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2019~2020に読んだ本

本を読めない2年だった。確率、物理と手に負えないテーマをいじってしまったせいか。読みかけで放置する本もかなり多かった。

逆に言うと、これから読む本を見つけられた時期だったのかも。

ベスト3は『物理法則はいかにして発見されたか』、『風呂上がりの夜空に』、『現代哲学のキーコンセプト 確率』です。

なんで読んだんだろう…。意外と?知らなかったので面白かった。信号難しいね!

統計学史。自分は何事も歴史から入る癖がある。概念やスタイルの形成を追えるので、理解しやすい。頻度主義とベイズ主義のバトルがこんなに熾烈なものだったとは思いもよらず。とても面白い本だった。ここからつぼから玉を取り出す日々が始まるのだった…。

統計の前に確率がよくわからないので買って読んだ。非常に丁寧に議論が進み、大変読みやすい。しかし確率についての信念や言明がいったい何者なのかは正直まだ整理できてない。正確に言うと、整理された結果謎が深まったというか。

面白かったのはここ。

よし歴史だ!と思い買ってみた。この本は非常に難しい。タイトルどおり、1660年に突然発生した確率という概念の前後で「確率」っぽいやつがどう人間に認識されていたか、をめぐる本。つまり、いま我々が理解している「確率」とは違う確率っぽいやつ(「しるし」とか…)を歴史を紐解いて理解しないといけない。無理やろ!でもめっちゃ面白かった。まだ最後まで読んでないけど。

まだつぼから玉を取り出しているんですよ…。と同僚に話したら紹介してくれた本。めちゃくちゃおもしろい。確率や統計の通り一遍の説明ではなく「予測」に対しての深い洞察が含まれた本。


p. 5

あまりにも多くの情報を手にすると、私たちは本能的に気に入ったものを選び、それ意外は無視する未知を選ぶ。そして同じ選択をした人たちを味方とし、それ以外を的とするのである。

p. 466 

 問題が生じるのは、正解に対する理解が完璧ではないために、全く予測ができないというときだ。未知の未知とは、考えたこともない偶発的な出来事である。私達はこの未知の未知に対しては、ある種の心の壁を作ってしまうし、想像できるほどの経験もない。そもそも存在しないかのように感じてしまうのだ


同じ作曲家の作品に対しての解釈が違って面白い。マーラーは正直楽しめないんだけど、この本は楽しめた。

全く覚えていないんだけど、普通に面白かった記憶がある。

台湾に行ったので帰って買って読んだ。記憶がない。どちらかといえば面白かった記憶がある。


めちゃくちゃ話題になった「健康なアンナ・カヴァン」ことルシア・ベルリン。謎の力強さに持っていかれる。好き。

ちょっと理解できませんでした…。

『キッチン・コンフィデンシャル』のアンソニー・ボーディンの冒険食べ歩き本。食べ物好きなら読む価値ある。ベトナムに行きたくなる。

主にビジネス系の人向けスクラムまとめ本決定版。別に面白くはないけど原理から理解するには具体的なハウトゥが記載されている本よりこれがよさそう。

ジャマイカの歴史からレゲエという音楽の成り立ちを知れる本。ラスタカラー、マリファナ、タオルみたいなイメージしかないかもしれないけどレゲエのバックグラウンドは深く悲しい。いや「深く悲しい」ってそれっぽく言い切るにはあまりに人間的な何かがある。と思わせる本。心を打つ一冊なので、音楽好きな人は是非。

天皇が即位後に一回だけやる儀式。謎儀式すぎて感動した。天皇制、明確に宗教なんだなと思った。国費でこんな謎リチュアルやってる日本は政教分離しているとは言えないのでは?と思ったけど(実際してないよね)、面白いからそのままにしてほしいと思った。

突然量子力学に興味を持って読んでみた。スピリチュアルや陰謀論にハマったわけでも、量子コンピューターに興味を持ったわけでもない。なんで興味持ったんだっけな…。この本は大変わかりやすかったー量子力学が大変わかりにくく難しく数学的素養がないと正確に理解できないいうことが。多世界解釈に寄った本。

量子力学など理論物理学を使った宇宙論の一般向け解説本。壮大すぎる。面白かった。細部を理解しようとすると秒で詰むので「フ〜ン」と流しながら読むのが正しい楽しみ方だと思う。

ということで友人に教えてもらった本がこれ。ノーベル賞受賞の物理学者、みなさんよくご存知のファインマンが一般向け公演で「物理法則の特徴」を語った本。ちなみに原著タイトルは"The character of physical law"。この本はめちゃくちゃ面白い。重力、保存則、数学との対比、対称性、過去と未来、量子力学といったトピックが説明される本なんだけど、そもそも物理学の道具箱というか、基本的ファイトスタイルが物理法則の特徴、物理学の特徴、数学と物理学の違い、バビロニア式の数学とギリシャ式の数学、ミクロとマクロ、トップダウンとボトムアップ…なんかを通じてわかるようになっている。こんな学問だったのか。この本を中学生の頃の自分に渡したい人生だった。しかし、法則とは、理解とは、科学とは、というところへの哲学的な含蓄の深みは大人になってからしかわからなかった気がする。今年のベスト。

日本のトップデザイナーの随筆。軽妙洒脱。生き方・働き方の本としてよかった。パソコンがない時代のクリエイティブな仕事の仕方なんてみんな知らないでしょ?

