中心を、外す
写真中央の下部に、この丸太の年輪の最も中心、いわゆる
"ど真ん中"に辺る箇所を、ご覧頂けますでしょうか。
多少なりとも無垢材の丸太を加工し、木工品を作ったことがある方でしたら
ご存知の事柄かと思われますが、丸太は割れます。ほぼ確実に割れます。
木種により若干の違いはあれど、ほぼ、割れます。
私の作るものは、そのほとんどが木の食器。
これが割れてしまっては、大問題。 特にマグカップやコップなどの
汁気のあるものを入れて使うものに割れが生じてしまえば、
それはもちろん、欠陥品。
この"割れ"を生じさせない工夫、コツのひとつが年輪の中心を外す。
つまり、年輪の中心の部分を半分に分断してしまう必要があります。
このため写真のように、丸太を丁度半分ずつの大きさに切るのではなく、
年輪の中心が何処にあるのか、それを見極め、その部分を確実に
分断しているのです。 分断し、ふたつになった丸太、その部材は、
当然、限られた大きさになります。
片方からは、マグカップを作る分の大きさの部材が取れても、
片方からは、それが不可能ということも少なくありません。
マグカップが作れないから、"それはポイ! "などということは、
もちろん、決して致しません。
"全ての素材を使い切る"という課題を、自ら掲げておりますので。
自然のものを素材にする、"全てが異なる形の丸太"を相手に、
作業をする、ということは、常に"臨機応変"の心掛けが
不可欠と、そういうことになってくるのですね。