"何もない里"が面白い
その里は自然と共有する術、
人生を楽しむ術を
もつ多くの里人がいる
苦心惨憺の末に山ひとつを切り開き、遊歩道を造った。たったひとりで。
文字にすれば、わずか一行。 されど・・。
その遊歩道を、ある日登った人は片道およそ40分の道のりから
待てど暮らせど2時間を過ぎても戻らず、携帯電話を数度掛けても応答が無
く、しまいにとうとう腰を上げ、自ら捜索に向かった矢先に、
何やら、にこにことうれしそうな笑顔で山から下りてきた。
とうの昔に大人の世界に足を踏み入れているはずのその人は
手のひらいっぱいに山の中でみつけたと大きな葉や木の実を披露し、
予定時刻の帰還が遅れたその理由は、実に300枚近くに及ぶ、
山の写真を撮っていたせいだと、そう語った。
歩くことが嫌いで、山などもってのほかという人生を歩んできたらしい
その人は、その日を境に、どうやら山と自然の虜になってしまったとか。