政治哲学をかじった人なら誰もが知っているバーリンの評伝。感動した。が、あまり覚えてない…。

2020年3月、新型コロナウィルスの脅威が日本でも現実的な問題として認識されつつあったその時、僕は梵鐘にハマっていた。たしか @yukinoise がシンギングボウルに言及してて、アレこれって鐘じゃね?と思ってYouTubeを探ったらそれぞれで響きや伸びが違うのに感動したのだった。と思ってこの本を買った。梵鐘にちょっと詳しくなってしまった…。

Goの並行処理はHaskellのそれに似ている、という話は聞いていて、ずっと興味を持っていたのだった。そこでこの本が出たので買った。並行処理一般についての解説およびそれの実用例がGoの極めてエレガントなAPIで表現されている。プログラミング一般に興味があり、CSPや並行処理にさほど詳しくない人は絶対楽しめると思う。おすすめ。

たしかバーリンの評伝に出てきて気になっていたところで、ニーアル・ファーガソンが評伝を出したということで飛びついた。飛びついたら上下巻1300ページ近く、しかもそれが原著の「前編」ということでいきなり心が折れかかったけど、読み始めたら面白かった。世界が2つに分かれて人類を何度も破壊できる量の核兵器を持った両陣営が駆け引きをするという究極的な状況下で(駆け引きで失敗して一発発射されると事態が "エスカレート" するので概ね人類滅亡)意思決定の中枢にいた人の話。まだ読み途中。

キッシンジャーは歴史を出自とする伝統的な保守主義者(とはなにか、は『保守主義とは何か』を読んでくれ)で、理想主義者だった。まあ、世界どうあるべしの旗振りだったり、どちらに転んでもベストではない場合の選択のような実践的な意思決定は合理的な推論だけではやれないよね。

下巻 p.12-13

普遍性を求めることは、多くの知的努力の原動力となってきた。だが国家の問題で普遍性を追求すると、ある種の教条主義に陥りかねない。その結果、複数の選択肢の中から選ぶという行為の前で尻込みすることになる。しかし、選択は政策立案において避けられないものだ、それはまた、この避けられない選択に潜む政策立案の悲劇的な側面を無視することである。

非常に含みが多い本でまだ消化できていない。


このインタビューを偶然発見して爆笑とともに興味をもった北海道拓殖銀行とその破綻の歴史を描いた本。

プラザ合意による円高、金融政策の失敗、それに伴う地価上昇、「土地神話」の不動産バブル、、イケイケになった銀行と派閥の形成、都市銀行最下位の焦り、回収できないリゾート開発、大蔵省vs日銀の北海道での代理戦争、経営者の度量、とこれについてはかなり面白いけど長くなるので別途記事をまとめようと思っています。みなさん北海道のメインバンクが破綻するという事態の当事者になること、想像つきますか?つかない人は是非読んでみてください。

その拓銀の、特別背任罪で収監された最後の頭取の手記。『拓銀 敗戦の記録』の次にこれを読んでみてください。

で、次に破綻した拓銀を引き取って再生させた北洋銀行で陣頭指揮をし、その後頭取としてPMIとシステム統合をやったこの方の本を読んでみてください。失礼だけど度量の差を感じた。拓銀破綻時の武井正直頭取がすごい人物だった、というのは他の本にもあるんだけど、後継者もすごい人だった。

話題だったので買ってみた。確かに綺麗だと思いました…。だからどうってこともないんですが…。

衝撃的に面白くなくて逆に興奮した。

リベラリズムへのダメ出し本。なんか特に目新しいものはない印象だったけど、わかりやすいのでこの手の本を読んでない人にはいいかも。

正確には旧版を読んだ。医療倫理と哲学的クリティカル・シンキングを一緒に学べる本。コンパクトで読みやすいので、どちらかに興味ある人におすすめ。哲学的には整合性のある極論に倒してある本なので、医療従事者の方の感想を聞きたい。

80s学園ラブコメギャグマンガなんだけど、SFっぽいところもあるし、サイケデリックな話もあるし、サブカルチャーへのオマージュもグリグリに詰まってる(らしい)し(僕は全部わからなかった)、線は綺麗だし、メインの話も良いし、大好きなマンガになった。高校生の頃を思い出してしまった。

以上です。

バックナンバーはこちら:

2018年に読んだ本

2017年の読んだ本

2016年に読んだ本の一部



全然関係ないんですが、元日からMF Doomがなくなったという悲しいニュースが。僕はど真ん中の世代で、彼の作った音楽で過ごした時間が一気に思い出されました。ご冥福をお祈りします。

この曲が一番好きです。


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