば、前述の要因以外のところで、その原因を探さなくてはなりません。
そうなると、これらの原因は、脊柱における一箇所以上の椎骨の正常な位置からの逸脱により、神経が圧迫され、胃が自分自身を傷つけることなく食物を消化することのできる胃の粘液の分泌が弱められていることが考えられます。
これらの椎骨は、病気のウィルスとは全く関係なく、一般的によくある些細な衝撃や事故によって、脊柱の筋肉のわずかな収縮で正常な位置から逸脱してしまうのです。
さて、カイロプラクターは、この急性胃炎に対して何ができるでしょうか?
まず、カイロプラクターは、その原因が、食物の内容や飲酒によるものなのか判断し、それが原因であるならば、一時的にやめるようにアドバイスするでしょう。
次に、胃の状態を中和する為にアルカリ性または酸性の薬の処方箋を出す代わりに、脊柱を調べ、脊柱の出口のところに神経の圧迫を見つけ出し、その障害を取り除くことでしょう。
このように、神経が問題を引き起こしている圧迫から解放されると、十分な量の活力のある神経信号が、苦痛を訴えている胃へ送られることになり、全ての異常は回復していきます。
【慢性胃炎】
慢性胃炎の原因は、アルコール、コーヒーなどの刺激物の取りすぎや、生活の不摂生などがあげられます。
そして、慢性胃炎は、癌や潰瘍など他の病気の原因につながる危険性がある為、注意をしなければなりません。
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