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ネコノミクスを考える
2月22日の日経新聞で、「ネコ経済効果、にゃんと2.9兆円 22年比5割増「2月22日」商戦活況」というタイトルの記事が掲載されました。猫関連の市場規模が大きくなっているという内容を取り上げたものです。
同記事を抜粋してみます。
2月22日の「猫の日」に合わせた関連商品・サービスの市場が一段と広がってきた。ネコが生み出す経済効果「ネコノミクス」の2025年試算は約2兆9000億円と、22年比5割増に急拡大した。ファミリーマートなどのコンビニエンスストアや百貨店では関連売り場が冬の風物詩となり、スタートアップなどにまでネコの手が広がる。市場に厚みが出てきた。
ファミマは今年、過去最多となる21点もの猫の日の独自商品を発売した。「ファミリ~にゃ~ト大作戦!」と銘打ち、18日からネコの顔や肉球を再現したスイーツなどを売り出した。ヤマト運輸のキャラクター「クロネコ」「シロネコ」とコラボした商品もある。ファミマの担当者は「年々盛り上がりを見せる名物企画として、一層盛り上げていきたい」と力を込めた。
セブン―イレブン・ジャパンは、「にゃんこ発見!」と題してネコをモチーフにした菓子パンなどを14日から売り出した。こちらも商品数を全23点と昨年の5点から大幅に拡充し、過去最多とした。担当者は「新たな客層開拓につなげたい」と話す。
松屋銀座店(東京・中央)は25日までの日程で、ネコのイラストが入ったバッグやアンティーク雑貨など幅広くそろえる催事を始めた。24年よりも売り場を2倍に広げ商品数は約1300点をそろえた。
手作り品の売買サイト「minne(ミンネ)」でも過去3年間、猫の日にはネコ作品の注文金額が通常の2.5倍程度まで膨らんでいる。電子商取引(EC)でもネコ商戦が過熱している。
猫の日は「ニャン(2)ニャン(2)ニャン(2)」というネコの鳴き声の語呂合わせにちなんで、1987年にペットフードメーカーや愛猫家が主体となって制定した記念日だ。
「いい夫婦の日(11月22日)」など語呂合わせを由来とする記念日は多い。しかし2022年の「2」が6つ並んだ「スーパー猫の日」を契機に認知度が急速に高まったとされる猫の日は別格だ。日本記念日協会(長野県佐久市)の加瀬清志代表理事は「猫の日ほど有名になった記念日は思いつかない」と指摘する。
経済効果は大きい。関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算によると、ネコの商品やカフェといったサービスの売り上げなども含めた経済効果は25年に約2兆9086億円となる。22年(1兆9690億円)から約5割増だ。宮本氏は「経済効果は21年開催の東京五輪に迫る。ネコの日本経済への貢献度は大きい」と語った。
同記事を読んで、子どもが以前、にゃんこ大戦争というゲームに熱中して取り組んでいたのを思い出しました。
猫の日が話題になるのなら、犬も当然あるだろうと思って調べてみたら、やはりありました。「ワンワンワン」にちなんで、毎年11月1日が犬の日だそうです。しかも、この記念日は1987年にペットフード協会によって定められたと出てきました。もう40年近くの歴史があるようです。皆さんご存じでしたでしょうか。
同記事からは2つのことを考えました。ひとつは、人口動態と関連付けて予測できそうなテーマがあることです。
猫関連の経済効果は約3兆円ということです。手元で調べてみてもうまく出てこなかったのですが、猫と並ぶペットである犬も同等の経済効果ではないかと想像すると、合わせて約6兆円ということになります。
経済効果としてはインバウンド消費がよく話題になりますが、2024年のインバウンド消費額は約8.1兆円です。2025年度の防衛費の国家予算は約8.7兆円です(防衛予算がそのまま防衛産業の市場規模とはならないかもしれませんが)。
猫・犬以外にもペットがいることを勘案すると、ペットやペットに関連するキャラクターなどの経済効果は、インバウンドや防衛関連の規模に匹敵するぐらいだとイメージするとよいのかもしれません。そう考えると、とても大きいものだというのが改めてわかります。
5年先や10年先の社会環境を想定しても、結局はわからないものです。予測を超えた市場の変動があったり、不測の事態が起こったりするからです。そのうえで、人口動態はほぼ正確に未来が予測できるテーマだと言われています。日本が今後移民大国にならない限り、国内の人口減少の推移はある程度の範囲内でおおむね予測できます。
ペット関連は、人口減少やそれに伴う単身世帯の増加などで、伸びやすい市場だと言われています。猫関連の経済効果が3年で5割増という同記事の紹介からも、うなずけます。
同様に、自社の商品・サービスが人口動態とそれに伴うライフスタイルの変化と相関が強そうか、それも増減どちらの影響なのか、改めて考察し今後のアクションに活かしていくのは意味があると考えます。
もうひとつは、関心がないことは見えないということです。
さきほど、私は犬の日を知らなかったと書きました(猫の日も、同記事で初めて知りました)。私は子どもの時からずっと、金魚以外のペットを一度も買ったことがありません。動物園や水族館には行きますし、動物に関心がないわけではありませんが、ペットを飼う人のように、犬や猫を自分に身近な存在だとは、おそらく認識できていません。
関心がないテーマは、見えないし気づかないものなのですね。
国内で3兆円の規模があるということは、社会にとって相応の関心を集めているということです。
自分が猫関連の消費をしたいかどうかは別ですし、流されて消費をする必要もありません。そのうえで、いろいろなことに関心をもっておかないと社会の関心に気づかなくなる、という視点をもっていろいろな物事を見る姿勢は、やはり大切だと思います。
<まとめ>
自分が気付かないことが、社会では関心事かもしれない。