1月11日の日経新聞で、「三井住友海上、ちょっぴり転勤 近県限定、キャリア・生活の二刀流 業務に幅・家族負担軽く」というタイトルの記事が掲載されました。キャリアと生活を両立させるのはごく自然のことであり、これも二刀流で例えて説明するのはどうかという気もします。そのうえで、それだけキャリア・生活の両立は依然として難しいものと捉えることができるのかもしれません。
同記事の一部を抜粋してみます。
転居を伴わない「地域限定職」は、小売りや金融・保険業界から広がったと言われます。同じ仕事をしながらも転居を伴う転勤がある無限定総合職に比べると、10%~20%程度給与減となるのが一般的でした。
同記事内容から、「ワイドエリア型」は、処遇の条件面含め従来の無限定総合職と地域限定職との中間のようなイメージだと見受けられます。働き手にとって選択肢が増えることは、基本的によい流れです。従業員(個人)と企業(組織)の双方に意味のあることだと考えます。
経営コンサルタントの大前研一氏による次の言葉があります。(書籍「時間とムダの科学」より)
同記事中の事例は、ワイドエリア型の適用を受けることで、住む場所と付き合う人が変わった例だと言えます。結果的に、時間配分も変わることにつながります。住む場所まで変わらない場合でも、勤務場所が変われば通勤ルートが変わることで視点も変わり、発想も変わってきます。本人のキャリアにもプラスの刺激になるはずです。
企業側にとっても、新たな人が職場に来ることで今までにない職場改善の気づきが浮き彫りになる、人材配置をやりやすくなるなどのプラスの効果があります。
地域を限定する働き方は、以前は女性の方に適用の多い形態でしたが、今では性別に関係なく希望する人が一定数いるようです。同記事には次のようにあります。
同日付の別記事によると、ディスコが24年卒業予定の学生に実施した調査で、企業を選ぶ際に勤務地に「強くこだわる」という回答が32.1%となり、18年卒に比べ9ポイント増えたそうです。マイナビの23年卒対象の調査では、行きたくない会社の特徴として26.6%が「転勤の多い会社」を選んだということです。
全国どこからでも出勤可能にしたり、完全テレワーク可にしたりするなど、勤務地という概念がない企業も出てきています。住む場所にこだわる人材が増えていることは、今後の採用、人事において考慮が必要だと言えそうです。
上記記事のような制度導入が可能な前提の企業とそうでない企業とがありますが、参考になる視点だと思います。
<まとめ>
住む場所へのこだわりを求める人、それを踏まえた制度を導入する企業が増えている。